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マイノリテ

こんなの書いていいかでなく
好きなもの書いて突っ込んで荒れようが知ったことかぐらいで良いかと思う。
複数の書き手がいれば荒れても元に戻るからあれです。

陵辱ものを純愛全盛の板に突っ込むのも
陵辱全盛に純愛ものに突っ込むのもあれだあれ。
多様性と掘り下げのバランスこそが盛り上がるつぼですよ。
掘り下げてばっかりでは飽きる。
Stepped out of the lineとビリーも言ってる事だし。
(まあ大概相手にされなくてへこむけどそれは芸人としてしょうがない。)
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by obtaining | 2007-08-30 01:29 | diary

公開してた

下の公開してたですよ。
そして5話まで投下して最終話書き終えて。

そしてそれを投下してねえです。(2年近く前)
整理してたら公開してないフォルダに最終話が。投下してなさそうな感じで。

さあ、どうしようか。いまさら。


ということで
もうちょっと書き直して一月以内にここに書くです。

たぶん。きっと。おそらく。んー。
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by obtaining | 2007-08-18 23:43 | diary

<琥珀>

身分の差、というのは越えられない壁なのだ。と人は言う。
ある人は匂いが違うのだ、と言う。
ある人は色が違うのだ、と言う。
そしてある人は血が違うのだ、と言う。

私にとってはどれも違うように感じられてならない。
確かに色も、匂いも、そして血も違うのかもしれない。
しかしそれらの意見は私にはどうにも強引さが感じられる。
何か他の主義主張を伝えたいばかりに発せられるその、言い訳めいた感触を感じるのだ。

私にとって身分の差、とは色や匂いや血ではない。
なんというかそれよりも如何ともしがたい住む場所の差。のような気がする。

身分の違いとは多分こういう事だ。
それは例えば、そうだな。

私にとって週末の酒場で当代人気の作家の文庫を広げながらブランデーを一杯飲む、ささやかな楽しみな一時が
彼女にとって紅茶を持って屋敷の図書室に向かう一時だという違いのような、そういうものだ。
ブランデーに砂糖を溶かしても、紅茶にはならない。
そう、身分の差とは彼女の好きな琥珀色の紅茶と、
私がささやかな楽しみにしている琥珀色のブランデーがまったく違うような。
同じ色で、一見同じに見えても中身はまったく違う、そういったものだ。。

酒場で身分についての下品な冗談が飛び交うとき、私は時々こんな自説を披露する。
日に焼けた俺らとお坊ちゃまお嬢様じゃ色から違うじゃねえかなどと混ぜっ返される事もあるが、
大抵ふんふんと真面目に聞いてもらえる。
案外皆、そういうふうに思っているのかもしれない。

@@
「困ったわね。」
ふう、と息を吐きながら手元の紅茶を引き寄せ、お嬢様は長い長い睫を伏せるようにした。
お嬢様は紅茶に砂糖を三杯も入れる。
舶来から取り寄せたという真っ白なその砂糖の塊は紅茶に溶けても、綺麗な紅茶の琥珀色を失わせはしない。

「困りましたね。」
私も声を返す。

「怒られるわ。」

「殺されますね。」
私の言葉にお嬢様は驚いたように顔を素早くこちらに向けた。
何事にもゆっくり、一挙一動まで使用人とはまた違った意味でルールに縛られているお嬢様にとっては珍しい動きだ。
まあ育ちの良さがお嬢様から活発さを奪っているけとは言え、
元来がお転婆な彼女は気楽な時間には節々にこういった表情を見せる。

「まさか。」

「まさかではありません。旦那様のお留守の間に、お嬢様をお守りできなかった。使用人としては万死に値します。
聡明な旦那様は帰宅し、お嬢様から事の次第を把握した瞬間、
机の中に大事にしまわれているあの大戦時代、野蛮な敵国の兵隊達を何百人と屠ったという拳銃で私の眉間を」

「ちょちょ・・・ちょっとやめてよ。」

「やめません。旦那様はきっとこう言われるでしょう。『おまえなど、拾ったのが間違いだった。この恩知らずめ!』と。
そして跪き、許しを請う私の頭に拳銃の照準を合わせ、」

「わかった!わかったわよ!ストップ!あなたの例え話は心臓に悪いわ。」
ぶんぶんと両腕を振り回しながらお嬢様は私の話を遮った。

「では、私の提案を受け入れてもらえるのですか?」

「それも嫌よ。」

「あれも嫌、これも嫌ではいけません。」
鉄のような私の言葉にお嬢様はキッと私の事を睨みつけた後、いかにも名案を思いついたという風に指を微かに揺らせた。
薄く巻いた洋風の髪が指の動きと同じだけ揺れて。
私はお嬢様はとても綺麗だ、と毎日何度もそう思うのだけれど、又そう思った。

「その代わり、こういう提案はどうかしら。内緒にするの。」
いかにも名案を思いついた。と言う風に自慢げに指を揺らすお嬢様は、とても愛らしく見える。

「内緒に。ですか。」
一仕事を終えたように又紅茶に指を伸ばすお嬢様に重ねて問い直す。

「そうよ。それであなたが殺される心配もないし、私も怒られずに済むわ。」

「しかし、お嬢様に隠し通せますかね。」

「あら、あなたは私の事を見くびっているわ。私に隠し通せない事なんて、一つもないもの。」

「しかし、先週お稽古事をサボって買い物に出かけた事はほんの数時間でばれましたが。」

「あれはあなたがのそのそとしていて壁を乗り越えるのに時間が掛かったからじゃない。」

「その前に教師の方に風邪を引いたと嘘を吐き、旦那様に今日はお休みだと嘘を吐いたお嬢様に問題が。」
むむむ、と2人で睨み合う。
しばし睨み合った後、お嬢様はまあ、あれは私も悪かったけど。と呟きながらついと視線をそらした。
そして、いつもの悪戯めいた睨み方ではない、少し悲しそうな瞳でお嬢様は私に声を掛けてきた。

「じゃあ、あなたが言うとおり、私は忘れた方が良いって言うの?」

「はい。」
一瞬の間もおかず、即答する。

「私は良くわからないわ。あなたは毎週、こっそりと酒場にお酒を飲みに行くし世界の事を沢山知っているのかもしれない。」

「そんな事はありません。」
酒場で世界の全てが判れば苦労等いらない。あそこは何も得る事などできない、逃げ場所でしかない。

「私は狭い世界しか知らなかったし、これからだって自由に羽ばたく事はできないかもしれない。
 私が何にも知らない事を私は知ってる。でもこれだけは私にだって判るわ。あなたが好きなの。だから私は今日、」

「それは近くに私しかいなかったからです。」

「小さい頃からずっと一緒にいて、好きになった。それでいいじゃない。近くも遠くも関係ないわ。」
私は溜息を吐いて、書架の中央にある、分厚い辞書を取り出す。
そしてその辞書を開くと、中に隠しておいた,
まさかお嬢様の説得用に使う羽目になるとは考えてもいなかったとっておきのブランデーの小瓶を取り出した。

「お忘れ下さい。お嬢様は、いつか素敵な男性と巡り会います。良いですか、私とお嬢様では身分が違うのです。
これを見てください。お嬢様が飲んでいる紅茶と、ブランデー。色は同じですが、中身は全く」
その瞬間、私の言葉は私の手元から無言でブランデーの小瓶をひったくったお嬢様に遮られた。

お嬢様は私の手元からひったくった勢いのまま、小瓶を開けると、ポットにダバダバと中身をあけた
その後、たっぷりと高級ブランデーの入ったポットから手元のティーカップに毀れんばかりの勢いで注ぐ。

「私は欧米人じゃないの。キスなんて一大事、絶対に忘れないわ。私は絶対にあなたにキスをした事、忘れないもの。
 いつか素敵な男性と巡り会うのなら私はもう巡り会ってる。その点だけは私は私の幸運を信じます。
 色が同じなら、中身も似たようなものよ。混ぜてしまえば良いのよ。」

「お嬢様、それを飲んではいけません。」
あまりの事に固い声で止める私をきっと睨み付けるとお嬢様は宣言するようになみなみと注がれたカップを口の前まで持ち上げた。

「本日、お父様がご帰宅されしだい、あなたとキスをした事を報告します。」

「カップを下ろしてください。それからその事に関してはせめてお嬢様からという事を始めに」

「紅茶もブランデーも混ぜてしまえば一緒よ。だって色が一緒だもの。
私はあなたが好きだし、お父様に拳銃なんて出させないわ。」

私はあなたが好き。
お嬢様は何度か繰り返すようにそういうと、ふんと顔を逸らしてカップの中の紅茶を思いっきり口に含んで、



――ばったりと倒れた。



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公開してないフォルダにあった。
昔書いて公開していなかったような気がするけどしてるかもしれない。
どっちだろう。

  
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by obtaining | 2007-08-18 16:35 | document

Spica

Spica
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1

時刻は午後の11時。先ほどまで雷交じりの大雨が降っていて、
未だに5分おきくらいに窓の外が光る。大荒れの天気だ。
大荒れの日は部屋にいるに限る。と言う事で今日は一日部屋の中でのんびりとしていた。
そういえば
そういえばと繰り返しながら涼子さんはベッドの上でぐるりとこちらに向き直った。
眠っていたのかと思っていたので驚く。

涼子さんはシーツを胸まで引き上げながらもそもそと近寄ってくる。
そういう関係になっても涼子さんは親しき仲にも礼儀ありだとか言って
明るい所では決して体を見せてくれようとはしない。
その割りにはベッドの中ではなんて話をするとぶん殴られるのでその話は止めておくけれど。
俺としてはもうちょっとリラックスして事に臨むなんて事を夢見たりもするのだが。

もさもさと近くまで来るとがばと涼子さんは起き上がった。
明るい所では、などと言いながら隠すのは胸だけなので真っ白な背中が剥き出しになる。
完璧なようでいて涼子さんのここら辺の抜けているところは嫌いではない。

と、ベッドの上でシーツを抱えながらちょこんと座り込み、
こちらを見下ろしながら涼子さんは恐ろしげな事を俺に言ってきた。

「匠君は、私のことを愛しているのかな?」
と。


2

な。
なんか悪い事したか俺。
疑われるような事は。。。

・・・

いや。


いやいやいや。あれは違う。あれは違うぞ。
先週のは違うんだよ。
友達が飲み会の人数が足りないからって言われて連れて行かれただけで
あれは断じて合コンなんてものじゃない。
1次会で帰ったし、そもそもそんな話だなんて聞いてなかったんだから。
電話番号も教えなかったし。
いやいやいやいやいや。
違う。違うんだ。
そういうつもりじゃなかった。違うんだ涼子さん。断じて違う。それは違う。
それは違うよ。
でもさ、ほら、話すのとかはしょうがないじゃん?
男には皆の手前ってのもあるしさ。
盛り下げるような事はできないから、
それはもしかしたらはたから見れば盛り上がっているように
見えない事もなかったかもしれない。
でもそれは違う。本当は違うんだ。
仮に、万が一そう見えたかもしれないけれどそれは違う。

確かに厄介な事に巻き込まれた。俺は。
でも俺は自分の良心に則って適切に処理をしました。
何の問題もありません。

まあ。しかし・・・
確かに。
確かに認めるよ。
幾ばくかの後ろめたさを感じなかったと言えば嘘になる。
男同士で飲んだんだよなんて涼子さんに言ったのも確かだ。
でもそういうつもりじゃなかった。
俺はそういうつもりじゃなかった。
隠すとかそういうんじゃなくてなんていうかな?
心配をかけない為?
それ。
そうなんだよ。

・・・

う、うん、でも。
隠したいと思ったのは、確かだ。
それは、ずるかったかもしれない。
ちゃんと言った方が良いよね。
卑怯な行為だったかもしれない。
それに・・・俺・・・
誘われた時、そして居酒屋に隣の女子大の女の子が5人もいた時に本当に迷惑だ、
騙されたとそう思ったのか?って言われると自信がない。
心のそこにちらりとでも可愛い女の子だ!とか思わなかったか?俺。
彼女いるんですか?えーいるのー?とか言われた時邪まな考えが浮かばなかったか?
それって涼子さんに対する浮気ではないのか。
不貞じゃないのか。
そう言われると俺、俺

「何をぶつぶつと言っているんだ?匠君。」

「え?あ、はい。すいません。」
…独り言は聞かれていなかったらしい。

「…あのな。匠君。こういう事を言われた時は間髪いれず
 どうしたんだい?子猫ちゃん。俺の愛を信じられなくなったのかい?
 ぐらいの事が言えないのか。」
後ろめたい事があるみたいじゃないか。
ふうとため息を吐きながら涼子さんはそう言って窓の方を見た。
涼子さんのしどけなく乱れた髪が色っぽい。

ついと手をだす。

涼子さんはひょいと身を避けるとまあ匠君らしいけど。
などと呟きながら何事もなかったかのように続けた。
「映画だったかな。それとも小説だったかな。思い出せないんだけどどこかで読んだ事があるんだ。」
そういってくるりと向き直る。
真っ白な背中は見れなくなったが、体の形に巻きつくシーツもまた格別ではある。


そんな事を考えながらぼんやりと返事をする。
「何が?」

「愛は決して忘れる事がない。代わりを見つけようとするだけだ。」
そう言って涼子さんは何かを思い出すような顔をした。

「愛してるって言う言葉は答えにくい言葉だと、私は思う。
恋してるなら何の疑いも抱かずに言えるけれど。」

涼子さんが真面目に話していると知って、俺もベッドの上に座る。
涼子さんはベッドボードの上にあったゴムを取ると乱れていた髪をきゅいといつも通りに結んだ。

「好きか嫌いかっていうのは良く判るんだ。その人に恋をしているかどうかは。
 例えば、急に会いたくなったり、話をしたくなったり。その人の事を頻繁に想ったり。」

「うん。」

「それから、恋人が合コンに行っていたなんて事を聞かされて穏やかでない気分になったりな。」
さらりとさりげなく言ってのける。

「・・・」
う、詰まった。

「・・・ごめんなさい。」

「あとで酷いぞ。匠君は」
結んだ髪をぴょいぴょいと揺らせながら涼子さんはこちらを睨んでくつくつと笑う。

「そう、好きとか恋とかは判りやすいんだ。自分に嘘をついていない限り、すぐにわかる。
でも愛しているって言うのは言いにくいな。何をもって愛しているのか、良く判らない。
範囲が広いからかな。家族とか、地球を愛しているとか対象がまちまちだし、どういう気持ちだか判別しにくい。
その割りに愛しているとかどうとかっていうのは恋よりも重い気がするし。」
恋と愛は別物なのか、それとも延長線上にあるのかもよく判らないし。
と涼子さんは続けた。


「・・・どうしてそんな事考えたの?」
俺は愛しているつもりですよ。
口に出すかどうかはともかく。

涼子さんは窓の向こうを見ながらしばらく考えて。
何だっけな。忘れちゃった。と言ってもう一度笑った。



3

何だっけ?
誰だっただろう。言ったのは。

「涼子、聞きなさい。」

「ん。」

目の前の父親は、いつにない怖い顔をしている。
死んだ母の尻に敷かれて、母が死んでからは私に叱られて。
道場主なんかをやっている割に気が小さい父がこういう顔をするのは、
困っている時だと私は知っている。

「涼子にとって匠君が大事なのは良く判っている。
 まして今回の事故は私に責任があるんだから。
 お前の気持ちは判らない訳じゃない。」

「でも酷な事を言うようだけれど、それとお前の人生とは違う。」

もう話は3時間に及んでいる。
学校に行く時間を出来るだけ少なくして匠君のそばにいたいという私と通常の生活をするべきだと言う父と。

意識が無い人間がどうなるか。その位は私だって調べた。
どの位見込みが無い事なのか、意識が戻る事が奇跡と言われる意味は何なのか。
20年間眠り続けた人は、死んだ時に脳みそがつるつるになっていたそうだ。

だから。
父の言っている意味は判るのだ。
諦める事はない。でも諦めなさいと。
忘れなくてもいいけれど、引きづられないようにしなさいと。
つまりはこういう事だ。
不幸な事故だった、が、生き残ったものとして恥ずかしくない人生を送りなさい。
匠君とのよい友人関係を忘れず、勉学に励み人生を悔いなく精一杯生きて
いつか恋をして夫を見つけ、子を産み育て幸せになるべきだと。
そして時にある種の郷愁を感じながら思い出すのだ。
人生のある時期心を通わせあった彼の事を。

間違ってはいないはずだ。
私もそう言うだろう。

自分が当事者でないのなら。
こう言うだろう。

忘れられないって?他の男の子も良いかもしれないじゃないか。
いつまでもめそめそとしていて匠君が喜ぶとでも?
そもそも意識が無いんだ。
彼に救われた身として君はやるべき事をやれば良い。
忘れて、時に思い出すのだ。と

でも。

判っている。判ってるよ。忘れようったって忘れられるもんじゃない。
君の気持ちは判る。
一杯考えてあげれば良いさ。
でも良く考えてみて欲しい。
君だって前に進まなきゃいけないって事に気が付くはずだ。

でも!
私が忘れちゃったら。
たとえ意味が無くてもでもそれでも。

そんな事をぐるぐると頭に考えていたら
『愛は決して忘れる事がない。
代わりを見つけようとするだけだ。』
、というどこかで読んだそんな言葉をふと思い出した。
小説だっただろうか。それとも誰かの詩だろうか。
それとも映画だったかもしれない。
思い出せない。

でも愛ってなんだろうか。
この胸の中にあるこの気持ちの事を言っているのなら、ずいぶんと残酷なものだ。


あれからいろんなことを思い出して、ずっとずっとその事ばかり考えていた。
思い出すのはこんな事ばかりだった。
高校生の時に、匠君と出会った図書室。
私は一生懸命否定したけれど、
図書室に会いに行くのが楽しみでしょうがなかった事。
匠君が私と一緒の大学に入る為に勉強を頑張ってくれた事。
一緒に行った初詣と屋台の匂い。
馬鹿な事を言って笑わせてくれた匠君。
ハードロックには馬鹿みたいにオタクな匠君。
いつもは寡黙なのに、話し始めると止まらなかった。
さりげなく待っていた週に2回の電話。
段々高度になった勉強の相談。
年下の癖に、生意気な態度。

そこまで思い至って、私は気が付いた。

だから私は待ちたいのだ。
病院の隅っこで匠君とお話をしながらゆっくりと。
今でも君の事を想っている。と、それを匠君に伝えられたら。
それは意味がある事かもしれない。と思うのだ。

それは何故か。
匠君は可愛いし、私は匠君の事が好きだからだ。
匠君は私にとってかけがえのないものだから。
私は、代わりを見つけるだなんて、まっぴらごめんだから。

考えてみると、それは我が家へ帰るような心温まる考えだった。
私はこれを愛と呼ぶ事にしようと、そう思った。

目の前で怒ったような困った顔をしている父の顔を見ながら、私は言った。

「勿論お父さんが言う通り、どうしようもなくなったら
 私は匠君の事を忘れるんだと思う。
 私にはお父さんや、周りに私のことを考えてくれる人がいるし、
 心配ばかりさせられない。
 だからどうしようもなくなった時に匠君だけを考えて生きていくような真似は
 しないつもり。
 それは勿論少しはひきづられるかも知れないけれど。
 でも、でも今はどうしようもなくないもの。
 どうしようもないなんて私は思えない。
 今どうしようもないと思ったら、匠君はいなくなってしまうかもしれない。」

私は息を吸って、そして父に言った。

「私はね、匠君を愛しているの。私は伝えなきゃいけない。
 君の代わりなんていないって。」

事故なんて無くても、私はずっと一緒にいたいと思っていた。
愛は決して忘れる事がない。
代わりを見つけようとするだけ。
事故があって匠君はいなくなった訳じゃない。
代わりを見つけようとする必要なんて、まだない。

忘れようと努力するよりも。
今でも君の事を想っていると、それを匠君に伝えられたら。

4

ぼんやりと何かを考えていた涼子さんは窓から目を逸らすと急にこんな事を言った。
「かけがえのないもの、という定義なら愛と恋はきっと違うものなんだろうと、私は思う。
 多分、恋から愛に変わるものなんじゃあなくて別々に存在しているんじゃないかな。
 勿論、そこには順番があって、恋に落ちる方が早い事が多いんだとしても。」

「うん。」

「恋人、と言う立場には代わりがいるような気がする。
例えば無人島に2人きりで何年もいたら誰でも恋に落ちるんじゃないかな。
つまり、ある意味それは誰だっていいのかもしれない。
恋という心の動きに対して、誰かを探すんだ。
でも、かけがえのない人っていうのは違うと思うんだ、多分。
心の動きじゃなくて、心の中のある場所に存在する事が前提で、
無くなってしまったらパズルみたいに近い形の物を探しても絶対にそこに埋める事は出来ない。
そういうものだって。」


で、と涼子さんは言葉をとめて。
「私は、匠君を愛していると言えると思っている。」
匠君もそうであればいいな。とちょっと恥ずかしそうに早口にそう言った。

そして麦茶でも飲もうかなと言いながら、涼子さんはベッドから立ち上がって。
「ま、匠君がずっとそうであって欲しいと思うのなら合コンなどというものに行くのは慎むべきだと私は思うけどな。」
と言って睨んできた。




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by obtaining | 2007-08-05 00:26 | document