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Link追加と剣更新

linkに男爵さんの男爵の厨房喜屋武さんのCoolHead WarmHeartを追加。

ってえ?今までリンクしてなかったの俺。
こんだけメールしてお世話になっておいて?
不義理が過ぎますね。

不義理ついでなんでいっちまいますが、この前気づきました。
今までメールフォームから飛んできたメール、全部googleがスパムとしてはじいてた。

今までですね、メールしたけど音沙汰がねえ。
リンクするはずがしてねえ。
等々ありましたら遠慮なく指摘おねがいします。
マジで。


そして剣更新
男爵さんの心の欠片
うにの鈴と王様(喜屋武さんのイラストつき)

お気に召しましたら各人HPのWEB拍手等での感想もよろしくおねがいします。
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by obtaining | 2009-07-19 23:25 | diary

鈴と王様 realize 2

c0048516_164377.jpg


@@@

ゆっくりと舌を這わせる。柔らかい肌の感触を舌に感じると共に汗のにおいとすこししょっぱい味が舌先にぴりぴりと感じる。
ゆっくりと滑らせて舐め取るように動かす。
私の舌で、綺麗になるように。
まあ私は元々唾が多いから良いのだけれど、これは結構大変だ。
両脚から両腕。首周りと胸、お腹とその、お尻、と、ええと、まあ、大事な部分?
まあ、一部の隙も無く、という訳ではなく、腕とか足とかは汚れている部分を中心に。
首周りや胸、お腹は丁寧に。
ええと、それ以降は、丹念に。凄く。
まあ、よろこぶ、から、ね。
うん。

首元に顔を近づけると、ん、と悶える。ぺろぺろ、と喉から顎にかけて舐める。
男の子の顔は、真っ赤だ。何回しても顔を真っ赤にしていて、可愛い。
女の子、知らないわけじゃないだろうに、何でいつまで経ってもこう初心なのだろうか。
目をぎゅっと閉じて私の舌の動きに身を任せている。
ま、顔を真っ赤にしているのは私も一緒なのだけれど。

特に右半身をぎゅっと緊張させているのが判る。
理由はええと、多分、素裸の私が、右半身に身体を擦り付けているから。
私の顔の動きに合わせて実は大きさにはそこそこちょっと自信のある胸が彼の胸に当たって、
その度に最近少しは厚くなってきた上半身が律儀にぴくんと反応してくる。

きっと当たるたびに、私の胸が当たってる、なんて事を考えているのだろう。
丁寧に喉を舐めていると、くっと顎を引いてきた。
最近覚えた技だ。

「どうしました?王様。」
聞いてやると、その響きにからかいの空気を感じたのだろう。
男の子は「お願い、鈴。」
と小さい声で言ってきた。

その一瞬で体が火照って、きゅうっと下半身が熱くなるのを感じた。
男の子の唇に覆いかぶさろうとして、その瞬間に自分が今までしていた事を思い出す。
体が熱くなって、頭の中が性的な興奮で一杯になって、でも頭の片隅のほんの一部、
ほんのちょっとだけ残った部分で今まで自分が何をしていたのかを思い出す。
男の子の唇に覆いかぶさる一瞬手前で踏み止まって、
そのままキスしたい。そのままキスしたい。
そのまま覆いかぶさる事を望んでいる頭の中の大部分の意見を強烈な意思で無理やり押しやって
「ちょっと待って。」小さな声で言って、ベッド脇の水差しに手を伸ばす。

水を唇に含んで飲み干す。
少しでも男の子には不快には思われたくなかった。
私の事で、もう充分、この男の子は傷ついて、そして今も悔やんでいるのだから。

もう一度水で口の中を洗い流してからさっきと同じ体勢に戻る。
私の裸の肌が男の子に触れた瞬間、また男の子がぴくん、と震える。
いやらしい気持で、肌が火照っている。男のこの上半身に絡みつく私の上半身。
男の子の上半身は私の唾と、そして男の子の汗で濡れていて、そこに私の肌を押し付ける。
男の子の温かい肌が心地よい。
男の子にとっても心地よいものであれば良いな。とそう思う。
先程と同じ体勢で顎を引いたままの男の子の上に今度こそ覆いかぶさる。
私の唇と男の子の唇が触れ合うほんの一瞬。
ほんの一瞬手前で、さっきよりももっと強烈な衝動を堪えながら唇を止めた。

出来るだけ意地悪く聞こえるように、
勿論ドアの外で耳をそばだてている意地悪な女官に聞かれないように小さな声で。
「本当はしちゃだめっていわれてるんだけど。」
私がその声を出す為に動かした唇の動きだけで、ちょっとだけ男の子の唇に触れてしまう位の位置。
私の吐息が、男の子の口に吹き込まれる。

男の子が目を開けて。そして懇願するような。
そして私にごめんね、鈴、ごめんね。と言ったあの時と同じような。
そして一緒に昔、悪戯をした時と同じような。
それの全てが混ざったような目で、私を見つめてきた。

「お願い、鈴。」

言い終らないうちに、唇を押し当てた。舌を口の中に入れて、男の子の口の中で躍らせた。
男の子がついばむみたいに唇を動かす。
その動きに合わせて舌を引いて、唇と唇だけでお互いについばむみたいに唇を合わせる。
男の子がおずおずと、そう、おずおずと舌を出してきて、優しくそれに自分の舌を絡ませる。

頭の中が爆発しそうになる。
この男の子は、私に持たなくてもいい罪悪感を持っていて。
私が王様への奉仕、いや、役目として好きでもないのにさせられていると思っていて、
そして私がこれをする度にいっつも泣きそうになっているのに。

私はこんなにも興奮している。
男の子の唾液を舌先に感じる度に胸の奥底が興奮にくっと締め付けられて
私の唾液が男の子の口に含まれる度に背筋の先からぞくぞくとする。

心を奥から焼くような興奮が吹き出てきて、私の右手が自然と股間に伸びて、
自分を慰めようとする度に気がついて、思い直してシーツを掴む。

男の子が堪らないように私にしがみ付こうとする。

もう駄目だ。

このまま抱きしめ合うか、それとも。
抱きしめたらもう、終わりだから。我慢できないんだから、絶対にしちゃ駄目。
毎日鏡に向かって唱えるその言葉が頭の中に浮かぶ。

唇を離す。
男の子が名残惜しそうに、ほう、と溜息を吐いた。

「鈴…お願い・・・」
もっと、とせがむ様にする男の子から顔を離す。
これ以上は駄目。そう言うと又、罪悪感と、懇願が入り交じったような目になる。
そして一瞬だけ、私の顔を見ていた男の子の目がほんの一瞬だけ動いて、その視線が私の裸の体をなぞる。
ほんの一瞬だけのその動きを恥じるようにはっと視線を逸らす。
ぞくぞくする。
だから。と。
だから、もっと気持ち良くさせてあげる。
口には出さずにもう一度視線を合わせた後、身体をベッドの後ろの方へ滑らせた。
男の子の足の間まで下りて、奥へ向かって顔を埋めた。

肛門に舌を這わせた瞬間、男の子がうめいた。
明らかな快感と、そして戸惑いの声でうああ、と。
舌先に感じる汗と、ぴりぴりとした感触。

自分の行為に頭が焼け付く。
あああああ。
又股間に手をやりそうになって、ぎゅうとシーツを握り締める。
変わりに舌を押し付け、唾を丹念に塗り付けるように塗す。

「ごめんね、鈴。ごめんね。」

耳に入る声。
焼け付くみたいな興奮。
シーツを掴んだ手を求めて、ひとりでに腰がいやらしく前後する。
自分で慰められないから、頭の中でだけ興奮が倍化していく。

「おねがい、もう、鈴。おねがい。」
泣きそうな声。
キスするようになってからだ。
その前はこんなじゃなかった。
私がいくら男の子の身体を舐めても、その、そこを舐めてもこんな風にはならなかった。
ただちょっと悲しそうな、罪悪感に塗れた顔をして、
鈴、ごめんね。と言って、私の口内で達したり、途中で止めたりもした。

ごめんね。頑張っている君にこんな思いをさせて。

口を離して顔を上げて男のこの顔を見る。
私の男の子が、私の前で、こんな風になっている。
あああああ。
きゅうっと下半身に力が入った。
頭の中の快楽が爆発しそうになるのを必死で堪える。
まだいってしまったら駄目。

口を開いて、男の子のそれを口の中に入れていく。
少し苦い、あああああ、凄く刺激的な味が口内に入って夢中で吸い付く。舌を絡める。
「いっぱい出して。飲んであげるから。我慢しないで。いっぱい。ぜんぶ。」

口を離していたら言えない、言ってはいけない言葉を口内一杯に男の子のそれをほう張りながら呟く。

「ごめんね、鈴。ごめんね。」

男の子が腰を押し当てるように私の顔に押し当てて来て、ぶるっと身を震わせる。
かちかちに硬くなっていた私の口内のそれが一瞬、ぐぐぅっと引っ込むような動きをした後に膨張する。
どくん、どくんという動きと共に、私の口内一杯になめらかな苦味が広がる。
先端に舌を当てて軽く吸いながら次々と放たれるそれをこぼさないように口内に溜めていく。


ああ、
本当に、本当に、私は、幸せだ。

@

「ねえねえ、鈴、大丈夫かな。怒られないかな。」
「大丈夫だから、こっち来なさいってば。ほら。」
ソファーをばんばんと叩くと、おどおどと隣に座ってくる。
女官の部屋にこっそり忍び込み、見つかりそうになって慌てて走り回って逃げたおかげで
ぐしゃぐしゃに髪の毛を乱した男の子の膝に、本を広げてやる。

「ええと、あ、ほら、やっぱり子供向けだよ。絵がついてるもの。ほら。これが魔女だよ、きっと。
タイトルは・・・ええと、『物語の好きな魔女の話』」

読んであげる。私がそう言うと、男の子がにまあって笑う。
私は優しい気持ちになって、男の子の頭を撫でる。

「ほら、恐いね。魔女。」
「…鈴も恐い?」
「私は年上だから、恐くなんてないよ。」
「凄いなあ、鈴は。」
目を丸くする男の子に凄いでしょ。と笑いかけてあげる。
本当は凄く恐かった。
その本の魔女の挿絵は年寄りの魔女の口が耳まで裂けてこちらに笑い掛けてきていたのだ。
でも私の方が年上なのだから、男の子より強いのだから、恐いなんて事は、言えなかった。

いつも当たり前だった、いくらでも同じような事があった。

頭の中が、快感で弾ける。
あまりの快楽に口が緩んで、こぼしそうになる。
口の中のものを必死で飲み下すうちに快感が頂点に達して、ひとりでに私の下腹部が何かを締め付けるようにきゅうっと収縮する。
腰が自分の意思に反して物欲しそうにいやらしく前後に動く。


いつも私は、そんなある日の事を思い出しながら、そうやって達していく。


@@

「・・・うん、僕って何をすればいいのかなって。やっぱり考えちゃうんだ。」

なんだって、すれば良いじゃない。と、私は男の子の横に座って笑いながら言う。
王様なんだからさ。
あの時とは違って、小声だけれど。

「そんな、鈴が言うみたいに簡単じゃないんだよ。」
はあ、と溜息を吐く男の子を見る。
本当は背を叩いて、励ましてあげたいのだけれど。
頑張れ、大丈夫だよって。
あの頃みたいに。

男の子が望んでいる言葉を、私は知っているのだけれど、言わない。
だから私達はその言葉を繰り返す

「僕って何をすればいいのかなぁ・・」

男の子は、きっと私の言葉を待っているのだろう。そう思う。

でも、私は信じている。
だからその言葉を私から言う事はないだろう。
多分男の子が望んでいて、そして何よりも私も望んでいる言葉を。

この男の子に、これ以上罪悪感を持って貰いたくなんて無いし、
それに私は充分幸せで、男の子が助けてくれた事を、凄く嬉しく思っていたし、
それに私はの方が年上なのだから、これ以上の事なんて、言えなかった。
言ったら実現してしまうような気がしたから。


だからこの話はこれでおしまいだ。

あんまりすっきりとしないかな。
そうだね。
なかなか物語と同じように、って訳には行かない。
素敵な騎士様が、手を伸ばしてくれてめでたしめでたし、って訳にはね。



でも、最後にもう一つだけ、私からのアドバイスがある。
いや、アドバイスじゃないな。だってそうなるのかどうか、まだ誰にも判らないから。
だから、これは私の勝手に信じている事って、そういう事にしよう。


人生は時々、酷く大きな力で私達を殴ってくる。
高い壁は天まで届いていて、それが地平線の先まで続いている。
上っても迂回しても、向うにはたどり着けそうに無い。
そんな気分になる事もある。

でももし、そんな時にあなたに好きな人がいたら。
それが髪は銀髪で目は青みがかっててさ。剣の腕は並ぶもの無しの素敵な騎士様だったら。
ううん、例えそうではなくても。
泣き虫で、私が守ってあげなきゃと思っていたような頼りない男の子でも。

もしかしたらあなたが考えてもいないような方法であなたを助けてくれるかもしれない。

だから信じてみたらどうだろう。
絶望する前に、もしかしたら、何かが起こるかもしれないって。
泣き喚く変わりに、自分に出来る事をして、そして信じていれば何かが起こるかもしれない。
そう信じてみたらどうだろう。
私はそう思う。
その人が凄いってあなたが思っていて、そしてもしあなたの心の隅でほんの少しでも頼りにしていたら。
こうして、ではなくて、こうしなさい、ではなくて信じて待ってみたらどうだろう。


私には確信がある。
私がどうあれ、この男の子は、凄い王様になるって。
私だけの男の子にしては駄目だって。
贔屓目かな。贔屓目かも。

でも信じている。
まだ頼りないけれど、いざとなったら他人の為に頑張る事の出来るこの男の子が王様なら、
きっと幸せになる人が一杯いるはずだ。
少なくとも、1人は幸せになった人間を、私は知っているのだから。
良い王様は沢山の人を幸せに出来るはずだ。

だから私は私なりにその男の子に出来ることをやってあげる。
ありがとうって意味だけじゃなくて、私がそうしたいからという理由で。
男の子が私と一緒にいたいというのなら、いつまででも一緒にいてあげる。
君が王様で、少なくとも私だけは幸せになってるんだよって判らせてあげる。

一生懸命王様をやっている私の男の子を、何がどうなったって私だけは大事に大事にしてあげるのだ。
昔と同じだ。もし男の子が酷く大きな力で殴られたって感じたら、私が守ってあげるのだ。
男の子が私がそうなった時にしてくれたようにね。
そう、君が望む限りそれをするよ。

だから私はその言葉を言わない。
言ったらこの男の子はきっと皆を幸せにできる王様を捨ててでもそうしそうだから。

自意識過剰?
でもなあ。前科があるし。しかねないよね。


でもね。
でも、そう思うんだ。
そう思う。

そう私は思う。そして心の底では確信してもいる。

男の子が望んでいて、私も望んでいる、そんな幸せな結末を得る事はきっとできるのだって。
だって、泣き虫のあの子にあんな事が出来たんだから。

勿論、今はそんな方法は見つかりそうに無い。
私は反逆者の娘で、私の男の子は王様だ。
高い壁は、越えられない。
昔のように話すなんて事は出来ない。
声を潜めて、誰にも聞かれないようにしなければ普通に話す事も出来ない。
こんな形でしか、一緒にいる事も出来ない。

でももしかしたらあの時みたいに。
いやあの時よりももっと上手に。
男の子が王様らしい解決方法で、私を救ってくれるかもしれない。
勿論私だってただ待っていたりはしない。
だって私の方が年上なんだからね。それが本当に、良い方法なら。


そんな事ある訳無いって?
そのうち飽きられて、いつの間にか見向きもしなくなるって。
うん。そうかもしれないね。


それでも--
あの時以来、心の奥で自分でも奇妙に感じる位に私は確信している。
あの男の子に不可能なんてない。
ううん。私の好きな人に、不可能なんて事は無いって。

だって凄いんだよ。王様なんだから。


私の男の子は、優しくて、可愛らしくて、そして私と男の子はとっても仲良しだ。
今までずっとそうだったから、これからもきっとそうだろう。
だから私があの男の子と昔みたいに遊んだり話したりできるようにきっとそうなる時がくる。

いつかは判らないけれど、私はそう信じている。

そうしたら、昔と同じように。
暖かな日には男の子の隣に座って、二人で一緒の本を読もうって、そう思っているのだ。



鈴と王様
終わり
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by obtaining | 2009-07-12 01:06 | diary

鈴と王様 realize 1

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鈴と王様 realize
-*-*-*-*

好きな人が凄い人だと良いな。そういう風に考えた事はある?
凄い人って言うのはそう、あんまりこ難しい意味じゃなくて、単純に凄いって事。

例えば、…王様とか。

あ、いやいや、ね、ま、王様とかはね。ちょっと。とか思うかもしれないけれど
素敵な騎士様(実際の騎士様はお爺さんが多いけど。)位なら女の子だったら考えたりした事あるんじゃないかな。と思う。

何でも出来ていつもクールだけど自分の前でだけはおっちょこちょいの騎士様とか。
いつも人を笑わせてばかりの3枚目だけれど、自分の前でだけ、真剣な自分の気持を教えてくれる騎士様とか。
普段はアウトローな渋い男だけれど実は女の子は苦手、な騎士様とか。
後、いつも自分を抑えてて、妙な所で他人には優しい泣き虫な王様とか。

ふむう。まあ、悪くはないよね。そういうのってさ。
ちょっとドキドキしちゃうよね。
あ、最後のは無い?まあ、良いじゃないか。
意外とそういうのに限っていざとなると頑張ったりもするんだから。


髪は銀髪で目は青みがかっててさ。剣の腕は並ぶもの無しの腕前ながら勿論体型はスマート。
それだけじゃない。何か問題が発生した時には数に優る敵をきりきり舞いにさせてしまうような策も持ってるクールな頭脳派。
それでいて私が絶体絶命!の瞬間には自らマントを翻し、剣を抜いて自ら助けに行っちゃう行動派でもあったりして。
走る馬車から突き落とされた私を間一髪馬上で受け止めて、
汗一つかいていない顔でにっこりと白い歯を見せながら爽やかに笑ってこう言うの。
「大丈夫かい、お嬢さん。」
馬上で抱きしめられた私はきゅんと胸を締め付けられながらこう言う訳。
「ああ、私の騎士様・・・」

うん。
そんなのだったら、素敵だよね。


ま、そうじゃない場合もあるかもしれない。
髪は黒髪でぼさぼさ、顔は、まあそこそこかな。うん。悪くはないかも。でも剣は出来ないね。運動神経無いから。
体型はスマートだけど痩せてるって言った方が良いかも。本当はもうちょっと食べた方が良いんだけどね。
珍しいよね。貴族って大抵太るものなのに。お父さんもお爺さんもそうだったから血かも。
頭、は悪くないけど頭脳派って訳じゃないなあ。どちらかというと実直な感じ。

私が困った時には死ぬって訳でもないのに持ち前の権力で周囲の迷惑を省みずに我侭の限りを尽くして助けてくれるの。
城から出て辺境にすっ飛ばされて名前だけ立派な荒地に住んで食うや食わずの生活を3代も続ければハイ解決、
の話を蒸し返すもんだから大騒ぎになって回りの人間が辻褄合わせの為におおわらわ。
もうさ、我侭はその辺にして諦めなよ。皆色んな所でメンツとか決まりとかあるんだからさ。
ってのを分厚いオブラートに包みながら誰が言っても頑として聞かないで1人でハンスト。
叱ろうがすかそうが脅そうが頑として口も開かず。

しょうがないから長老やら側近の人達やらが本気で泣きそうになりながら
あちこち駆けずり回って話し合って辻褄あわせとか皆のメンツとか今後への影響とか王様の我侭を秤にかけて
何日も寝ないでうんうん唸った挙句、誰かがど田舎の誰も知らないような土地の仕来りを引っ張ってきて
法律とメンツと宗教と旧来の仕来りを極大にまで解釈させた上でこれに従えばまあ、いいかな。
皆もまあ、納得するかもっていうラインっぽいものを引いてようやくまとめあげて。


それなのにそうやって出来た苦心の上のその案をさあこれでどうでしょう王様と差し出した所、
最初に出たのが「こんなの駄目。」
その後もこれ以上はもう押しても引いてもどうにもなりませんという説得にもがんとして首を縦に振らず何も食べず飲まず。
先々代からの国王の側近で王様の育ての親とも後見人とも自負しているような普段はそれはそれは恐い側近のご老人が
水だけは飲んでくれなきゃ今すぐ私はここから身を投げますと涙ながらに懇願するも無視。
引っ込みつかなくなったそのご老人が止めてくれるなと窓に向かって走るのを皆で必死に抑えていたら
いつのまにか抑える方も悲しくなってきて皆で団子状になって号泣しながら説得した挙句、数時間を経てようやく渋々と納得。

様々な仕来りによって城の内部には入れず、もう処分決まってるんだし城の牢屋に入れるのもねえ、
でも近くに置いとかないと王様が。というこれまた誰も考えたくない類の難題に皆が頭を絞った挙句、
折衷案として城の門のすぐ前にある王様の側近中の側近(奇しくも飛び降りようとしたご老人)の屋敷の離れの家とも小屋とも軟禁場所ともつかない場所にいた私の所に側近振りほどいて城門を突破してきた挙句(それも異例の事態)鼻水たらした泣き顔でこういうの。
「ごめんね、鈴、ごめんね。」
そして物凄い勢いで王様が走ってきてるから。お前そのボロ着てるのはさすがにヤバイから何でも良いから早く着替えろ。
ええい、そこにあるのでいいから持って来い。
という理由で慌てて着せられたその側近の一人娘の一番のお気に入りの素敵なドレスにぐしぐしの鼻を擦り付けてくる王様の頭を撫でながら私がこういう訳。

「君ねえ、何でそんな無茶するの。」



あ、そういうのは無し?
無しだろうねえ。
うん。


でも、まあ、結構ドキドキするよ。
やるだけやってくれたんだから。
涙出たし。
私の家は父が行ってしまった罪が決まるまで数年間、
ずっと私の家は処分の決まらないままの半分だけ罪人って扱いの家で、
そんな時に先代の王様が亡くなってその男の子が王様になってさ。
不安だったろうに、右も左もわからなかったろうに、周りには頭の良いのやら頑固なのやら
王様の手を煩わせずになんでも決められる位に経験を積んだ側近が一杯いてさ。
そういうのは、恐いんだよ。王様だって平気で叱り飛ばしちゃうんだから。
きっと毎日、言われた事にはいはいって答えるだけだって大変だったろうにさ。

他人にいいえって答えるのにだって悩むような男の子が、その泣き虫が、
幼馴染の一つ年下の、泣き虫の男の子が、
私の為にもう一回決まってしまった事をひっくり返そうと、一生懸命頑張ってくれたのだから。


話がずれちゃったね。
最初の質問に戻ろうか。
好きな人が凄い人だと良いな。そういう風に考えた事はある?
そんな話だったね。

もしあるというのならそれに対する私のアドバイスはこうだ。
いい事もある。あるかな。まあ、あるかも。
多分ね。

でも、そうじゃないにこしたものではないし、行きすぎってのは何にせよ大変だ。
多分あなたが考えているよりもずっと、ずっとね。
あんまり高望みせず、手近な所で済ませた方が良いんじゃないかな。
程ほどにしとくといいよ。
例えばクールな騎士様のお気楽な次男坊とかあたりがぎりぎりじゃないかな。
その位のライン。
まあ、若しくは…なんだったら、近所のなんでもない、気の知れた幼馴染あたりにしておいた方が良いかもしれないよ。

まあ、もう好きになってしまった、とか?
その幼馴染が凄かった、というのならしょうがないのだけれどもさ。

@@

男の子と私が仲良くなったのはそう、お互いが大分幼い頃だった。
私が子供の頃、父の位は伯爵で、これは国の中では相当に高い地位だった。
国を作った初代の国王様が兵を挙げた時に私の祖父も他の地域で同時に兵を挙げていて、
ある戦争を切っ掛けに初代の国王様と共に戦ったという縁でその結果多くの領地を拝領して、
父も祖父を継いでその領地を治めていた。

父の領地は国土の東の山脈に連なる広大な平原を中心としていたけれど、
国土の西にある祖父の持っていた領地も飛び地として治めていた。
つまりは先祖代々の土地という奴だ。

祖父と初代の国王様が戦を共にした所謂戦友であったのと同じように私の父と2代目の国王様も戦友であり、
誤解を恐れずに言えば肝胆相照らす仲の友人だった。
父は他の伯爵、侯爵とは違い殆ど領地へは帰らず、
国王の城の側に屋敷を持って暮らしていた。
無論、私もそこに暮らしていて、
父が城に上がる事が多い関係上私もよくその後をついて行き(そういえば当時はそれだけ自由でもあった)、
必然的に周りは大人ばかりだったから、まあ、
城の中で出会った、同年代の、つまり2代目の国王様の息子であるという泣き虫の男の子と良く遊ぶ事となったのだ。

遊んだといっても私の方が一つ年上であったのだから、
どちらかといえば私が遊んであげたのだ。
お転婆だった私は木の枝を持っては殴りつけ、花を摘ませては花冠を作らせ、
虫を捕まえては背中に入れてやり大層泣かしたものだ。

まあ長ずるにつけ、さすがに私も2代目の国王様の息子であるその男の子は将来国王様になるのだと云う事に気がつく事となり、
と共に女の子としての礼儀をさすがにまずいと考えた周囲に教えられる事となり、
男の子を木の枝に殴りつける事は無くなったけれども。
でも基本的に私と男の子のその関係は変わらなかった。

城の中で長い昼間を一緒に過ごしながら
男の子のいくら女官に整えられてもすぐにぼさぼさにしてしまう髪を整えてやり、
儀式で失敗して誰それに怒られたと言っては泣くその男の子を慰めてやり、
こっそりと二人で城を抜け出して街に遊びに出かけては一緒にしこたま怒られ、
女官が隠し持っていたどこそこの文学者崩れが書いたという少々品の無い物語を持ち出してはソファに寝転がり、
ページをめくりながら二人で読んだ。

さらにもう少し時が経ってその男の子はいつの間にか王太子と呼ばれるようになって背もそれなりに高くなり、
そしてそんなには泣かなくなったけれど、
やっぱりそれでも私達の関係はあまり変わらなかった。
呼び方が少し、変わったくらいだ。

大きくなって私が城に上がる事が少なくなっても、
何となく気弱なその男の子は悩み事があるとすぐに私に手紙を書いたし、私も返事をした。
舞踏会があればずっと昔からのまま、その男の子は私を見つけるなり真っ先に私のところに駆け寄ってきたのだ。

まあ、その後のことは、さっき話したよね。
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by obtaining | 2009-07-12 01:05 | diary

鈴と王様 2

@@

「つまり、何をやるべきかって事だ。」
僕が呟くと、鈴が顔を上げた。
「ん……ぷはっ・・・何?」
ベッドに横たわった僕の下半身に跪いた格好のまま、口の端に着いた唾を右手で拭う。
30分に渡っての行為によって、鈴の顔は紅潮している。
僕の言葉を聞くために顔を上げたものの、手は休まない。
ぎんぎんに反り返った僕のモノをさりげなく左手で拭い、すかさず扱きあげて来る。
カリ首を鈴の温かい手で包まれて、じんわりとした快感が背筋を上ってくる。

「いや、僕ってさ。何すればいいのかなって思って。」
そういうと、鈴がついと目を細め、こちらを睨みつけてきながら名前通りの鈴の鳴るような声で返してくる。
「あのねぇ・・・幼馴染にこんな事させながら言う言葉がそれ?」
尖ってはいるが、ちょっとした甘えの口調もそこには響いている。
「あー、そういうことじゃなくってさ。ちょっと聞いてくれる?」

小さな声で言うのは部屋の外には御付の女官が控えているからだ。
鈴がこんな口調で喋ったと知れたら鈴の首が飛ばないまでもとんでもなく叱責されるのは目に見えている。
唯でさえここで僕が喋った言葉は全て後で全て報告するように鈴は言われているはずだ。
まあそこら辺は上手くやってくれているようだけれど。

「んっ・・・じゃあこっちはもうおしまい?」
僕のものをくっくっと優しく扱きながら、鈴が小首を傾げて聞いてくる。
「うん。」
「えーと。出さなくていいの?」
そういうとちょっと口の端を持ち上げた可愛らしくも悪戯っぽい笑顔になって、扱く手に力を入れてくる。
「あっ・・・ああ、もう、うん。ごめんね。」
「そ。判った。」
そう言うとベッド脇からハンカチを取り出して、
鈴の唾液と僕の先走り液でヌルヌルとなった僕のものを手馴れた手つきで優しく拭っていく。

そして綺麗に拭い終えた後、鈴は当たり前のようにぱくりと自分の指を咥えた。
そのまま口をもごもごとさせ、舌で自分の手についた鈴の唾液と僕の先走り液を舐め取っていく。
これも鈴の仕事だから当たり前なのだそうだけれど鈴にやられると妙に照れる。
ん、今日も体調良好。と、鈴が呟く。
それは僕の味がそうなのだという意味で、やたらと恥ずかしいけれど鈴は必ずそうする度に言う。

全部終った後、鈴は猫のように首を回しながらベッドの上に余分なものや汚れが無いかどうかを点検し、
女官用の水差しから水を口に含み、そしてワンピース状の女官の服を上から羽織ってから僕の枕元へと来た。

枕元に座ると一仕事終えた。という感じにほう、と溜息を漏らす。
ちなみに女官が疲れを王に見せると云う事は厳禁、らしい。
これもばれたら大事だそうだけれど鈴は幼馴染の気安さからかそこらへんはかなりオープンに僕に晒す。
それが鈴の良い所でもあった。

「ご、ごめんね。いつも。」
そう言うとじろりとこちらを見てから僕の横に寝そべり、小声で囁きかけてくる。
「王様がそういうこと言わない。これしか方法ないんだからしょうがないじゃない。
…で、何を聞いて欲しいって?またあの話かな。」
ふふん。と顎を上げて言ってくる。口調も変わる。
先程までの雰囲気とは違う。友人としての雰囲気といえば良いのだろうか。
僕には鈴しかいない、鈴には他にいるのだろうか。対等な、そういう僕の大好きな雰囲気。

「・・・うん、僕って何をすればいいのかなって。前にも言ったけどさ。笑わないで。なんだろう。
前にも言ったけどそういうのを考える事があるんだ。」
「だから、いつも言ってるじゃない。君、王様なんだから好きな事すればいいじゃない。」
「だから好きな事って何だろうって。戦争とか?」
「・・・君、戦争好きなの?」
私はやだなあ。やめときなよ。と鈴は眉を潜める。
「いや嫌いだけど。王様のやる事って言ったら領土を広げたりとかそんな事じゃない?爺さんとか父さんみたいに。」
「これ以上どこに広げるのよ。」
いや、海越えてとか・・・
と口ごもると鈴はへちゃん、と体の力を抜いてシーツに体を預けた妙に猫っぽい仕草をしながら睨んできた。
「本当にしたいの、それ。多分すっごい大変だしいっぱい人死ぬよ。」
「全然したくない。」
「じゃ、やめときなさい。」
「そうする。でもさ、じゃあ何すればいいのさ。僕。
毎日毎日儀式やら何やら。政治に口出す訳でもないしさ。」

「口出せばいいじゃない。君、王様なんだし。」
「あのね。簡単に言うけどね。僕が言うとそう決まっちゃうのよ。軽々しくそんな事言えないの。」
「何か問題でもあるの?」
「国内の政治ってのは、専門家がそれこそ毎日首ひねってバランス取ってるんだよ。
そこに僕が軽々しく何か言ってみ?
周りの人間は僕が言った事は実現しなきゃならないし、そのバランスは取らなきゃいけないし。
簡単に何かをしろなんて言えないの。」
「よく判ってるじゃない。」
「・・・判ってるなら言わないでよ・・・」

はあ、と頭を下げると、鈴は妙に優しい顔になった。
「大王様は何て言ってたんだっけ?」
そう言うと純白のシーツの上で完全にリラックスした体勢になってひょこひょこと足を揺らせている。

「父さんが死に際に言ったのは唯一つだけ。
爺さんも俺もこの国を平和にする為に、そしてお前にこの国を渡す為に頑張った。
沢山子を作り、この国を繁栄させよ。ってさ。」

「うん。じゃあそうすれば良いじゃない。王妃様と側室様だけで何十人もいるんだしさ。」

鈴の気楽な声にはあ、と溜息を吐いてごろん。と寝転がった。
鈴の顔が近くに来る。鈴の隣に寝転ぶ形になって、鈴の優しい匂いを感じた。

「こわいんだよあの人達・・・他国から来た人たちばっかりだし。
なんかもっとこうさ~。父さんや爺さんも全部やる事はないんだよ。
こう、テーマというか課題を残しておいて欲しかったよ。
現状維持で子供だけ作れってさ、そりゃないだろ。
僕、将来、女好きで子沢山の王様として名を馳せるの確定じゃないか。」

「平和を維持するのだって立派な仕事じゃない。
女好きで子沢山の王様ってのはきっと悪いことじゃないよ。多分。
領土を倍に広げた王様より、私はそっちの方がずっと良いと思う。
・・・それにさあ、君、まだお世継ぎ作ってないでしょ。
ご遺言を果たしてからその手の文句は言うべきよ。」

「・・・だから、こわいんだってあの人たち。
夜の順番一つで御互い暗殺とかしそうになるんだよ。
おちおち寝室にも行けないんだってば。」
そう言ったその瞬間、鈴の目がびっくりしたようにひょっと開いた。
あんぐりと口をあけてもいる。

「じゃ、その、またしてないの?」
「ぅ・・・」
鈴のあからさまな言葉に口ごもる。
ない、訳じゃあない。夜は王妃や側室の所へ行くのは王の義務でもある。
でも何故だか鈴に言うのは憚られた。

それに確かに積極的に子作りに励んでいる訳でもなかった。
鈴に言った事は本当の事でもあった。
他国から来た年上の王妃とは話が合わなかったし、側室も他国から来た女が大半だ。
無論皆が若く美しくはあったけれど、鈴のように楽しく話が出来る間柄ではなかった。
その為、何だかんだと理由をつけては王妃や側室の所へ行かずに過ごす事もよくあった。
というか最近では月のうち王妃や側室のところへ行くのは3日程度だ。
それもサボる事が良くある。

「どれか一人に行くと、その後色々大変なんだよ・・・」
取次ぎの女官が群れを成して陳情してくるのだ。今夜はこれこれこうしてお待ちしています。と。
男としては名誉で、王としては義務かもしれないけれど、なんとなく脅迫されている気分にもなる。

「道理でいつも一杯出…って・・・あのねえ・・・」
鈴が自分の出した言葉に照れたのか少し顔を赤らめながら声を更に潜める。

「…私がどういう理屈でここ来てるか知ってるでしょう。」
「…し、知ってるけど。」

鈴がここにいるのは、僕と話をしたりするのは国の仕来りから言えばありえない事だった。
僕は国王になってから今まで一度だけ、国王として我侭を言った事があって、それがこれ。
鈴との事だった。

@@

その一度の我侭は僕にとっては大事で、そしてささやかな事だったけれど、
その所為で王侯庁やら宗教庁が大変な事になった。
鈴がここに来るのに理由をつける為に、王侯庁と女官のまとめ役と宗教庁の長が何週間も頭を捻る羽目になった。
何度も会議が開かれ、毎日のように何人もが僕の意図を確認しに来、でも僕は頑として譲らなかった。

そして出来たのがこれだ。
僕は絶対に認めたくないし、そんな事を思った事もそうあってほしいと思った事も無いけれど、
でもこれが精一杯の国の仕来りと、僕の我侭との間に出来たものだった。

鈴はここには穢れ落としという役目の為に来ているのだ。
女官としても城に入る資格の無い鈴にはそれしか方法は無く、
王侯庁と宗教庁が各地の仕来りと法律とを照らし合わせた上で考え出した新しい仕来りであるそれ。

「…ごめん、でも。えっと、そうだ、でもさ、だからって鈴に迷惑には」

ふと気になって、というよりもそのままだと会話が終ってしまいそうで口に出した言葉だったけれど
鈴は非常に遺憾だったらしく、僕のほうにばっと顔を向けてきた。

「あのね。大迷惑なの。最初に説明したでしょ。王様の身体を清めるのが穢れ落としで来てる私の役目。」
「・・・うん。」

「でも本当はそれは上官の女官の役目。君も知ってる通り、私はそもそも下官以下なの。
城に来てもいけないし、そもそも下官だって本当は王様の身体に触れちゃいけないの。
それなのに君が王妃様の所や側室様の所に行かないから、体調が悪いんじゃないかって、
ご機嫌はどうか、私が何か知ってるんじゃないかって取次ぎの女官の人が私を責める訳。」

「・・・ごめん。でもやっぱそれってさ、変だよ。」

「皆で考えた結果。私も納得してるの。君も覚えてるでしょう?
君のあれ、とんっでもない我侭だったんだから。」
唾を飛ばさん勢いで、僕を責める口調で、肩までの髪を片手で弄りながら
でも何となく楽しそうに鈴は話していた。

「いやだってさ、鈴とは今後目も合わせちゃ行けない、名前で呼ぶなんてもっての外、
そもそももう会えませんとか言われちゃ黙ってられないし。」
ふと思い出す。そう、大喧嘩したのだ。その所為で。

「でもルールはルール。私はお爺さま・・じゃない大帝様には君と一緒にすっごく可愛がってもらったけど、
父があんな事を起こしたから、下官にだって本当はなれないの。それなのに君が我侭言うから・・・」

「でもさ、鈴のお父さんだって父さんと喧嘩はしたけどすぐ謝ったじゃない。そもそも父さん同士だって仲良かったんだしさ。」
「だーかーら。そういう訳にはいかないでしょ。大王様が優しかったから私の父は許されたけど」
「いやー、あれは父さんが頑固だったからだと思うよ。」
「あーもー!それだって許される事じゃないの。貴族に残れたのだって奇跡だったんだから。
准男爵に落ちる位は当たり前なの。で、下官は男爵以上の家の子女がなる決まり。私は駄目なの。
だから、私は特別扱いな訳。下官になったってだけでも特別な上に、
君に会う事を許されるなんて本来ならありえない訳。それを無理やりどうにかしたんだから。」

「やっぱりそれが良く判んないんだよな。そもそも幼馴染の鈴に会うのが何でいけないの。」
はあ、と鈴が溜息を吐く。

「そんなの当たり前でしょ。君のお父さんはこの国を国らしくする為に色々決めたの。貴族は5爵2階級。
政治は子爵男爵が行い、公候伯は土地を治める。王にお目見え出来るのは5爵とその子女のみ。
・・・だから本当は貴族ですらない私はここにいちゃいけない位なの。君、知らないだろうけどね。
この城の内部に足を踏み入れられる人間は、つまり君の目の前に出られる人間はこの国じゃ本当に一握りだけなの。
ここじゃ下官と呼ばれる女官だって、外に出たら自分で足だって洗わないような身分なんだから。」

「だから鈴とは会えない。なら変だよ。」

「変でも、国は治まった。大王様は凄い方だった。」
鈴は真っ直ぐに僕を見ていた。

「だから私のお父さんみたいな反逆者は出なくなった。」
「あんなのただの喧嘩じゃ」
「うううん。違うって事は君が一番良く知っているはず。
本人達はただの喧嘩のつもりでもあれで何人も死んだの、知ってるでしょう?」
「でも」

「でもじゃない。いいの。」
俯いた僕に、鈴はちょっと笑いながら僕を励ますように声を続ける。
「穢れ落としで会えるようになったじゃない。」

「くだらないと、思う。」
鈴に判ってもらいたくて言葉に力を入れた。


穢れ落としは、国中の法律学者と宗教学者が父の決めた法律と身分制度、
それと国に根付く宗教と慣わしを捻り出して決めた新しい決まりだ。

汚れた王の身体を清めるのは女官の1人が行う。
その際に布、水は使用せず穢れ落とし女官の口及び手、体のみをもってそれを行う事。
聖なる王の汚れは穢れ落としの女官のみが落とす事ができる。
穢れ落としの女官はその口で、王に憑く不運や悪霊なども清めるのだ。

これはある田舎の地方の専制的な領主に伝わっていた習わしらしい。

後一つ、その日一回目の精液にて妊娠した場合、
女が生まれやすくなるという迷信から、
穢れ落とし役の女官が王のその日一回目の精液を頂き、男が生まれやすくするという役目も付け加えられた。
又その際は口内にて頂き、女官はその精液の濃度、味覚等を報告する事。
(但し王が拒否した場合はその限りではない。)

これもその田舎に伝わっていた習わしで。宗教庁が何度も確認した結果、その2つは不可分のものと結果が出された。
王侯庁と宗教庁は国中の仕来りを調べ、このしきたりが一番都合がよく、
鈴が城に入る為には穢れ落としの女官とするのが一番である。
と、そう結論付けたのだった。
穢れ落とし役の女官は下官と同様の身分とし、その期間は王が別途定める事とされた。

そして穢れ落としの女官に鈴は任命された。

あと、慣わしにはもう一つあった。
穢れ落としの女は処女でなければならず、もし妊娠した場合死が命ぜられるというものが。

法律には入れなかったけれど、その仕来りが出来た田舎では実行されていた慣わしで、
おそらく実際にそうなった場合に実行されなければ侮辱されたとその地方の人間は感じるだろう。



「我侭言ってさ。」
はあ、と鈴が力んで言った僕の顔を見ながら溜息を吐く。
そして笑う。
「幼馴染にこんなことさせて、さ。こんな事してくれる幼馴染、いないよ。」
昔から思っていた、色の深い、宝石みたいに綺麗な瞳。
決め細やかで、しっとり濡れてるようにすら見える真っ白な肌。

それを見ながら思わず声に出していた。
「僕は鈴が一緒に」

その瞬間、ドアが叩かれた。
「王様、お食事はいかが致しましょう。」
扉の外、扉にくっ付いて喋ってるんじゃないかという感じに声を響かせながらやたら尖った声が飛んでくる。
鈴がへたっと寝転んでいたその体勢のまま、ぴょんと跳ねる。

「は、はいっ!王様はお食事を御取りになるそうですっ!」
「なら鈴、あなたは早く出てきなさい。下官のあなたがいつまでも王様の手を煩わせるものではありません。」
「はいっ!」
言いかけた言葉を飲み込んで、僕の顔を見る鈴に頷く。
鈴はぺろっと舌を出してからベッドの上に立ち上がり、そしてドアの方へと駆けて行った。


@@

まあ、つまりはそういう事だ。そういう事。

王は何でもできる。でも何でもできるからって何をしても良いわけじゃない。
王が何かをしようとすると、それは実現されなくてはいけないから、周り中が迷惑するのだ。
だから決まりを作る。仕来りを作る。
それは不便だけれど、それを守っている限り、王は完全だ。
周り中が迷惑する事無く、完全な王を守り続ける為に仕来りや決まりというものがあるのだろう。

確かに王への反逆は許されない。
例えそれが始まりの時代の領主同士の些細な喧嘩であってもそれは許してはいけないのだろう。
許したら、それはもう完全な王ではないのだ。

だからそういう事をした家に生まれた鈴は、そういう事になる前に仲良かった僕と会ってはいけないのだろう。
それを破って、会いたいと言ったから、穢れ落としなんていう歪んだ仕来りが一つ出来てしまったのだ。

これからもそうだろう。僕が我を通せばそれだけ歪んだ仕来りが出来ていく。

問題はそういうことだ。
王は自由ではない事もあるって事。



鈴の事を好きでも、それでも彼女と一緒にいるにはあんなに歪んだ事をしなければいけない。

鈴は僕の為に毎日口と手を使って、僕の体を全て舐めて清めるなんて事をしている。
そして僕はそれを嫌だと思わずに、いや、少し期待してさえいて、そして鈴にさせている。
きっと鈴にとっては楽しいはずなんて、無いと思いながら。

それだけじゃない。鈴は毎日仕事の後処女であるかの検査をされる。
僕が手を付けていないか、誰かに手を付けられていないかを確認する為に。

何も知らない僕でもそれがきっととても楽しくない事だと云う事位は判る。
幼馴染に、いや多分僕の唯一の友人に僕は毎日そんな思いをさせている。

爺さんは何でもできる王を作り上げた。
父さんは何でもできる王がずっと存在し続けられるように決まりを作った。


僕は?
きっとそれを守る1人目の王になるのだろう。
それを守り続ける2人目の王、3人目の王へと引き継ぐ為に。
出来るだけ歪んだ仕来りを作る事無く、そうする為に。

でも時々夢想することがある。
もし、もし鈴と一緒にいられる違う方法があったら。
忌まわしい風習を作るのではなく、ただ、鈴と一緒に。

周りに迷惑を掛けず、忌わしい仕来りも作らずにもしそうする事ができたなら僕は今すぐにでもそうするだろう。
でも、いつかそうできたら良いけれど、今はまだその方法は判らない。


だから僕は何をすればいいのかと鈴に問う度に、少しだけある言葉を期待する。
「私を、君と」
もしそうなら、鈴がそう言ってくれるならもう一つだけ、忌わしい悪弊を作った王と呼ばれても良いと思っている。
鈴は決して言ってはくれないだろうけれど。


だから夕方にまた会える事を願って、次の日の朝に会える事を願って、
鈴に会う事を願って、
僕は王様を続けていくのだ。



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by obtaining | 2009-07-07 12:07 | document

鈴と王様 1


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鈴と王様
-*-*-*-*

王になりたいと考えた事があるだろうか。
難しい意味合いでの王じゃない。鍛冶職人の王とか、商売の王とか。
そうじゃなくて純粋な君主としての王って事だ。
国を統べるものとしての王。
判り易い意味合いでの王様の事だ。

まあ、王じゃない人にとっては
王っていうのはなりたいと思うものなんだろうな。と思う。
なんたって何でも出来る。

そこに住んでいる人間達が守らなくてはならない決まりを作るのが王だからだ。
王がこうしろと言えばそれが正しいのであり、その結果がどのようになろうともそれは正解になる。
守らなくてはならない決まりに縛られて好きな事が出来ない人にとってみたら、
これは憧れて当然の事と云う事になるだろう。

例えばの話、戦争をして何千人と人が死んだとしても、
その結果国が滅ぼされない限りは王は正しい。局地戦でいくら負けようとも王は間違ってはいない。
万が一、勝利でもしようものならそれはすべて王の手柄だ。
無論実際に戦争をするのは国民なのだからその中から何人かの英雄は出るだろう。
だが、その英雄が結局王の代わりになると云う事はまず無い。
それらの英雄は国許に戻り、王の為に戦ったと公言し、無論いくらかの出世や金、名誉を手に入れるが
それすらも正直な話、実質的に見れば王の手の平の中の話。
最終的にはそれらの英雄を持つ王は正しいと云う事になるのだ。

それだけじゃない。少々の乱暴だって許される。
王のやる事は根本的な意味で正しいのだから、その行為は極大まで善意的に拡大解釈されるのだ。
例えばある人間を特に理由もなく殺したからと言って、王が責められる事はない。
何故なら、王にそうさせたその人間が、若しくは周囲の人間が悪いからだ。
例えその理由が王の前を無断で横切った、等というものであったとしても、
それはそんな事をしたそいつが悪い。と云う事になる。

それにしたって目の前を横切っただけで殺す事は無いだろう?
そんな事は無い。
神の代弁者たる王の目の前を無断で横切ると云う事はつまりは王に従わないと云う事であり、
つまりは反逆を企てるような奴かも知れず、もしそうなってからでは多数の犠牲者が出るかもしれない。
王はそこまで考え、そして緩み、甘えきっていた配下に対して模範を示したのだ。
なんて事が勝手に後からついてくるのだ。
無論これは王が考える必要すらない。周りが勝手に考えてくれる。
つまりは王が正しいのだと。


なぜそうなのか考えてみた事がある。
王なんか敬って楽しいのか?
王が全てを決めて、本当にいいのか?王が全部正しくて本当にいいのか?
都合悪いこと、ないのか?
いや僕が言う事じゃないかも知れないんだけどさ。
横切っただけで殺されてしまうかもしれないんだよ?
しかもその後、後付けの理由で悪者にされるかもしれない。

それなのに何故?
と、王が敬われる理由って奴をずっと悩んできたんだけれど最近漸く少しだけ判って来た。

王ってのは調整弁って奴なんだろう。
別に王なんて誰だって良いんだ。

ずっと見て来たけれど、人間っていうのは何か基準がないと安心できない傾向がある。
何かをした時にそれが正しいのか正しくないのか、良い事なのか悪い事なのか。
その基準が必要なんだな。

例えば哲学的な話になってしまうけれど
人は人を殺してよいのだろうか。という奴。

そんなものいいわけないだろう。
と思う訳だけれど世の中そう奇麗事だけじゃ終らない。
隣の国が攻めて来たらどうする?殺さざるを得ないだろう?
戦争だけじゃない。例えば国内に何の罪も無い人間を10人殺した奴がいたらどうする?
それ以上殺さないように閉じ込めるか殺してしまわざるを得ないだろう?

そう言う時に王ってのは必要になる訳だ。
王の治世を乱すものだから殺していい。
そいつらを殺す事は王の為になるのだから殺した奴は悪い事をしたどころか良い事をしたって事になる。

人は人を殺してよいのだろうか。
いいのさ。王様の為ならば。

この便利な概念を使う為に、人は王を敬うのだ。
敬うだけじゃない。反発するものだって国の中にはいるけれどそれだって王を基準にして考えられる。
王の支配にはもううんざりだ。王を倒して俺が王になる。
全て王が基準になって考えられる。

そういう事だ。
王がいるだけで色々な事がとても判りやすくなる。
0か1か。
その判断の為に王はいるのだ。


最初の質問に戻ろうか。
王になりたいと考えた事があるだろうか。

もしあるというのならそれに対する僕のアドバイスはこうだ。
いい事もある。
しかし、ならないにこしたものではないし、
何でもできる王でも、できない事はあるって事だけは知っておいた方がいい。


@

いや、まあでももしかしたら、とも思う。
もしかすると僕の子供あたりになるとなって良かったと思うのかもしれない。
いや、僕だって良かったと思う事は多々ある。あるとも。
でも同じ位良くないと思う事だってあるのだ。

きっと王である事が当たり前に感じられるようになるのは僕の子供か孫あたりなんだろう。
僕が王で良いのだろうか。
こんな事を悩むのは、こんな気持になるのはきっとこの国では3代目である僕が最初で最後になるんだろう。
そう思う。


最初に王になったのは僕の爺さんだった。
僕が物心付いた頃は既に国王を退いており、
僕には甘くてとても優しい人という印象しかないが、これがまた優秀な人だった。

簡潔に纏めるとこうなる。

地方の農村の長だった爺さんは飢饉の際に自衛の為の組織を作ったのが切っ掛けで、
それがどうしたもんだか周囲の村を巻き込んだ連合体の作成となって、
あれよあれよという間に領地を増やし、飲み込み、切り取った末、
一代で周囲の領主達を全て飲み込んで僅か40年程でこの広大な王国を作り上げた。

書けばそんなもんだが実際やったのだからたいしたものだ。
そんな風だから国産みの物語として爺さんの話は今は国中で語られており、
話半分に聞いたって大層な伝説には事欠かない。

なにせ周囲を全て敵にまわしながら大会戦を軽く10回、
小さいのを含めると100以上の戦争の悉くに勝利した結果での王国の樹立である。
物語として読むととても面白いが、当時はさぞかし凄かったのだろうと思う。
僕が遊びに行くと目元をぐんにゃり曲げて抱き上げてくれた優しい爺さんだったけれど
敵には鬼神、魔神と恐れられたというのだから人は判らない。

爺さんがそうやって広大な領土を手に入れた後、次に王となったのは僕の父だった。
父は爺さんに付いて各地を転戦したという意味では歴戦の勇者であった事は間違いないだろうが
寧ろその仕事の多くは国王になってから為された。
つまり、父はこれまた優秀だった。爺さんとは違う方向で。
爺さんは何だかんだ言っても要は地方の農村の長だった。
戦争には強かったが、国を作って王になった途端、何をやっていいのか判らなかったのだろう。
父に全てを任せて国王を退いて、後は昔の仲間と酒盛りなんかをやって楽しく過ごしていた。

爺さんに全てを任された父は国内から優秀な人間を集めて政治を行った。
連合体に近かったこの国を国王を中心とした強大な国に作り変えたのは父の力だ。
父の治世は15年に渡り、その間に父は戦争を治め、国内を安定させ、
ある意味では徹底的な粛清を行い、そして強大な権力をすべて国王の元に集めた。
それを全部やった後、父は満足しきった顔で17歳だった僕に国を譲り、
思い残す事は無いとばかりにあっさりと病気で死んだ。
当然爺さんはその前に死んでいた。

そして僕だ。
爺さんと父さんが大層働いたお陰で、国内は安定し、
長く続いた戦争は過去のものとなり民の声は喜びに溢れている。
つまりは平和だ。
国内は国王を中心とした強力な体制を引いているお陰で穀物も安定して生産されており飢える事はなく、
町には様々な文化が生まれている。
爺さんと父さんが作った法律は優秀で、しかも野心を持たない政治家達によって磨き上げられ、
悪商が栄える事もただ虐げられる国民も存在しない。
外交関係も順調で確かに敵対する勢力もいないではないが、
こちらの繁栄に合わせるように近年では寧ろ共に手を取って栄えようという風潮に変わってきている。
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by obtaining | 2009-07-07 12:02 | document

鈴と王様


神よ、変えることのできるものについてそれを変えるだけの勇気を
変えることのできないものについてはそれを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして変えることのできるものと、変えることのできないものとを識別する知恵を与えたまえ。

ラインホールド・ニーバー 祈り
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by obtaining | 2009-07-07 11:59 | document