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PainKiller2 Hydrangea

「咲野ですが、御前にお返ししたいのですが。」
俺がそういうと御前ははて。と首を捻った。

「ほう。何か問題でもあったのか?」
とぼけていやがる。

「いえ、大変良く働いて貰ってはいます。」

「なら問題ないではないか。一度受け取ったものを返すなんてそんな野暮な事を言うな。
 一度受け取ったならお前が最後まで責任を持て。」

「最後まで責任を持てって咲野は犬や猫じゃないんですから。そういう事じゃなくてですね。
 もう咲野を家に置いておく訳にいかないんですよ。
 御前。はっきりと申し上げます。
 御前はどういう教育をメイドにされてるんですか。」

「ほう…お前にそれを言われるとは思わなかったな。何かあったのか。」
あごひげを撫でながら目を丸くして口を開く御前の前にずいと歩み寄る。

「何かあったなんてもんじゃありません!確かに家は綺麗になりました。
 料理もおイネさんに勝るとも劣らない腕前を持っていることは判りました。
 醤油とオカカの味の染みたこんにゃくの煮物なんていうのは昨今の若い女性にはそうそう作れるものじゃない。
 その上掃除に洗濯、目まぐるしく働いてくれてありがたい事この上ない。
 随分と楽になりました。」

「なんだ。何の問題もないじゃないか。」

「ええ、メイドとしては何の問題もない。
 しかし!彼女が風呂場に忍び込んでくるとなると話は別です!」
びしっと御前を指差す。
どうだ。ショックだろう。

「何を言っているんだ。風呂場にメイドが来て何が悪い。寧ろいないほうが困る。
 背中をどうやって流すんだ。」
ショックを受けると期待した俺が馬鹿だった。
平然と答える御前に怒鳴り散らす。

「わ、わ、わ、私がどんな目に遭ったと思っているんです!御前!!
ふ、ふ、風呂に入っていたらか、か、彼女が裸になって」

「ん?メイド服は脱ぐだろうが下着は着ていなかったのか?」
む、と眉を寄せる御前。

「ああもう、そういう事は問題じゃないでしょう!!
 確かに黒いストッキングと下着は付けていたが、だから何なんです!?」

「ああ良かった。そうだろう?咲野は主人の前で言われもせずに全裸に為るような子じゃあないと思ってたんだ。」
ほうと胸を撫で下ろす御前。
と、横に控えた30そこそこだろうか、御前お気に入りのやたらと艶っぽいメイド長まで
一緒になってほっとしたように息を吐く。
なんなんだ、お前ら。

「なら何の問題もないじゃないか。なあ、由岐乃。」
「そうですよ拓郎様。私、心臓が止まるかと思ってしまいました。
 咲野がそんなはしたない事をしただなんて。」
私の責任になってしまいますわ。とメイド長がいかにも吃驚したという風にエプロンを掴みながら言う。

「・・・ええと、何が違うんです?」

「何を言っている。メイド服と云うのはだな、汚れても良い服ではあるが、汚しても良い服ではない。
 風呂場にて奉仕する際に脱ぐのは当たり前だろう?」

「御前、言っている意味が良く判りません。」

「それはお前の理解が足りないだけだ。まあいい、何を言っているんだ。何の問題もないじゃないか。
それで、背中を流してもらったんだろう?」

「御前、何を言っているんですか!流してもらう訳にいかないでしょう?そんな。
私は、でも私は頭が真っ白になってしまって、でもそうでしょう?あんな、白い上下の下着に
黒いストッキングだけみたいな格好を見せられたら。だれだってしどろもどろになってしまう。
だからべ、便所に行くと言って彼女の体を出来るだけ見ないようにして外に出ようとしたら御前、
いったい、な、な、何て言ったと思います?彼女が!」

「最近外は寒いからゆばりだったら風呂場でして下さいませとかそんな事だろう。」

「そうです!しかも彼女、跪くなり宜しかったら私の手か口になさいますかとか言って
手をお椀のように広げてってええええええ御前えええええ?」

「当たり前じゃないか。何が悪いんだ。なあ。」
御前の言葉に満足げに頷く艶っぽいメイド長。

「ご主人様に付随するものそれ全て尊いものであることは当然で御座います。
況やご主人様から出されたものなら尚更。
しかし一般的に考えて風呂場でおゆばりを出す事は衛生的に多少問題がある事もしかり。
で、あればメイドがその手か口を使おうとする事は当然と言えば当然。当たり前の事でしょう。」

「いやいやいやいや嘘だ嘘だ嘘だ。」
俺の言葉を無視してメイド長は続ける。

「しかし、教育されたメイドとは言え、事急を要する事態に正しい判断をするというのは中々難しいもの。
とっさのうちにそれだけの判断が出来る用になるとは、」
拓郎様の躾が宜しいからでしょうね。とにこにこと笑うメイド長。
そうだろう、そうだろう。わしの目に間違いはないからな。と目を閉じて頷く御前。

「ありえない、いやいやいやありえないでしょう。いやおかしいでしょう。」
なんだその成長した子供を見るような慈愛に満ちた態度は。

「で、どうしたんだそれで。」

「慌てて振り切って服を着て飛び出しましたよ。当たり前でしょう?
で、次の日からは私が入っている風呂場へは絶対に入るなときつく申し渡しました。」

「なんだ、つまらん。じゃあ、手を出してないのか。」

「手を出すも出さないも無いですよ!それに、それだけじゃないんです。いいですか、聞いてくださいよ。
その事があって、私は咲野を呼んで懇々と説教をしました。
若い娘が人前で、例え雇い主である私の前ででも独身の男に肌を晒すという事がどういう事か、
男とはいかに危険なものか、若い娘とはそれから身を守る術をいかにして持たなければいけないのかと。
判るような判らないような今一釈然としないような顔をしていましたが、
最後にはご主人様が仰るのならと納得して貰いました。でです、その話の折!」

「どうした。」

「まず始めに、御前には正直にいいますよ。ええ、ええ。確かに。私も正直になります。
確かに私にも下心が無いといったら嘘でした。
御前の言っていた事も全て否定するつもりはありません。
私だって健全な青年です。家のメイドに手をつけたなんて話は珍しい話じゃないですしね。
それに咲野はあの器量です。正直、毒を喰らわば皿までと思わなかった訳でもない。
無論、お互いの気心がしれて、結婚の覚悟がお互いに出来てからですがね。」

「毒じゃないぞ。薬じゃないか。」
ははははは。と何が可笑しいのか御前が笑う。
お戯れ程度なら兎も角、拓郎様とご結婚だなんて、そんな冗談を言われたら咲野が卒倒してしまいますわ。
とメイド長がさも可笑しそうに笑う。
だからこの人たち何処が可笑しいんだ。
外国にいるかのような錯覚を味わう。

「で す が !話を聞いてください!
正直、確かにそういう気持ちが全く無かったといえば嘘になるんです。
し か し、しかしです!彼女が1 8 歳以下と知れば話は別 で す。
咲野はしっかりしているし凛として体型もそこらの若い娘よりよっぽど大人っぽい。
私はだからてっきり年上だと思っていたのです。もしくは同じ位の年なのかと。
それがなんですか。17歳!彼女は言いましたよ私の前で。自分の年は17歳であると!
御前、ご存知でしたか?咲野は17歳なのですよ!
御前はメイドにどういう教育をされているのか、私は目を疑いましたよ。
そんな、年端もいかぬ若いメイドにふ、風呂場で下着になるだなんてそんなふしだらな真似を・・・」

「風呂場でメイド服を脱ぐのは当たり前じゃないか。ふしだらとは違うだろう。
それに咲野は8つでうちに来て、来月が誕生日だから今はまだ16の筈だ。」
なあ、とメイド長に振る御前。ええ。ご主人様の仰るとおりです。と頷くメイド長。

「うう・・ああ!もう!違う、違う!そういう事を言っているのではありません。
御前は、そういう事を若いメイドにさせているのですか?とそういう事を言っているのです。」

「いいや、ワシはああいう若いのは好かん。風呂場での世話はもっぱらこいつか年長の連中だ。」
やはり女は30辺りにならないと味が出ん。と呟く御前の言葉。
いやですわ。とか言いつつわずかに自慢げに胸を張るメイド長。
何だ?何を言ってるんだこの人たち。

「拓郎様、ご主人様は18歳になるまで決して新人のメイドにはお手を付けられません。」
ずいと前に出ながらメイド長はやや自慢げにこう言い放つ。
18歳になるまでって・・・

「御前、あなた・・・」
今、自分が凄い顔をしている事を自覚しつつも顔が歪むのを止められない。

「御前、もしや年若いメイド全てに手を付けている訳ではありませんよね。」
「む。馬鹿なことを言うな!」
一喝されてはっと気が付く。

「いや、これは申し訳ありません。失礼な事を申しました。」
失言だった。慌てて頭を下げる。いくらなんでも御前を色情魔扱いして良い訳がなかった。
御前も御一人となって久しい。
稀にメイドの一人や二人に手を付けられるのはそれこそ仕方がない事だろう。
俺がどうこう言っていい話ではなかった。

「全てとは何だ!このワシに向かってなんて言い草だ。
今、由岐乃が言っただろう。18の誕生日までは教育の期間。
それまでは無垢のまま育てるに決まっているだろう。風呂場にも寝室にも上げん!
それに18に為った時に一度手を付けるだけだ。それも成長を確かめる為にだ!
その子達の将来を考えてこその措置だ!
大体ワシのメイドだ!ワシが成長を確認して何が悪い!
そんな色情魔のような言い方をする奴がいるか!」
ワシを何だと思っている!とぷりぷりと怒る御前。

「御前、言っている意味が良く判りません。」
考えたくない。頭を抱える。

「まったく。まあ、とにかく咲野はお前が引き取ったんだからお前がなんとかせい。」
がっくりと首を折った俺にぷかりとキセルを一回燻らしてみせると、御前は厳しい顔でそう伝えてきた。
と、何かを思いついたようにカンと灰皿をキセルで叩く。

「ああ、そうだ。咲野だがな。お前の言っていたのはそれで全てか?」

「なんです?」
「風呂場だけか、と聞いている。」

「そうですけれど」
そういう事ならいい。と言って御前は手を振った。
今日の面会はこれで終わりだ、という合図だ。
仕事用の書類を片付ける。

由岐乃さんに上着を着せ掛けてもらってから御前に辞去の挨拶をし、
背中を向けると声が追いかけてきた。。
「あれは獨女だ。」
「ひとりご?」
一人っ子という意味か?
「慣れん事もあるだろうが一生懸命やる娘だ。優しくしてやってくれ。」
そう言うと御前はどっかりと椅子に座ったままもう一度手を振った。

@@
御前の屋敷を出ると、咲野がメイド服姿で庭先のベンチの上にちょこんと座り込む格好で俺を待っていた。
紫陽花の花を眺めている。

「なんだ、そんな所で待ってたのか。仲間がいるんだろう?挨拶はしたのか?」
後ろから声を掛けると、その背中がびくりと震えた。

「ええ、皆には先ほど。」
なんだかもじもじと怯えたように話す咲野に手を伸ばす。

「そうか、俺も仕事は終わった。帰ろう。」
そう言うと咲野はびっくりとした顔をした。
「……宜しいのですか?」

「何が宜しいんだ?帰るぞ。途中で魚屋に寄ろう。今日の飯は刺身にしよう。」

咲野はしばし呆然としたまま俺の顔を見上げた。
その手を持ってぐいとベンチから引き上げる。

「きゃあ!拓郎様っ!」
「ぼんやりするな。帰ると言っているんだ。」

「…あの、一緒に帰ってもよいのですか?」
聞こえない振りをして歩き出す。
こんな事になり、咲野にこんな顔をさせるのなら、御前の所に戻す等と言わなければ良かった。
先走って一言多く言い過ぎるのが俺の悪い所だ。
今後は黙っておく事にしよう。

「紫陽花、好きなのか?」
後ろをちょこちょこと付いて来た咲野に声を掛ける。
もうこの話は終わりだ。という合図。

咲野は暫く考えたように黙ってからてててと走って横に並んできた。
「はい。紫陽花の淡い紫の色って見ているととても心が落ち着きます。」

「紫陽花はオタクサとも言う。何故だか知っているか?」
「いえ。何故ですか?」

「なんでも江戸時代に日本に来ていた医師のシーボルトという奴が付けたらしい。
日本に来た後、祖国に帰ってから本を書いた。
その中で紫陽花の名前を日本でそう呼ばれているとし、オタクサと名付けたらしいんだが…
実はこれが大嘘でな。日本じゃそんな風には呼ばれていなかった。」

「じゃあなんでそんな名前を」

「シーボルトが日本にいた時の恋人の名前を付けたのさ。
その名前がお滝さん。でオタクサって訳だ。」

「へえ。そうなんですか。」
ちょっとロマンチックなお話ですね。と言いながら咲野が微笑む。

「好きならうちの庭にも植えればいい。世話はお前がしろよ。」
「え?」
「枯らさないようにしろ。」
命あるものとは一度関わりを持ちめ始めたら、最後まで関わっていかないといけないからな。
そう言うと咲野は慌てたようにはい。とそう答えた。


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by obtaining | 2008-05-25 22:41 | document

まさか

今日は高橋建だから安心かな。とか思う日が来るとは。


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documentに剣2 Estranged,禁断少女を更新。
Linkにツクバ屋さんを追加。
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by obtaining | 2008-05-23 18:52 | diary

剣2 Estranged その5

覗き穴からはもう、何も見えていなかった。
いや、おかしいのは俺の目の方か。
いつの間にか視線は覗き穴を逸れていて、俺は壁をじっと見詰めていた。
呆然と視線だけがずれてぺたんと俺は座り込み、目の前の壁をじっと見詰めていた。

ぽんと、肩が叩かれ振り返った。

「どうだった?ご主人?」
そのハルトの視線に何らかの違和感を感じ、
胡乱な頭でそれが何かを理解できずにその顔をじっと俺は見返していた。
何が違う?
ハルトは笑っていなかった。
そこに笑顔があり、ハルトが抱えている酒瓶もその格好も今までと同じだったが、ハルトは笑ってはいなかった。

今、真剣に顔を見返してみると
ハルトは貼り付けたような笑顔を浮かべていた。
唇が開かれ、豪快に歯が見えていて垂れた様な目
一見豪快な笑い方に見えて…
でも断じて笑顔ではない何か作られた表情を浮かべながら窺うようにハルトが俺を見ていた。

しばらくハルトの顔を眺めていた。

気が付いている。
急にそう思って、その瞬間背筋がぞっとそそけ立った。

「どうした。ん?ご主人?」
漆黒に塗り潰された感情の無い目だった。
人を見る商売をやっていると偶に見かける戦場から返ってきたばかりの元兵士や
何かから逃げている男特有の一種独特の顔つき。
大地に根を張っていない男の目。

笑っていない。

何故??
何故だ?。
どうして??
ハルトは俺とサクヤの関係に気が付いている。
いや、ハルトだけではないのかも知れない。
もしや、最初から知っていて?
ハルトの顔面に張り付いた笑顔が仮面のように軋むと、笑い声のような高い声がその口から迸った。
穴のように見えるハルトの漆黒の目が顔面の中心からどんどんと広がっていくように感じて顔を逸らした。

「うははは。どうした?ご主人、興 奮 し て しまったのか?
恥ずかしがる事は無い。若いんだから当たり前だろう?」
ハルトの声が虚ろに耳の中に響く。
視野が急速に窄まり、ハルトの漆黒の目に吸い込まれるように視線が引き寄せられる。
前後、高低の区別が付かない、姿勢の制御が出来ないような身の竦む感触。

笑っていない。これは笑顔じゃない。

駄目だ。気が付いている。気が付かれている。
そんな馬鹿な。
いつからだ?いつから、知っていてこの男達は?
知った上で、俺からサクヤを?
もしかして、最初から知っていた上で俺からサクヤを?

「はは、そんなじょ、ご冗談を。さ、私はこれで失礼致します。」
肩に掛かっていたハルトの手を振り落とし、立ち上がった瞬間によろめいた。
壁に手を着く。
よろめきながら歩きドアを開いた瞬間、後ろからハルトに声を掛けられた。

「ご主人、我々はご主人に感謝している。」
振り向かず、体だけを止めた。
後ろからの声は続いた。

「聞け、ご主人。どこの市民も我々を熱狂的に歓迎してはくれるが、ただそれだけだ。
我々はモンスターを殺す事だけを求められ、そして人間に似た何かを殺して廻っている。
毎日毎日な。この王国からモンスターがいなくなるまで、それは続く。
我々は勇者と呼ばれ、それがいつまでもいつまでもいつまでも続いていく。
ご主人。
我々が勇者と呼ばれ、何でも好きなようにでき、何でも得られるとお思いだろう。」

後ろでくつくつと、聞いた事の無い音で何かが笑った。
喉ではない、肺の中から出てきているような笑い声。

「大抵の市民は熱烈に我々を求めはするものの我々に何かを与えようとはしない。
一切、一切与えようとはしない。精々がモンスターを狩る為にどうしても必要な何か。その位だ。
それ以上は一切無い。我々が必要な物は、欲しい物は絶対に与えてはくれん。
ご主人にはわからんだろうがな。」

くつくつ、くつくつと。30過ぎの男が立てる笑い声ではない
子供の立てる抑え切れない笑い声のようにも聞こえる何か。

「我々は獣ではない。我々は勇者と云う名の獣ではない。
我々は人間だ。ご主人らと同じ、何ら変わりのないな。
我々は自らが得たいもののみを要求し、自らは何も手放さず失おうとしないようなものを人間とは見做さない。
そのようなものこそ獣と見做す。 」

「我々は獣の為には働かん。
我々は人間で、我々が信頼する人間、感謝する人間、救いたい人間は、我々と同じ人間なのだからな。
わかるか?ご主人
得たいものを得る為に失うものを許容できるご主人のような、
立派に市民の務めを果たしている人間の為のみに我々は働いているのだ。
我々を勇者等と呼び、自らは何も手放さない人間の為にでは断じてない。
うんざりしている。そういうのにはな。 」

「我々Mutは守るべき市民であり、街であり、国家の為に働く。
判 る か?ご主人
それの為に人間に似たモンスターという名の生き物を殺戮するのだ。
我 々 の 為 に 失 う 事 を 選 択 し た ご 主 人 。
我々は、そのような行為を嬉しく思い、信頼し、ご主人のような市民の為に町を守る。
ご 主 人 が い る か ら 、我 々 は こ の 街 の 為 に 力 を 尽 く す 気 に な れ る の だ よ。」

ハルトの奇怪な笑い声が追いかけてくる。

「…ああ、ご主人。
は や く 階 下 に 下 り た 方 が 良 い な。
サクヤが部屋を出る前に。
いつものように、いつものようにご主人が待っていてあげなくては可哀相だからな。」
まあ、あの様子ではまだまだ時間はあるかもしれん。
アイスベルクはサクヤの今日の反応にいたく満足しているように見えるからな。

後ろからのその言葉には答えずにドアを閉じ、階段に向けて2、3歩歩いた後、
足が萎えたように膝を折り、俺は床にへたり込んだ。


@@

悪意、悪意が。

法とは、税とは市民の義務だ。
国を守るための、我々の住まう王国の権威を保つ為の、
ひいては我々が安全を得るための我々が自ら守るべき義務だ。
為政者に望まれない使われ方をする事もあるとはいえ、
それそのものに悪意などあろう筈が無い。
市民はそれを支払い、それを守り、そして平和な生活を保つ。

俺は子供じゃない。既に独立独歩の人間で、
犯罪、死、陰謀、政治、そんなものとも無縁の人間だ。
法に救われる事はあっても法に虐げられる事など、有りうべくもなかった。
それそのものに悪意があった場合など、想像する事もなかった。

だから税の為に、法の為に、国の為に差し出したのだ。
悪意の為に、何かの不満に対する腹いせの為に使われるために差し出した訳では断じてなかった。

なあ、市民がモンスターに襲われないように国はMutを作ったのだろう?
初めてそれを聞いた時、街に勇者様が来てくれると聞いた時、俺はそれこそ法だと思った。
国は俺を守り、剣は持てずとも俺は俺のやり方で国を守ろうと。

法の下に街は勇者が守ってくれる。
じゃあ、法の下でモンスターに襲われているサクヤは?

初めて朝まで帰ってこなかったサクヤに
過ちを犯し、剣を持たず、正義も法も持たない俺が、何を?

誰にも裁かれない俺に、誰が罰を。


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by obtaining | 2008-05-20 09:19 | document

剣2 Estranged その4

アイスベルクはサクヤを横抱きに抱えたままベッドへと上がっていった。
そしてサクヤを自分の腹の上に座らせるように下ろしながら仰向けに寝そべり、
腕を動かしてサクヤの下半身を覆っていた唯一の下着を取り去るとベッドの向こうへと投げ捨てた。
「あっ・・・やっ…」
サクヤは完全な全裸にされた格好でぺたんとアイスベルクの腹の上に座り込んだ。
両足を開き、両腿でアイスベルクの腹をまたぐ様にしてぺたんと座り、
何も身に付けていない下半身をじかにアイスベルクの腹に触れさせていた。
片手で胸を隠し、片腕を仰向けに寝転んでいるアイスベルクの胸に真っ直ぐ突く様にして体のバランスをとっている。

しばらくもぞもぞとその体勢でいた後、
サクヤは覚悟を決めたように一度ぎゅっと目を瞑るとアイスベルクの顔に視線を移し、
それから跨いでいる両腿を動かすようにするとアイスベルクの腹の上だったその位置から徐々に下の方へと座る位置を動かしていった。

それを見た一瞬、俺は思わず壁に手を叩きつけそうになり慌てて手を握った。
サクヤがアイスベルクが挿入しやすいように自らの位置を変えている、そのように見えたのだ。
そして恐らくそれは正解だった。
アイスベルクにそう動けと教え込まれ、そう動く事が当たり前なのだと思っているであろうその動き。
何も言われずともサクヤは自分がそう動くべきだという事を判っているようだった。

アイスベルクの顔を見つめながら徐々に下のほうへと座る位置をずらして行き、
サクヤはある位置で動きを止めた。
胸を隠していた片手を外し、アイスベルクの胸に突いてバランスをとっていた手も外すと
抱きつくように自分の上半身を倒し、アイスベルクの上半身に被せていく。
ぴったりとサクヤとアイスベルクの上半身がくっつく。
その瞬間、アイスベルクがサクヤの肩に両手を置き、ぐっと自分の下腹部の方へとサクヤの体全体を沈めるような動きをさせ、同時に突き上げるように腰を動かした。
「あっ!ああっ!……んっ!…あんっ!」
アイスベルクの行ったわずかなその動きだけであっさりとサクヤは貫かれていた。
貫かれたその瞬間、カクンと顎を突き上げるように仰け反らせると
サクヤは伸ばすように高い声をあげ、暫く喉を震わせるようにしてからがっくりと首を折った。
根元まで完全に貫かれているのだろう。
サクヤとアイスベルクの腰の部分はしっかりとくっついていた。

ベッドの上に上がってからアイスベルクがサクヤを貫くそれまでの動作の間、二人は一言も発しておらず
その事によってサクヤとアイスベルクは幾度もこのような方法で行為を行っているのだと云う事を俺は確信した。
サクヤはこのようにするように、このようにされるようにアイスベルクに何度も教え込まれたのだ。

サクヤを貫いたにも拘らず、アイスベルクはすぐに腰を動かし始めるような様子は見せなかった。
サクヤはアイスベルクにしがみ付く様な格好のまま、衝撃を耐えるように目を強く瞑っていた。
漏れ出る声を抑え込むように歯を食いしばり、
それでもサクヤは2度、3度と声を出す寸前の状態まで口を開き、そしてそれを耐えるように手を握り締めていた。
暫くそうした後、サクヤはゆっくりと握り締めた手を開き、それから顔を持ち上げた。
一度息を吐き、乱れた髪を一度かき上げ
上半身をアイスベルクとぴったりとくっつけさせた格好のまま顔だけを動かし、アイスベルクに唇を合わせていく。

サクヤの喉がこくこくと動き、暫くしてアイスベルクが何かを飲み込むように喉を鳴らした。
サクヤはそれから暫くゆっくりと喉を動かしながらアイスベルクと唇を合わせ続けると
顔をあげて少し上気した顔で息を整えた。
そして3度ほど息を吐くとまたアイスベルクの顔に自分の唇を合わせていく。
サクヤは両足を開きアイスベルクの腰を跨ぐ格好で貫かれ、上半身を預けた格好で
アイスベルクと何度も唇を合わせ続けた。

ベッドに上がって以降、サクヤの動きが変わったように俺は感じていた。
サクヤの言っていた通り相手の体を拭う為の行為からアイスベルクの血の滾りを抑える為の行為に変わったからなのか。
先程のアイスベルクが挿入しやすいように動かすような腹の上での動きだけではない。
今、サクヤは自ら相手の口へ深く舌を差しこむようにしながら
何度もアイスベルクの上で顔をゆっくりと動かしていた。
二人の腰はぴったりとくっついたまま全く動いてはいなかったが、二人が繋がったままでいる事は間違いなく、
その証拠にサクヤは先程から全身を上気させ、汗を滲ませておりその白い肌はてかるように光っていた。

30分程もそうやってサクヤはアイスベルクに貫かれたまま唇だけを従順に合わせ続けている。
俺はぼうと覗き穴に目を当て続けていた。時間が永遠に続くように感じられた。
下から貫かれているサクヤの表情はサクヤ自身の髪と
唇を合わせているアイスベルクの顔に隠れて見えなかった。
俺は一度だけしたサクヤとのキスの時、あの時のうっとりとした顔を思い出し、
そしてサクヤが今、その表情をしていない事だけをただ願っていた。

アイスベルクはようやくサクヤの唇を使ったその奉仕を十分に楽しんだと判断したのか、若しくは飽いたのだろう。
ゆっくりと片腕を動かしぴったりとくっついている二人の上半身の間に手を差し込むと
サクヤの乳房を弄い始めた。
サクヤの胸元にアイスベルクの手が潜り込んだその瞬間、サクヤの顔がまたカクンと跳ね上がった。

「あんっ…勇者様…」
ぴったりとくっついていた上半身を少し起こすようにしてサクヤが小さく喘ぐように声を上げる。
繋がった瞬間を除けば、これがベッドに上がった後、初めてサクヤが上げた声だった。
サクヤが上半身を軽く上げた所為で自由に手を動かせるようになったアイスベルクが
サクヤの乳房を揉み回し始める。
サクヤはアイスベルクの顔に自らの顔を寄せようとする度に乳房を弄われ、
その度に首を振ったり、あるいはがっくりと首を折り、
その結果アイスベルクの喉物や胸元に顔をこすり付けるようにしながら
漏れ出てしまそうになる小さく喘ぐその声を抑えようとしていた。
アイスベルクは手の動きを止めず、サクヤのその様子を薄く笑うような顔で暫く眺めるとゆっくりと口を開いた。

「どうした?何をしているんだ?サクヤ。」
「キスです。勇者様にキスを…あ、ああっ・・・やっ…出来ないですから、勇者様…手、手を」
アイスベルクに顔を付き合わせるように覆い被さったまま、サクヤは自分の乳房を弄っているアイスベルクの手の上に自分の手を守るように置いた。
「乳首が尖りきってるぞ。そら。」
「いや・・・…あ、ああっ!」
乳房の先端を摘むように弄うアイスベルクの指に違うと言うようにサクヤは何度か首を振った。
ざっくりと乱れた髪が揺れる。
暫くして乳房を弄う手は外してはもらえないと悟ったのだろう、
サクヤは覚悟を決めたように自分の手を下ろすと又アイスベルクに顔を寄せていった。
相手の口へ舌を差しこんでは舌を吸わせる様にしてついばむようなそれを繰り返す。
アイスベルクの指に乳房の先端を弄われる度に反応して首を持ち上げてしまうものの、
従順にも又すぐにアイスベルクに唇を合わせていく。

アイスベルクは暫くサクヤの乳房への悪戯を楽しむようにそれを続けた後、
乳房から手を離して両手を下ろすと、サクヤの尻に手を伸ばした。
勇者達の中では細身とはいえ、アイスベルクの体も十分に逞しい筋肉で覆われている。

「動かすぞ。」
それだけを告げるように言うとサクヤの下に仰向けになったまま、
アイスベルクはサクヤの白い尻全体を両手でひょいと持ち上げる様に抱え、それからゆっくりと回すように動かし始めた
瞬間、びくんとサクヤの体全体が痙攣するように仰け反った。
サクヤの口が抑え切れないようにゆっくりと開くと、サクヤは耐え切れないように声を上げた。
「やっ…ああーーっ!あっ!あんっ!ああっ!!あんっ!やあっ!」

隣でハルトがごくりと唾を飲み込む音をさせた。
「入れてからこっち、あいつずっと動かしてなかったからな。こりゃたまらねえぞ。」
呟くように言った。
俺はその瞬間のサクヤの表情の悩ましさに目を奪われており、ハルトの言葉を理解するのが数瞬遅れた。
「え?」
「見てみろ。サクヤの反応を。」

ハルトの言葉に合わせて覗き穴に目を戻す。
サクヤ。
アイスベルクに抱かれているサクヤの顔を。

サクヤは、俺が見たことの無い顔をしていた。戸惑いのような表情もそこには確かにあった、
しかし俺とキスをしたときのうっとりとした顔と似た、しかしそれとも違う表情がそこにあった。
30分に渡ってその膣に男の物を挿入され続け、間違いなく快感を感じているサクヤの顔。
男に全てを掌握され、少なくとも今この瞬間だけは全てをその男に見せざるを得ない女の顔を
サクヤはアイスベルクに見せていた。

「ああっ勇者様、いや!」
アイスベルクは自らは寝そべったまま軽々と両手でサクヤの尻を抱え上げ、
自分の一物を中心として悠々と動かし始めていた。
サクヤは尻を掴まれ、両手をアイスベルクの胸に突いて自らの体を支える格好のまま、狼狽の声をあげた。
アイスベルクに動かされているサクヤの尻だけがあまりにも露骨に動いていて、
その動きが自らが動かしているように感じられてあまりにも恥ずかしいのだろう。
サクヤは既に上気していたその肌に加え首筋までも真っ赤に染めてアイスベルクに懇願した。

「あんっ!ゆ、勇者様!ああ、いやああ…こ、困ります。あんっ!は、恥ずかしいっ…恥ずかしいですっ」
「ここか?サクヤ。ここか?たまらないだろ?はっ。そら。」
アイスベルクは悠々とその両腕でサクヤを思い通りに動かしている。
両腕でがっちりと押さえられ、動かされているサクヤの尻の動きに合わせて
白く、汗に濡れた上半身も同じ動きで動き、乳房がバウンドするように弾む。

「あ、あん、んん!駄目っ!ダメです!」
「そら、サクヤのがトロトロになって絡み付いてきてるぞ。
 ははは。今日はイかせてやる。」
「あん、あっ!あんっ!ああっ!」

最初のうち、アイスベルクは本格的なピストン運動ではなく、
しかしゆっくりとしたタイミングで同じ円形の軌跡を描かせながらサクヤを動かし続けた。
「あんっ!あっ!ああっ・・・酷い・・・恥ずかしい・・・勇者様・・・あんっ!」
「どうだ?サクヤ。言ってみろ。」
「勇者様っ!んっ!あんっ!わ、私、んっ!じ、自分で動けと言うなら動きますからっ!ああ…もう…酷いっ…あっ…あっ!」
サクヤは戸惑うようにその動きに否定の声を上げていたが、
アイスベルクは構わず全く同じ動きを繰り返し続けた。
そしてサクヤは徐々に、明らかに徐々に恥じらいだけではない反応を示し始めていた。

「ああっ…勇者様…恥ずかしいんです…あっあっ…それです…いやっ…あんっ!」
アイスベルクはサクヤの懇願には答えず、一切動きを変えずに
両腕で抱えたサクヤの尻を動かし続けた。

そして数十回もアイスベルクがサクヤの腰を回した後、
ある引き付けたその瞬間にサクヤの中でその何かが明らかに変わったのだろう。
びくんと体全体を震わせるとがっくりと首を前に俯かせ、こらえ切れない様な声をあげた。
「ゆ、勇者様っ!あっ!」

「どうした?」
「あっあっあっあっあっだめっ!」
がっくりと首を折るとぎゅっと目を瞑って、サクヤは抑えられないかのようにその声を漏らしている。
ぎゅんとアイスベルクの胸に突っ張ったサクヤの腕が伸び、
上半身が軽く反ってそれにより抱えられた腰が突き出されるようにくっと前へ動いた。
それを見てアイスベルクはくつと笑った。
ゆっくりと動かしていた円の軌跡に加え、今度はゆっくりとスピードは変えずに時折前後の動きを混ぜる。

「あっあっあっ・・・あっ!それもあっ…いやぁ・・・」
何度目かの前後の動きをしたある瞬間、
更にサクヤがバランスをとる為にアイスベルクの胸に突いていた手がカクンと肘の所で折れた。
俯き、目を瞑ったままぎゅっと手を握り締め、サクヤはアイスベルクの上半身に覆いかぶさっていく。
今度は肘から先全体をアイスベルクの胸に突く形となり、
アイスベルクに両腕で掴まれ、動かされている尻がサクヤのうつ伏せた上半身よりも高い位置で揺さぶられるようになったその格好でサクヤは絞るように声を出した。

「あっ!それだめっ!!駄目ですああっ!あんっ!!あっ!ああっ!!」
サクヤのその様子を見てアイスベルクがしっかりとサクヤの尻を両手で抱えたままゆっくりと円の起動を止め、
今度は前後の動きに変えた。
「ここか?ここだろ?」
そう言いながらアイスベルクは両腕を前後に動かし続けた。
「あっ!!ああっ!!!やっ!あんっ!!」
「そら、締まって来てるぞ。そら。」
「あっ!!ああっ!!!あっああっ…勇者様っだめっダメですっ!」
「そら、イけ、そら。」
「ああっ!いやっ!やあーーーっ!あっ!…ああっ!いやっ!…ンっやんっ!!!
 あっあっあんっあっあんっ!だめえっ!!」

何度かの前後の動きの最後に甲高い声を上げると、
サクヤはアイスベルクの胸に置いて自分の体を支えていた両肘の力を抜き、
汗でぬるぬるとぬめっている体を突っ伏すように下ろしてアイスベルクにしがみ付いた。
それを見てアイスベルクが持ち上げていたサクヤの尻を下ろす。
サクヤがアイスベルクにしがみ付いたままくっくっと幾度か体を震わせた。

アイスベルクは満足げな笑みを浮かべながら
しがみ付いているサクヤの震えが止まるのを待つか、余韻を楽しむようにサクヤの尻を自らの腰に押し付けていた。
しばらくして尻を抱えていた手を顔の上に持ち上げサクヤの髪を掴むと汗に濡れたサクヤの顔をくいと上向かせた。
「いやあ・・・」
サクヤが顔を俯ける。

「まだうねってるぞ。サクヤの中が。」
くつくつと笑いながら言う。

「いやっいやあ…」
「イッたな?サクヤ。イク時はイクと言えと言っただろう。」
「…ん、そんな…んう…あっ!…は、はい。勇者様…も、申し訳ありません。」
「どうして言わなかった?」
サクヤは首を幾度か振った。
そしてアイスベルクの上で未だ貫かれているそのまま、
今度は髪を掴まれた訳ではなく、自分の意思でアイスベルクの方を見上げた。
ゆっくりとした動作で上半身を少しだけ持ち上げ、肩で息を吐く。
荒い息を収めようと幾度かアイスベルクの体の上でサクヤは唾を飲むような仕草をした。
その後ゆっくりと息を吐いてからサクヤは答えた。
「そ、その初めてで判らなくて…」
「何がだ?」
「その、イクというのが…」
はっとアイスベルクは薄く鼻で笑った。
「判ったのかそれで?」

アイスベルクの言葉に暫く目を伏せるようにしてサクヤは答えなかった。
どう答えていいのか判らなかったのだろう。
アイスベルクはその様子のサクヤを見下ろしてくつともう一度笑うと再度先程のように両腕を下ろし、
サクヤの尻を掴んだ。
「きゃっっ!あっ!やあっ!勇者様っ!?んっ!あんっ!いやっ!」
そのままぐいぐいと先程と同じようにサクヤの尻を回す。
「サクヤ、俺の言葉が聞こえなかったのか?」

「ああっ…んっ!ダメです、そんな、まだ…あっ!いや、あ、あっ!あんっ!」
「おい、どうなんだ?」
「あっあっ!それ、んっ!ダメ、んっ!は、恥ずかしいっ!あっ!いや、あっ!」
「どうなんだ?サクヤ?」
「わか、判りました、あっ!」
サクヤがそう答えると、アイスベルクはサクヤの尻の動きを緩めた。
しかし先程とは違い、完全に止めるのではなくゆっくりとうねるように回す動きは継続させ続けていた。
その動きにサクヤが戸惑ったように体を捩じらせる。

「ちゃんと言うんだ。サクヤ。」
「その…これを…あっ…止めて下さりませんか・・・ああっ!!勇者様っ!わっ判りました!
サクヤは、その、イ、イク事を判りましたからっ、んっ!あんっ!」

サクヤはそこまで言うと、睨みつけるようにアイスベルクの顔に視線を移した。
そして懇願するように声を上げる。
「その、勇者、様…その…手を、あっ!あっあっあっもうっ!んっ!」
「どうした?」
「その、止めて頂かないと又…あっ!やあっ!!」
サクヤの言葉を途中まで聞くと、アイスベルクは回すようにしていたサクヤの尻の動きを止め直線的に自分の下腹部に叩き付けた。アイスベルクの一物が一気に根元までサクヤの中に叩き込まれ、それと同時にパシンという濡れた音が響く。
その瞬間、くっとサクヤの顎が軽く持ち上がった。
暫く声が出ないかのように口を開いた後にサクヤは上を見上げるように顎を上げ、
アイスベルクに懇願するかのように声を出した。
「ああ…いやあ、ゆ、勇者様、…お願いです、あの、判りましたからっ…ちゃんと、言いますから!ああ…」
サクヤの言葉を最後まで聞かぬまま、アイスベルクが再度サクヤの尻を持ち上げ、
今度は直線的な上下の動きでサクヤの尻を動かし始めた。
ぴしゃ。と濡れた音が響き、サクヤの尻の下からぬとぬとと濡れた一物が出入りし、
アイスベルクの腹に打ち付けられる度にその濡れた音が響く。
「そんな…待ってください、ああ…っダメ、イク、もう、サクヤはイキそうっ…なんです。
こ、これで、勇者様っもう、もうこれで…止め、っ!あっあんっ!」
何度目かのその動きの後、サクヤの全身がしなるようにぐぐうっと反った。
「ああ、もう、勇者様、サクヤは言いました、だから、あんっ!やっ!あっあっあっあっあっ!」
「イけ、そら、サクヤ、イけ、俺も出してやる。」
アイスベルクがサクヤの尻を両手で持ち上げたままさらに激しく上下運動を続ける。
「ああ、又、もう、あっ!だめ、イキます…勇者様っ!あああ、イク、ん、ああ!だめ。ああっ!」
「いいぞ、イけ。そら。そら!」
サクヤが2度、激しく上体を震わせ、ベッドが軋んだ音を立てた。
「イク、あああ、イキます。もうダメっ!イクッんっ!あっあっあんっ!やっ!!!ああっ!!」

最後にサクヤは仰け反るように何度も体を振るわせ、アイスベルクの上に突っ伏した。
アイスベルクはサクヤを受け止めるように一度動きを止めた後、
叩きつけるようにサクヤの尻を自分の下腹部に打ち付け
幾度か腰を捩るようにしながらその体を数回振るわせた。


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by obtaining | 2008-05-19 10:32 | document

剣2 Estranged その3

覗き穴に目を戻すと、アイスベルクが目の前で跪いているサクヤの顎を指先に引っ掛け、
その顔を眺めながらグラスを口に運んでいる所だった。
サクヤは従順にアイスベルクの言うなりに顔を上げ、
アイスベルクが顎に引っ掛けていた指を外してからもアイスベルクを見上げ続けていた。
そしてアイスベルクがワインを飲み終え、グラスをテーブルの上に置くのを待っていたように口を開いた。
「あ、あの、初めても、宜しいですか?」

「お、始まるぞ。見てみろ。ほら。」
ハルトが横で声を弾ませる。

「早くしろ。」
椅子に座った格好のままアイスベルクが冷たい声でサクヤにそう告げると
サクヤは「はい」と答え、アイスベルクの前に膝を進ませた。

サクヤはアイスベルクの足元に再度跪くと長い睫を一度しばたたかせ、
アイスベルクの着ているゆったりとした形のズボンを脱がせ始めた。
アイスベルクはさも当然といった顔つきでサクヤの手の動きに合わせて腰を浮かせている。
サクヤはアイスベルクの動きに合わせる様にズボンを緩め、そして引き下ろすようにしていた。
何度か経験しているのだろう。それはなんだか手馴れつつある手つきにも思えた。

「昨日の事を覚えてるか?。サクヤ。」
「勇者様…そういう事は仰らないで下さい…」
アイスベルクの言葉にサクヤがズボンを脱がせる手を止めないままいやいやと首を振り
「おい、俺は覚えてるかと言ったんだ。」
アイスベルクは今度は頭を小突くように手を振った。
サクヤの光沢のある髪が翻ると、さらさらと垂れ落ちてきた。

「もう…勇者様」
サクヤは顔を俯けたまま溜息をついていた。
「覚えているのか、サクヤ。」
「はい、勇者様。サクヤは覚えております。」
覚悟を決めたようにアイスベルクを見上げる。
その目つきは戸惑いと幾分かの媚が含まれていた。
俺の見たことの無い、恐らく女が自分を抱く男にだけ浮かべる媚。

そして、アイスベルクを見上げながらサクヤははっきりとこう言った。
「サクヤを、明日もお呼び下さいますか。と言いました。」

「そうだ、昨日お前は俺にそう言ったな。俺に呼ばれる前にこの部屋に来たのも今日が初めてだ。」
「…昨日、お約束致しましたから。」
「俺がモンスターを倒し、お前がその俺の血の滾りを抑える為にか?」
「…は、はい。それが私のお仕事ですから。」
アイスベルクが又サクヤの顎を指先に引っ掛け、くいと顎を上向かせた。
「…仕事か。覚えているか?
  昨日は俺が明日街の外に行くと言う前にお前はそう言ったんだぞ。明日も呼ぶのか、と。」

アイスベルクがそう言うとサクヤはぐっと顔を俯かせた。
「そ、それは最近は、毎日ですから昨日もそう思って…。」

今日もお呼び下さるのかと、そう確認したのです。と小さく呟くサクヤの言葉に
まあいい。と鼻で笑い、アイスベルクはサクヤに行為を続けるように指先を動かした。
「は、恥ずかしい……そう云う風におっしゃって私をお苛めにならないで下さいっ。」
サクヤがゆっくりとアイスベルクの足を持ち上げ、既に踝まで下げていたズボンを足から抜いていく。

そして。
サクヤがアイスベルクの両足からズボンを取り去った後にその時が来た。
一度立ち上がり、アイスベルクのズボンをゆっくりと綺麗に畳むと、
サクヤは再度アイスベルクの膝元、今度は先程よりもアイスベルクに近い位置に
白いシルクの下着姿をゆっくりと下ろして跪いた。

「勇者様、お清めして宜しいですか?」
「ああ。」
アイスベルクの返答を待ってから、
サクヤは椅子の上で反り返るような格好のアイスベルクの股座に顔を寄せていった。

そこまで見てから俺は一度だけ目を閉じて、それから又覗き穴の向こうに目を向けた。

「ん…」
アイスベルクの筋肉の発達した足に阻まれてサクヤの顔は見えなかったが、
サクヤはゆっくりと足の間に顔を沈み込ませていった。

「判るか?一度口の中に入れて大きくなるまで舌だけで綺麗にさせるんだ。
上手いもんだぜ。最初は歯を立てたりしていたけどな。」
「ど、どうして・・・」
俺の言葉にハルトがぐびりと音を立てて酒を煽りながら言った。
「一日モンスターどもと追いかけっこしてりゃぁ汗まみれになるし足に疲れが溜まる。
ああやってまず汗を拭わせると腰から疲れが抜けるって訳だ。
まるで極上の風呂に浸かるみたいな感じだぞ。」
そう言いながらハルトは覗き穴に忙しなく目をやっている。

サクヤは30秒ほどアイスベルクの股座の上で顔をじっと留めていた。
時折床に置いた両手がぴくりと震えるように動いていた。

暫くした後、沈み込ませた時と同じ速度でゆっくりと顔を持ち上げていく。
すると今度は先ほどまではこちらから見えなかった長大な一物がサクヤの口から吐き出されてきたのが見えた。
アイスベルクの股から突き出したそれにぬらぬらとサクヤの唾液がまとわり付いているのが此処からでも見える。

「んっ…」
少し体全体を持ち上げるようにしてアイスベルクの一物の先端の所まで吐き出した後、
サクヤは先端のみを咥えたまま暫くじっとしていた。
顔を持ち上げていた為、今度はゆっくりと舌を動かしているように動くサクヤの喉と
呼吸が苦しいのか、上気したような顔が見えた

もう一度ぎゅっと目を瞑る。
サクヤ。

10秒ほどそうしてからぽんっと音を立てるようにしてサクヤはアイスベルクの一物から口を離した。
口を離した勢いでアイスベルクの一物がゆっくりと揺れて動く。
先ほどのは雁首に舌を這わせていたのか。その部分が濡れ光っている。
はあ、とサクヤが吐き出した息が白く室内に煙った。

サクヤと婚約する前の話だが、俺は数人の女は知っていた。
半分娼婦のような酒場の女だったが、
しかし口でそれを咥えるなど一度もそのような事をしてもらった事は無かった。
無論宿屋と酒場をやっているのだ。その様な行為があることは知っていたが。
目の前の光景を見ながらサクヤのその行為が
どのような快感をアイスベルクに与えているのかを全く想像できなかった。

「汗臭いか?」
アイスベルクのものから口を離し、一度ゆっくりと息を吐いたサクヤにアイスベルクは声を掛けた。
溜まった唾だろうか、ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ後、サクヤはアイスベルクを見上げ
「勇者様が街を守って下さった、そのお味が致します。」
そう答えていた。

「そうか、今日は一日中歩き回っただけのようなものだ。大分汗をかいた。綺麗にしろ。」
アイスベルクの言葉に頷きも首を振りもせずサクヤははい、と答えると当たり前のように立ち上がり、
部屋の入り口近くに既に用意しておいたものであろう、幾枚かのタオルと水差しを手に取った。

タオルに水差しの水を垂らし、今度はアイスベルクの上半身をはだけさせながらその肌を拭っていく。
上半身、更には跪いて両脚とアイスベルクの全身をタオルを幾度か取り替えながら時間を掛けて拭い終えると、
サクヤは立ち上がった。
タオルを置き、一度呼吸を整えるように息を吐く。
そしてアイスベルクに身を寄せて「失礼致します。」と言ってからサクヤは
手元に置いておいた水差しを傾けて口に含むとそのままアイスベルクの顔に覆い被さり、唇を合わせていった。
サクヤの喉がこくこくと動く。

もう一度、目を閉じた。
サクヤがアイスベルクの股座に顔を沈ませたその時よりもショックを受けている自分を認めた。

俺は一度だけ、サクヤとキスをしていた。
俺が自室で売り上げの計算をしていて、サクヤが一人、後ろで本を読みながら何か歌を歌っていた。
細かな計算に倦んだ俺がぐぐうっと伸びをしてサクヤと目が合って。
お互い言葉は交わさなかった。
サクヤは本を置いて歌を止め、悪戯っぽく笑った後俺の方に来て、
俺はサクヤにキスしても良いかとも聞かず、
伸び上がってきたサクヤを抱きとめていつの間にかキスをして、
それから2人で何がおかしかったのかも判らずに、ずっと笑った。

サクヤは数秒間そうした後、アイスベルクから唇を離して水差しを床に置いてアイスベルクの膝元に跪いた。
アイスベルクが何度か口を動かすとべっと水をサクヤの跪いている脇の床に吐き出し、
それをサクヤが跪いてタオルで拭っていく。
サクヤは全て拭い終わると、跪いた格好のまま一度肩に掛かったシルクの下着の紐を直すようなしぐさを見せた。

「勇者様、こちらの方もお清めさせて頂いても宜しいですか?」
「ああ。続けろ。」
アイスベルクの頷きに合わせ、サクヤはためらいも無く膝を進めると、股間に顔を寄せていった。
今度は口の中に入れるのではなく、顔をアイスベルクの一物のある位置よりもずっと下に沈めて
ゆっくりと顔を動かしていく。

「ああやって袋の部分から全体を舌でこじる様に舐めてくるんだ。クソ、俺の時より熱心に見えるな。
ああ、クソ俺の時はあんなに下まで舐めて来ないぞ。」
ハルトが横で呟く。

此処からは椅子に座っているアイスベルクの足に隠れてしまい、サクヤの顔までは見えない。
それでも随分と下の方までサクヤが顔を潜らせている事は判った。
アイスベルクはサクヤの動きに合わせて微妙に腰の位置を変え続け、
じっくりと時間を掛けてサクヤにそれをさせている様に思えた。
暫くの間、10分以上の時間をかけてそうした後にサクヤはようやく顔を上げた。

「これで綺麗になったか?」
ほう、と息を吐くサクヤを椅子の上から見下ろしながらアイスベルクが口を開いた。
「ん…」
息を整えるように吐き出した後、サクヤはアイスベルクの顔を見上げながらコクンと喉を鳴らして口の中のものを飲み込み、そして恥じ入るように顔を俯けてアイスベルクの問いに答えた。
「い、意地悪を仰らないで下さい、勇者様…」
「何が意地悪だ。」
「勇者様に汚れている所など御座いません。何度も、お伝えしていますのに。」
くくっと喉を鳴らしてアイスベルクが笑う。
「そうか、それは悪かった。じゃあ言葉を変えようか。
お前の仕事の一つである、体を拭う仕事はこれで終わりか?」

サクヤは今度も又、本当に恥ずかしそうに顔を染めた。
俯いたままいやいやと2,3回首を振るとそれから諦めたように顔を上げ、今度はしっかりとアイスベルクの顔を見上げた。
「ま、まだ、終わっておりません。
ゆ、勇者様、ご存知なのにいつもいつもその様な事ばかり仰らないで下さい。」
そう言ってからサクヤはアイスベルクの返答を待つ事無く、今度は素早く顔を上げ、
力強く隆起しているアイスベルクの物に唇を被せた。
そのままゆっくりと唇を被せ、そして飲み込んでゆく。
ゆっくりとアイスベルクの太腿に近づく位まで顔を沈めると、
今度はまた同じ速度でゆっくりと顔を持ち上げていく。

されたことは無くとも、想像は出来た。
先程の口に含むだけの行為ではない、その動き。
サクヤは口とその唇を使ってアイスベルクに対し、性交を模した行為をしているのだ。
無論、このような行為もその意味もアイスベルクやハルトに教え込まれたものに違いなかった。

数回同じような動きを繰り返すと、サクヤは首の動きを速めた。
膝立ちの姿勢で両肘から先を椅子に座ったアイスベルクの両腿の上に乗せて体のバランスを取り、
顔だけを下に向けてアイスベルクのものを口に含み、くっくっと首をうねる様に動かしては上下させる行為を繰り返す。
赤く染まった目元は閉じられていた。

暫くしてアイスベルクが椅子の背もたれから体を起こし、
懸命に顔を上下させているサクヤの頭越しに背中に手を回した。
そのまま指で背中の辺りを何度か擦る様に動かすと下着が外れ、
はちきれんばかりの真っ白な美乳がぷるんと勢い良く飛び出す。
「んうっっ」
抗議するかのようにくぐもった声を上げ、それでも顔の動きを止めないサクヤに対して
隆々とした筋肉の張った腕を伸ばし、アイスベルクが露になった胸乳を手のひらで掬うように持ち上げた。
何度か揺するように手を動かした後に先端に指を伸ばしたその瞬間、
アイスベルクの股間で顔を振り続けていたサクヤの首が一瞬、カクンと反り返った。
ぽんと口から一物が飛び出す。
「んあっ……やぁ…そこ…」

いやいやと首を振り、アイスベルクを見上げるサクヤにアイスベルクが冷ややかな声を掛ける。
「どうしたサクヤ。」
「…そこをそうされると、出来なくなってしまいます。」
訴えかけるようにそう言ってからサクヤが唇を開き、またアイスベルクの一物に被せようとしたその瞬間、
又サクヤの体がぶるっと震えた。
「あっ…ああっ…あんっ!」
目を閉じたまま首を上に持ち上げ、抑えきれない様に高い声を上げる。
意図していなかった声なのであろう。真っ白な喉を晒したまま慌てて唇を噛む。
椅子の隙間からアイスベルクの両手がサクヤの乳房を弄んでいる動きが見えた。
その指が先端を弄うような動きをした瞬間、サクヤの体がまたぶるっと震えた。
「どうした?お前の仕事はおしまいか?」
「やぁ…ま、まだいつものお時間は致していません…。勇者様、手を…そんなっ…あっ!ああっ!!」
サクヤが首を前に傾けて一物に唇を被せ、深く顔を沈めようとすると
その度にアイスベルクは乳房の先端を指で弄んでいた。
サクヤはその都度カクンと体を仰け反らせながらも懸命に首を上下に振ろうとしている。

「サクヤは胸が弱いんだ。見てみろ。ほら。」
目の前の淫らな光景にハルトは興奮しきっていた。
ひっきりなしに酒瓶を傾けている。

「っんあっ……勇者様、手を…出来ませんから…もう、あっあっだめっ…ああっ…んっ…」
サクヤは度々中断してはアイスベルクに喘ぐように懇願し、
返答がないのを見ると諦めては又唇を開いてアイスベルクの一物に被せていっていた。
もはやサクヤが首を上下に動かしているその間、
ひっきりなしにアイスベルクの指がサクヤの乳房の先端を弄ぶようになっていた。

そのような行為を暫く続けた後、アイスベルクはその悪戯を十分楽しんだのだろう。
片手でサクヤの額を突付き、自分の方に顔を上向かせようとした。

サクヤは一度目のアイスベルクのその行為の時にはアイスベルクの意図に気が付かず、
再度アイスベルクの一物に唇を寄せて行こうとし、
2度目にそうされてようやく気が付いたようにアイスベルクを見上げた。

「もういい。」
アイスベルクを見上げながらその言葉にぼうと暫く考えるようにした後、
サクヤは膝立ちでアイスベルクの両腿に腕を置いて体重を支えて一物に被さるようにしていたその格好から
ぺたんと床に座り込んだ。
上気した顔を一度頷かせ、息を整えるように吐くとそれからもう一度アイスベルクを見上げた。
「勇者様、宜しいのですか?」

経験の無い俺にもサクヤが何を言っているのか判った。
サクヤはなにかをしなくて良いのか?と聞いているのだ。
恐らくその行為の先にあるであろう事を、サクヤは経験しているのだろう。
それをしなくていいのか?とサクヤはアイスベルクに聞いているのだ。

アイスベルクはそれには答えず立ち上がると、一歩前に進んで跪いているサクヤの目の前に立った。
「あ…」
顔先に再度隆起した一物を突きつけられた形のサクヤが俯く。
アイスベルクが手を持ち上げ、サクヤの頭に手を置いた。

「まずはここまででいい。お前のおかげで今日の戦闘の汚れは落とせたようだからな。」
その言葉にサクヤが自分の仕事を果たせたように思ったのか、心持ち嬉しそうに俯いた。

「さっき、お前は仕事と言ったな。じゃあサクヤ、お前の仕事をしろ。今度はどうするんだ?」

サクヤは俯いたままアイスベルクの言葉に一度びくりと体を振るわせた。
こちらからは俯いた顔の表情は窺えなかった。
幾度か首を振った後、暫くして覚悟を決めたように顔を上げたサクヤは
「その…」
と一度口ごもるようにそう言うと、アイスベルクの顔を見た。
何も返答がないのを見るとサクヤはアイスベルクの股間に唇を寄せていった。
言葉では言えないから行為で示す。そのような動きだった。
サクヤは力強く隆起したアイスベルクの一物の裏側の一番下の部分に唇を合わせるようにすると、
そこから舌を上に向けて這わせるように首を動かした。

「それがお前の仕事か?」
サクヤが一度縦に首を振った。
「…サクヤに勇者様の血の滾りをお納めさせて下さい。」
覚悟を決めるように一度唇を股間から外しそう言うと、サクヤはアイスベルクを見上げた。

「勇者様…ベッドに…」
サクヤはそれだけを言うと真っ赤に首筋を染めて
今度はアイスベルクから視線を逸らす為のように、ゆっくりと俯いた。

「それでいい。」
「きゃっ」
アイスベルクは膝を曲げて一度屈み込み、
ひょいとサクヤを持ち上げるとそのままベッドの方へと顔を向けた。



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by obtaining | 2008-05-18 11:05 | document

剣2 Estranged その2

サクヤは覗き穴の向こうで宿屋の制服の白いブラウスを脱ぎ、
紺色の短めのグレイのスカートを脱いで純白のシルクの下着姿となっていた。
軽く片腕を持ち上げて胸元だけを隠すようにしている。
前髪に軽くウエーブの掛かった漆黒の髪をもう片方の手で直しながら
特に焦る様子もなく、アイスベルクの前でベッドのシーツを直している。

この前を除けば初めてと言っていいサクヤの露になった体を見て思わず奥歯を噛み締めた。
綺麗な体だった。何かを語りかけるような表情豊かな目が印象的な顔立ちに
小麦色に焼けた肌、すらりとした肢体。剥き出しになった白くなめらかな腹。
華奢な身体つきの割りに成長途中である気配が濃厚な胸。
隠そうとする片腕の押し付けるような圧力によって
寧ろ押し上げられているようにすら見えている
体中が今成長途中にあるが故の危うい魅力に満ちていた。

そういえば、と思い出す。
結婚前にと言って俺は一度だけサクヤとキスをした事があった。
ぎゅうと抱きしめた時、サクヤの胸が俺の腹部にあたり、つい「結婚後が楽しみだな」
と呟いてしまいサクヤにいやらしい、と軽く機嫌を損ねられた事。

もう一度サクヤを見る。
下卑た感想だと思いつつも覗き穴から見えるサクヤの後姿を見て思う。
肩に垂れかかる漆黒の艶やかな髪。
身長百六十センチと少しの手足の長いスレンダーな肢体。

「その下着にも慣れたか。」
アイスベルクの低い声が聞こえて思わずそちらの方へ目をやる。
サクヤもベッドを直す手を止めてアイスベルクの方へと向き直った。

「俺が買ってやったのさ。」
思わず覗き穴から目を離し、ははは。と笑いながら小さく声を出した隣のハルトの方を向いた。
「な、何をで御座いましょうか。」
そのハルトも片手に酒瓶を抱え、ちらちらと覗き穴を覗きながら忙しく酒瓶をそのまま口に運んでいる。

「下着さ。安物しか持っていないようだったからな。
  俺達の相手をするからには身に付ける物にも気を使えと言って街でシルクのを買ってきてやった。」
最初は受け取らなかったがこれも仕事のうちだと言って渡してやったのさ。
そう言ってまた酒瓶を口に運ぶ。

ハルトの言葉に俺は下を向いた。
その言葉に衝撃を受けていた。
少なくとも、それが偽りであろうとも
サクヤの行為は勇者様達への市民として出来る協力だと、俺はそう考えていた。
サクヤの行為は形を変えたある種の税であろうと思おうとしていた。
街に、王国に住まう者として、勇者様に出来るせめてもの協力。
それは俺だけではない。サクヤもそうであったと思う。
それが、まるきり娼婦の扱いではないか。
物を与え、その代りに体を抱く。
そんな物にサクヤが喜ぶとでも?
そんなものを受けとり、そして身に付けねばならないその行為をサクヤが喜ぶとでも思っているのか。

「ほら、見てみろ。」
とんとんとハルトに肩を叩かれ、俺は覗き穴に目をまた戻した。

覗き穴の向こうでは椅子に座ったアイスベルクの前に下着姿のサクヤが跪いていた。
アイスベルクは覗き穴のある壁に平行に椅子を置いて座っており、
こちらからはアイスベルクとサクヤの様子を横から眺めるような形で見えている。
サクヤは酒瓶を両手に持ち、アイスベルクの持つグラスに赤いワインを注いでいた。
もう胸は隠してはおらず、その所為で日に焼けていない真っ白い鎖骨からシルクの白い下着、
そしてなめらかな腹部に到るまでの全てをアイスベルクの目に晒している。

「今日もモンスターどもが何処かへ隠れた所為で5体程度だ。話にならん。」
ワインを一度口に運び、喉を鳴らすと、アイスベルクは吐き捨てるように目の前に立っているサクヤに向って口を開いた

「勇者様、素晴らしい戦果です。それだけこの街を平和にして頂いて、皆、喜びます。」
サクヤが微笑みながらくいと首を持ち上げてアイスベルクの顔を見上げそう答えたその瞬間、
アイスベルクが片足でサクヤの足を蹴った。

「あっ!」
姿勢を崩しながらもサクヤは両手で持っていた酒瓶を片手に持ち替え、片手と両膝を床についてバランスを取った。
酒瓶の中身が床に毀れる。
思わずカっとなり片手を握り締めた。
頭を仰け反らせた瞬間、壁が見えて自分が今隣の部屋にいることを思い出す。

「ふざけるな。馬鹿が。」
「も、申し訳ありません。」
聞いている俺にもわからない、サクヤにも判らないであろうアイスベルクの怒りだが
サクヤはアイスベルクの膝元に跪くと従順に頭を下げていた。

「たった5体で戦果と言えるか。たったの5体で。 雀を追っ払った程度でしかない。
  そんな事はお前も判ってるだろう。
  西にある山脈に巣があるようなんだがいくら狩っても未だに姿を見せん。
  それを掃討しなければモンスターは減らん。」

「それでも、勇者様がいらっしゃる事で、街の人達は安心しています。」
サクヤは床に毀れたワインを拭うと再度膝をそろえて座り、
アイスベルクの顔を見上げながら訴えかけるようにそう言うと薄く笑うようにしてアイスベルクは口を開いた。
「はっ。どうだかな。血塗れになって敵を倒し、怪我を圧してモンスターと向かい合う。
それで一日の戦果が5体だ。いつになったらこの街から出られるのかも判らん。」
笑いながらグラスを煽る。

「今まではこうじゃなかった。3人で1週間そこそこもあればモンスターの巣はあらかた掃討できた。
それが此処に来てもう4週間、巣の一つも見つからん。
単発で何匹が狩った所でモンスターなど減る訳がない。
それどころか一人で街の外に行けばハルトのように組織的に襲われ、今日のように準備をして行けば空振りだ。
ここは今までの街とは違う。」

俺ははっと覗き穴から顔を逸らした。
そうだ。噂で聞く限り勇者様の街の滞在期間は長くて1週間といった所だった。
俺はこの規模の街なら3日程度で平和にして下さるはずだと市民達が噂していた事を思い出した。
モンスター狩りは上手くいっていないのか。
壁から目を離し、横にいるハルトの顔を見る。
ハルトもこちらを見ていた。ふん。と鼻を鳴らす。

「あいつの考えすぎだ。モンスターは地域によって特性があるんだ。
攻撃的な奴ら、頭の良い奴ら。狡猾な奴ら。掃討に半年掛かった例もある。
3日で終わることなんざ殆どない。大抵は1ヶ月は掛かる。もっと掛かる事も多い。
噂が一人歩きしているのさ。市民達は俺達に過剰な期待をするからな。」
渋面を作ってハルトは俺に言った。

「それで、この街は…」
「まあ多少は数も多い。それに中々巣が見つからないのも確かだ。手強い方だ。
だが今までで初めてというレベルじゃないな。
ゆっくりと狩っていればそのうち必ず見つけ出せる。退治してみせる。心配するな。
あいつは腕は良いんだが冷静に見えて実際の所攻撃的で辛抱の効かない性質だからな。
こういう展開が苦手なんだ。苛々してるのさ。」
そういって酒を煽るとそんな事よりほら、そろそろだぞと俺の肩を叩く。

そろそろだぞ。か。
壁に目を移すと覗き穴の向こうではアイスベルクの膝元に跪いていたサクヤがゆっくりと立ち上がり、
アイスベルクに近寄っていく所だった。

が、もうこの光景には耐えられそうに無かった。
アイスベルクがサクヤの足を蹴った時にはカッとなり、思わず立ち上がりそうになった。
それだけじゃない。サクヤが下着姿で他の男の膝元にいて、何かを話している。
剥き出しになった腹部をアイスベルクに見せながら話をしている。
決して他人に見せないその格好で。
それだけで耐えられそうに無いのに、この先を見ることなど出来るのか?
もう何度も壁を叩きそうになり、その度に耐えているのに。

そこまで考えて、俺は気が付いた。
今まで俺は自室にいてサクヤが階上に行く事だけでも絶えられない苦痛だと思っていた。
今になってみて、それすら現実感を失った妄想でしかなかったのだという事が判る。
今目の前で俺が見ているこの光景は自室で考えていた想像よりもなお数倍も悪かった。
俺は今まで、目を逸らしていただけだったのだ。
サクヤが他の誰かに抱かれているという事に現実感を感じないように
俺は自室で唯一人、逃げていただけだ。

これが現実だった。
この覗き穴の向こう側が。
今まで、勇者様に求められ、サクヤを差し出してから今まで。
俺が目を瞑っていただけで、その現実はこの覗き穴の向こうでずっと起こっていた。
俺が国家に対する忠誠と、勇者様への協力と、払うべき税を払う善良な市民という衣を被って差し出したものが覗き穴の向こうにあった。
サクヤが。
俺と同じように感じ、生きている、しかも俺の唱えた善良な市民の義務というその言葉を信じている、いや信じざるを得なかった俺の許嫁が。

俺は正しかったのか?
ただ、サクヤを騙しているだけではないのか。
絶対に守るべき自分の許嫁を。

ハルトを見た。覗き穴に目をあて、酒瓶を抱え込んだ姿のままだらしなく顔を歪ませている。

これが罰か。
何が悪かったのか、そもそも何か悪い行為があったのかすら判らないが、
今のこの状況が俺に与えられた罰なのだろう。
それともモンスターという不可思議な存在を倒す為に市民に与えられた義務か。
モンスターが跋扈するこの王国で何かの役に立てる訳ではなく、無論勇者に敵う訳もなく、
誰にも救われないこの状況でサクヤを要求され、
そしてただ国家に対する忠誠などと形の無い理由で自分の許嫁を差し出した俺への。
義務か、もしくは罰。

覗き穴に目を近づけた。
そこには俺の代りに義務を果たし、罰を受けているサクヤがいた。
俺が選択し、俺が払い、受けるべきだった義務と罰を。
下着姿で勇者様を足元から見上げ、何かを話している。
その両手は勇者様の足元に置かれ、しっかりと握り締められている。
今まで、今日以前にも何度も繰り返されただろう行為。
そして俺は自分に与えられるべき罰をサクヤに渡して、何も出来ずに此処で身勝手な怒りに震えている。

その罰が目の前にあった。
ハルトから貰ったこれは俺へのねぎらいではなく、せめてもの俺への罰だ。
目の前の光景は自室で丸まって、不幸な顔をしていた俺への罰で、
そして俺はせめて彼女が俺の代わりに何を支払い、何を受けているのかを見届けなくてはいけなかった。



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by obtaining | 2008-05-17 10:53 | document

剣2 Estranged その1

こつんと、背中にかたいものの当る感触を感じて目が覚めた。
売り上げの計算をしている内に、眠ってしまったようだ。
ぼんやりとした頭で机の前を見ると掛けてある古時計が真夜中の3時を示していた。

「サクヤか?」

そういうと背中に当っている硬いもの--恐らく頭、がびくりと震えた。
はは、と自嘲気味に笑いが出てしまう。
19歳にしては大人びて見えるサクヤだが、
ついこの間までは5歳離れている俺に対して子供のような振る舞いを見せる事がよくあった。
居眠りをしている俺の後ろに忍び寄ってそっと目隠しをしてくる位の悪戯はしてきたし、
宿屋の仕事の最中にこっそり裾を掴んで悪戯する事もあった。
こんな風に、怯えるように俺に触れてくるような事はなかった。

サクヤが怯えないように気をつけながら椅子をぐるりと回す。
思ったとおり、俺の背に頭を乗せるような形でサクヤが俯いていた。
サクヤは宿屋の従業員用の白いブラウスに、紺色の短めのスカートという格好。
普段であれば、この格好に茶色の前掛けを掛けるとうちの宿屋の店員としてのスタイルとなる。
スカートの丈が少々短く、露出が高めなのはここが田舎町だからだ。
娼館が一軒以外、娯楽といえば他に飲み屋が一軒しかないこの町では宿屋が酒場を兼ねる。
となれば宿屋の女性店員にもそれなりに気楽な格好が求められるというものだ。
宿屋の格、なんてものはこの町には存在しない。
サクヤに初めてこの制服を見せた時、随分と恥ずかしがったのを思い出す。

前髪に軽くウエーブのかかったセミロングの髪がしっとりと水気を含んでいる。
前掛けを掛けていないのは、シャワーを浴びたばかりだからだろう。
もう特に仕事がないからかもしれない。
そう思いながら立ち上がり、その頭をごしごしと撫でてやるとようやくサクヤは顔を上げた。

年齢よりも大人びて見せている虹彩の大きい澄んだ瞳、小麦色に焼けた肌。
前掛けを掛けていない分、すらりとした肢体の中にそっと隠しているような女っぽい体つきが
白地のブラウス越しに透けて見えてしまっている。
自分が何気なしにサクヤの形良く膨らんでいるブラウスの胸元と
そこから覗ける白い肌を目で追っている事に気が付いて慌てて目を逸らす。

『今、サクヤをそういう目で見てはいけない。』

頭の中の警告を全身に伝えるように首を振る。
笑顔を浮かべる。俺は今、サクヤが安心できるような笑顔を浮かべているのか?
自問する。

「今戻ったのか?」
サクヤの目を見つめながら語りかける。

「・・・はい。シャワーを浴びて来ました。」

「うん、いい匂いだな。」
そういって冗談めかしてくんくんと鼻を鳴らすと、ようやくサクヤは薄く笑った。

「冬真さん、今日も、何かお話をして下さい。」
そう言ってテーブル脇の椅子を引き出してくる。
ちょこんと腰を掛けると、スカートの裾から、すらりと長く美しい下肢が露出した。
どこを見ている。どうかしているぞ。
頭を振る。

「おいおい、まだ寝なくていいのか?」
冗談めかしてそう言うとサクヤは柔らかく微笑み返してきた。

「大丈夫ですよ。私、若いんですから。」
「俺が年取ってるみたいな言い方だな。これでもまだ24だぞ。」
「あはははは」

なぜ、彼女が俺の部屋へ帰ってくるのがこんな時間なのか。
俺は聞かないし、彼女も言いはしない。
なぜ、こんな時間に彼女がシャワーを浴びる必要があるのかも。

「そうだな、何の話をしようか。…そうそう、そうだ。今朝の市場での話をしてやろう。」
さも今考える風に、しかしすでに考えてあった話を始める。

「ふんふん。」
と、彼女も頷く。

「今朝、市場に野菜を買いに行った時の話だ。
 人参と芋を5袋持って買おうとしたらな、あの親父がこう言いやがったんだ・・・」

彼女は毎日、こうして椅子の上に座り、俺のつまらない話が終わるまで椅子の上でうとうととしながら話を聞く。
彼女が贖罪をしているつもりのか。
それとも俺の話が彼女の何がしかの力になっているのかそれは判らない。
この時間の意味を、何かしらの理由があるのかを、彼女は話さない。
それでもこうして朝まで俺の部屋で過ごしていく。

すぐに眠ってしまった彼女に毛布を掛けながら、頭を2度、3度と撫でる。
明日が来る事を、明日も彼女が又部屋に来る事。
喜びと幾ばくかの絶望感の入り交じった感情を脳裏に感じながら机へと向き直る。

@@

王国にモンスター、と呼ばれる怪物が出現し始めてから5年。
軍による数年間に渡る討伐作戦の後、多大な出費と犠牲を払った王国は軍による討伐を諦め、
新たなモンスター対策を打ち出した。

国は少数で形成される強力な私兵隊【Mut】を結成し、虱潰しにモンスターを狩らせる事にしたのだ。
【Mut】はモンスターに対する国家における軍隊の役割を果たす事となり、それゆえに特権を得た。
【Mut】は市民の家に上がりこみ、モンスター退治に必要と思われるものは全て接収する事を許された。
町にある店に対し、要求をする事で武器防具などを破格の値段で受け取る事を得た。
【Mut】はモンスターを狩る為のあらゆる協力を市民からある種の【税】という形で得る事ができた。

軍が引き上げた後に自分達を守る手段を失った市民達に【Mut】は熱狂的に迎えられた。
呼び名は【Mut】ではなく、市民からはもっと判りやすく、【勇者様】と。
どの町も【Mut】が自らの町に来て、周囲から危険を取り払ってくれる事を望んだ。
【Mut】がモンスターを退治し、幾つもの町を開放するにつれ、
【Mut】の面々はそれぞれ市民達から神のように崇められるまでになっていた。

@@

「そう、さしもの俺も単独で30匹ものモンスターどもの群れに襲われてはもう駄目だ、と覚悟をした。
しかしただやられてたまるものか、と最後の覚悟を決めてこう、斧を振り上げた訳さ。」

目の前では大男が左手に酒を持ちながら右手を振り上げ、大げさな身振りで話している。
隆々とした筋肉が印象的な正に戦士という呼び名が相応しいような大男だ。
額の広いやや下卑た顔をしているが、顔中に浮かぶ傷が不思議な貫禄を出している。
【Mut】のメンバーであるこの男に追従するように相槌を打つ。

「それで、勇者ハルト様はどうしました?」

「叫びを上げ、斧を振り回して一匹、二匹と屠ってやったさ。
しかし多勢に無勢、相手の攻撃を防いでいるうちに
徐々に追い立てられるようにがけの方へ追い詰められてしまった。」

「それでそれで。」
そう言うとハルトは此処からが良い所だ、と云う風に自慢げに目を剥いて頷いた。

「しかしそこで俺はモンスターどもの動きがおかしい事に気が付いた訳だ。
なんだか何かを守るように動いている。そこではっと脳裏にひらめいた訳だ。
モンスターにも序列があるんだってな。群れにはリーダーがいるに違いない。
こいつらはそいつを守っていたのさ。
そこで俺はモンスターの群れに飛び込むと
そいつらの中心にいたリーダーの脳天に一撃を喰らわせてやったって訳だ。」
そこでグビリと酒を煽る。
掲げたグラスを持つ左手にはびっしりと包帯が巻きつけられていた。

「なるほど。それは素晴らしいお手柄。」
もう10回目にもなる手柄話をさも初めて聞いたように頷きながら聞き入る。
客商売には必須の能力だ。

「といってもこんな怪我を負っては始まらないんだがな。」
そう言ってハルトは包帯だらけの腕をぽんぽんと叩いた。

「その間はアイスベルク様、ヒンメル様がご活躍為されているのでしょう。
ハルト様はゆっくりとお休みなされば良いのです。」
そういうと、うむ、と頷く。
ハルトがにっこりと笑って頷く姿はどこか獰猛な熊が座り込んで遊んでいる様にも見え、なんだか滑稽にも見える。
見事な体格と髭の所為で老けて見えるが、年齢は30も半ば程度だろうか。

「ここのご主人は聞き上手だから、わしも休みと言えど暇を持て余さずに済んで助かるな。」
そう言ってにこにこと笑う。
「それはなによりで御座います。」
「うむ。モンスターがしつこい町だが、
ご主人の人柄が良いから長逗留も苦にならぬとアイスベルクやヒンメルとも言っておった所だ。」

「いつまでも勇者様がこの町に居られる事を町の皆は望んでいるのです。」
「そうはいかん、モンスターを一通り退治したら又他の町に行かねばな。」
「そうで御座いましょう。今やどこの町も勇者様をお待ちしている事でしょう。
しかし、それでも町の皆は勇者様にずっと居て頂きたいと、そう思っております。」
「そうかそうか。」
と俺の言葉に満足げに頷くなり、ハルトはにこにことしていた顔を急に下卑た感じに歪ませて笑った。

「長逗留も苦にならぬ、といえばサクヤだ。」

「……サ、サクヤが失礼でもしましたでしょうか。」
この男は、サクヤが俺の婚約者であった…いやある事を知らない。
ただの従業員だと思っていることだろう。そう、都合の良い娼婦と変わらないそれと。
どことなく無邪気な感じもするこの男がその事実を知ったらどういう顔をするだろうか。


【Mut】は市民の家に上がりこみ、モンスター退治に必要と思われるものは全て接収する事を許される。
それは市民にとって税金のようなものだ。拒否する事は許されず、拒めば悪とみなされる。
望まれたらそれはなんであれ差し出さなくてはならない。嫌だという事は許されない。
30半ばの男が20にも為らない娘を抱きたいと望んだとしてもそれは望まれた通りに提供されなくてはならない。
この前見たハルトの裸、サクヤの体、そして長大な一物が目の前を過ろうとも、拒否は許されない。
勇者であるから娼婦は買えないという理屈で目の付いた店員の一人を夜に貸してくれと言われれば、
自分の婚約者だからと断る事など、許されないのだ。
それが市民に課せられる税というものだった。

「いやいや、ご主人。失礼など無い。その逆だ。あれがめっけものでな。」
そう言うなりはっと気が付いた顔をしていやいやと手を振る。

「む、無論あれだぞ。モンスターを倒し殺し、その血の猛りを鎮める為に
女が必要という事は判っていような。ご主人。」
「……勿論でございます。」
きりきりと奥歯を噛む。気取られてはいけない。宿屋の主人としての顔を。
笑顔を作り出す。

「勿論存じ上げております。」
安心させるように笑顔を向けるとハルトはどこかほっとしたような顔をしながらもやに下がったような言葉を続けた。

「それがご主人、最初は硬い蕾の様だったサクヤが最近ではすっかり男の体に慣れたようでな。」
「……はは、そうで御座いますか。」

俺の笑顔に安心したのかハルトは腰を据えて猥談をしようというつもりらしい。
自ら酒を注ぐとぐいと煽った。
勇者といえども下卑た話が好きな所はそこらの労働者と変わらない。
いや、あのアイスベルクという男は違ったか。あの男は何処かこちらを見透かしたような態度を見せる。
「ご主人は知らぬかもしれないが、サクヤにはどうも言い交わした男がいたようでな。」

気取られてはいけない。
軽いめまいのようなものを感じてあえぐように息をつく。

「そ、そうで御座いましたか。それは失礼を。」
「いやいや、あの美貌だ。そういう男の一人もいようものさ。」
そういってぐいと体をこちらに近づける。
腰を上げ、逃げ出したい気持ちをぐっと抑えてハルトの顔を見る。
顔には出ていない筈だ。

「最初の1、2週はただじっと寝ているだけでな。我慢したような顔をして人形のようであった。」
目を閉じる。
息が苦しい。心臓が重かった。
--聞いてはいけない。
聞かなくては為らない。逃げ出したい。
ハルトは自分で喋っていて興奮したのだろう。俺の様子には構わず言葉を続ける。

「それではつまらんだろう。いや、無論血の猛りを鎮める為だ、
 だがそうは言っても女を抱くと為れば男はそこは楽しみたいと、そう思うわけじゃないか。
 そうだろう、ご主人。」

「…はは、そ、その通りですね。」

「そこで俺は一計を案じた訳だ。」
まるで手柄話のように続ける。
この男にとっては、モンスターを狩る事も女を抱く事も同じような手柄話なのだろう。

「どのようにで御座いますか?」
相槌を打ってやる。
「うむ。最初の夜にサクヤは処女であったとアイスベルクが言っていた。
そしてサクヤは毎夜、勇者である我らの血の猛りを鎮める事は名誉あるお仕事ですとそういっていた。
真面目にそう思い込むことで我々に抱かれる事を我慢しようとそういう態度であった。」
そこでぐびりと酒を口に含む。

「そこで俺はサクヤに言った訳だ。血の猛りを沈める事には作法があるとな。」
ハルトはそこで自慢げに俺をじろりと見やった。
先ほどのモンスターの親玉を見つけたときの話と同じ目つきで。

「作法、と。」
逃げたい、逃げ出したい逃げ出したい逃げ出してしまいたい。
相槌を打ってやる。
「そうだ、時にご主人は娼館などへは行った事が?」

「いえ、私はそう云うところはあまり。」
そう言うとハルトはがははと笑った。

「そうか。まあ、それでもご主人も男。全然知らんという訳ではなかろう。
娼婦には娼婦の技と言うのがあってな。はは。それをサクヤに教えたのだ。
人形のように寝ていては気持ちも高ぶらんだろう。
寧ろ積極的に男の体に慣れる事を教えこんだのだ。
最初は抵抗していたがな。我らの血の猛りを鎮めるにはそれしかないと言ったら信じたらしく
それ以降は従順にいう事を覚えていった。」

ははは、と笑いながらハルトは続ける。
「それを教えて毎日こってりと抱いてやったらそら、徐々にサクヤも味を覚えてきてな。
最近ではしっとりと濡れるし、声も出す。甘えるように恥らう声がたまらなくなってきてな。
残念ながら血の猛りを鎮めるという理由がある以上、
俺が怪我をしてからは毎夜毎夜もっぱらアイスベルクが抱く番なのだが
あいつ昨日などはサクヤはもう気をやる寸前で
甘え泣きながらしがみ付いてきたとか自慢しやがってな。」
丁度摘み頃の果実だ。
今が一番良い頃なんだが怪我をしてモンスターも狩れんのじゃ血が滾るとも言えん。
と呟きながら怪我した方の腕を撫で、酒を煽る。

言葉が出なかった。
自分の無力さか、彼女を哀れに思ったか。
自分でもわからない。
いきなり涙が出そうになり慌てて前掛けで顔をごしごしと擦った。

「なんだご主人も興奮してしまったか。うははは。」
そんな俺を見て何を勘違いしたのか、ハルトは機嫌よくバンバンと俺の肩を叩いてから顔を寄せてきた。
むっと酒臭い息が顔に掛かる。
「でだ。ご主人。ご主人の真面目さは俺もようく判っているが提案がある。」
そう言いながらにやりと子供のように笑う。

俺は息を吸う。言葉を搾り出した。
「は、はい」

「が、ご主人の男を見込んの話だ。」

「何で御座いましょう。」

「今日もアイスベルクはサクヤを抱くだろう。」
何でこの男達はサクヤを物のように言うのかと思いながら耳だけに神経を集中する。
ショックで何かに神経を集中させないと座ってもいられなかった。

「でだ。血の猛りを抑える為とは言っても俺も男だ。
あのような美女が隣でアイスベルクに抱かれていると思えば俺もむらむらして眠れん。
でだ。今日覗いてやろうと思ってるんだが俺一人ではいかにもさもしい。
ご主人も興味があろう。夜半に俺の部屋へ酒を持ってやって来い。」

「いや、そ、それは」
何を言っているのだ。手を振る。

「いやいやご主人の真面目さは判っていると言っただろう。
だからご主人は俺を助けると思えばいいんだ。
ご主人だって男、興味が無い訳ではないだろう。俺に比べれば年の差も少ない。
ご主人にとってはただの店員とはいえ
あんな美人がどんな風に乱れるかご主人も興味はあろう。
きっと良いものが見れるぞ。これは俺からご主人の日頃の協力へのねぎらいでもあるんだ。」
そう言って上機嫌にグラスを振る。

「しかし、」

「なあ、どうだ。ヒンメルはあいつ、どうにも若い癖に淡白でな。
サクヤも数度抱いただけだと言う。
覗こうと言っても乗ってこんのだよ。
かといって先ほども言ったが一人で覗くのはいかにもさもしい。
しかしアイスベルクの話を聞いて俺はもう我慢ならなくなってしまってな。
サクヤがどのように悶えるようになったかを俺は見てみたいんだ。な。ご主人も俺の酒に付き合うと思って。」
なんだか遊びをねだる子供のように俺の肩を叩く。

「ど、どこから覗かれるおつもりなののです?」

「今日はヒンメルを俺の部屋に寝かせる。でだ、こんな事ご主人に言ってよいのか判らんが
ヒンメルの部屋にはアイスベルクの部屋に向けて覗き穴が開いているようでな。そこから覗けるそうなのだ。」

はあ、と溜息をついた。
隣に若夫婦が泊まった折にでも誰かが穴を開けたのだろう。
すぐに塞がなくてはならない。

なんだか妙に疲れたような気がしてふっと顔を上げた。
ぼうと焦点が霞んで、その先にサクヤの笑顔が見えたような気がした。
昨日、俺の部屋で俺の冗談に笑ったサクヤの顔が。
その直前、勇者アイスベルク様の体の下で気をやる寸前まで昂ぶっていたのだと言う。

そんな事を考えながら
なあ、来るだろう、な。もう一つ穴を開けておいてやるから。
そう言ってにやにやと笑っているハルトの方に顔を向け、いつの間にか俺は頷いていた。



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by obtaining | 2008-05-15 18:26 | document

謝罪

昨年の秋頃、西武ライオンズ大久保博元新一軍打撃コーチ就任に際しまして周囲に

デーブが一軍打撃コーチってwww
フロントwww
新監督に高すぎるハードルwww

等々の罵詈雑言、正式に謝罪致します。
ごめんなさい。

西武打撃凄すぎです。
こんな打つとは夢にも…。
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by obtaining | 2008-05-08 20:08 | diary