35人目 ~3 居酒屋にてくだが巻かれる。


はあ、と溜息を吐く。
グラスの中の3分の1程に減ったビールを見つめる。
18歳でも仕事をしていればお酒を飲んでいい。
学生でも大学生なら良いんじゃないかな。まあ程ほどにね。
お坊さんが飲む般若湯だとか、なんだとか。
こういう、迷惑掛けない事ならばれなきゃ良いんじゃない?的な大雑把な感覚って日本人の良い所だと思う。
だって女なら飲みたい夜もあるの。あるじゃない。

「どうしたのよ和歌葉。溜息吐いて。」

学生時代からの友達である所の雪子が心配げな声で話し掛けてくる。
雪子は今大学生で学生生活を謳歌している最中だ。
学生の頃から気が合って、こうやって時々仕事の隙間に時間を作って遊んでいる。
「例えばさ、ライアンはホイミンだから上手くいったんだと思わない?」
判る?この切ない気持ち。と話しかけると雪子は目を丸くした。
「??和歌葉、…いきなり何の話してるの?」

「いきなりキングレオとかバルザックあたりが人間になりたいから仲間に入れてくれ、
実はこれこれこうでこれから共にデスピサロを倒そうぜ!
ってそう言って来たらライアンやる気になるのかな。
王宮に帰りたくならないかなってそう思うわけ。」

「ゴメン、私全然何の話かわからない。」

「例えば自分がレベル1でさ、相手も同じくらいなら
それはこれから切磋琢磨して共に目標に向って頑張りましょう。
とか思うわけじゃない。
それが自分がレベル1で相手がレベル60位、
相手はもう十分準備万端整っていて、よし、ラスボスを倒しに行こうぜ!
って言われたとき、レベル1の自分としては相手にライバル心持っていいのかどうしたらいいのか迷うんじゃないかな。
ってそう思うわけ。そりゃね。頑張ればレベル60くらいにはなれるでしょうよ。同じ生き物だもの。時間掛ければ。
でも今すぐには無理です。とてもとても。一通り世界を回らせて頂きませんと。って云うそういう状態。」

「ゲームの話?いや本当に判らないから。」

そうなのだ。例えばさ、向こうが物凄いバーーン!っておっぱいしてるだけっていうのならこう思えば良い。
あら素敵な胸。でも殿方の中にはこういう控えめな胸を好きな人もいるのよ。ほほほほほ。
なんて言って笑えば良いのだ。

「聞いてる?和歌葉?」

Bカップでも良いじゃない。形は良いんだし。文句ある?
いいじゃない!いいじゃない!
小さい胸で恥ずかしいわ。とか全然思わないもん。
それに私の方が背がちっちゃいし、男の人ってそういうタイプにこう、保護欲?みたいなの
そういうのちょっとそそられるんじゃないかしら。
梅原さんもきっとそう思うに違いないし。
そりゃちょっと痩せすぎってところもあるのかもしれないけど。
もうちょっとこう、女としては全体的に丸みを帯びた方がセクシーなのかもしれないけど。
でもスレンダーってのも良いんじゃない?
全然おっぱい無い訳じゃないし、これでも私、結構もてるんだし。

そう、個性の違いってやつで勝負する手はある。
君は攻撃力があるね。でも私はホイミつかえるの。お互い一緒に頑張っていこうよ。みたいな。

「おーい。そんなにグビグビ飲んだら酔っ払うよ和歌葉。元々弱いくせに。」

でも同じ系統でレベルだけが違うって場合、これは苦しいよね。難しいよね。
ライアンとトルネコとか。ミネアとマーニャとか。
こっちがべホイミ覚えたばっかりの時にしれっと私べホマ使えます。みたいな。
そういうの辛い。辛いじゃない。レベルに差があったら低い方は敵いようがないんだもの。

優子さんと私ってそんな感じがしてならない訳。
何かね、見た目のキャラが被ると言うのか。
そりゃあっちはしとやかな若妻でこちらは学生上がりって言う差はあるし、
髪型はあっちはいかにもな長髪で私は肩までの短髪って差もある、
それにあっちは165Cm の長身で私は155cmってのも違うけど。
でも体型とか被る気がしてならない訳。スレンダーなところとか。
一度言われた事あるもの。和歌葉と優子さんって後姿似てるよねって。
そう、後姿が似てるよねって。
直訳すると胸が見えなければ体型似てるよね。と私は受け止めた訳だけど。多分事実だし。

「ああ、恋敵の話か。」

そうよ。優子さんの話に決まってるでしょう?
私の胸はBカップな訳じゃない。体系にしては均整は取れてると思うけど、
それでもBカップである事実は揺るがない訳。
でも普通ならコンプレックスになんて思わない。
決して小さすぎず、大きすぎずどちらかというと小さめ?位なもんでしょう。
私の体には丁度いい大きさだと思うし。正直自信だってあった訳。私は。
男の人に見せるんだとしても私の体、そう恥ずかしくはないかなって。そう思ってたの。

「もてたもんねえ。和歌葉。高校の時、水着姿とか男子連中に写真売られてたもんね。」

でもそれって、特定の人が私の体だけを見るんだったらって注釈がつく訳です。
そういう想定の元な訳。
だってそうでしょう?普通そうな訳でしょう。
他人と身体をリアルに比べられるだなんてそ、そういう仕事の人かあ、愛人とかそういう状況じゃなきゃ
ありえないしそれって私には絶対無いと思ってたシチュエーションだし。

それが梅原さんと付き合うことになって、梅原さんの事を好きになって、彼はその、特殊な事情な訳じゃない。
他の女の人ともしなきゃいけない訳じゃない。日本唯一の精液保持者だから。
そんなのお父さんに言われるまでも無く私も覚悟は出来てた。
でも実際その段になると心穏やかでは居られないの。判るぅ?雪子。

「ごめん。全然判んないや。」

でしょ。私だって判らないわよ。自分がそんな状況になるだなんて全然思っても無かったし。
でもね。好きになっちゃったんならしかたないじゃない。
一度好きになっちゃったんだもん。引く訳にいかないでしょう?

「その思い込みの強さとか気の強さとか
昔から将来この子泥沼の不倫とかに嵌まったら大変だなあと思ってたけど
和歌葉今、正にそんなシチュエーションになってるね。」

悔しいのよ。とっても。
優子さんの胸ってスレンダーな体にちょっとえ?と思うような大きさですっごく魅力的なの。
その上色白で、凄い美人だし。聞いてる?

「はいはい。聞いてる聞いてる。」

服を着てても判るくらい大きんだけどでも大きすぎてアンバランスって程じゃなく、
でもしっかり主張している感じなの。
女から見てもえっち、って感じがする感じの胸。
事務仕事とかしてて
「もう、こういう仕事するにはちょっと大きすぎるのよね。」
なんて言ってそうなの。きー。

「ついに被害妄想入っちゃってるよ。飲み過ぎだってば。」

だからね。Bカップじゃちょっと小さすぎるの。
それじゃ勝てないの。
もしかしたら優子さん位あると自分では大きすぎ、って思うのかもしれない。
でもこの場合小さすぎるより大きすぎるほうが良いじゃない。
ちょっと位ならそっちの方が魅力的じゃない?
そういうの理想な訳ですー。愚痴ってみたい。
「もう、夏になると困っちゃう。着る服が無くって。」
とか。絶対ないし。日本人標準体型だからお洒落な服とか選び放題だし。
それに比べたら優子さんってきっと胸のサイズが合わなくて洋服とかきっと苦労す
あああああああああああうううううううううう。

「和歌葉、その位にしといた方がいいよ。のみすぎ。のみすぎ。何杯目よ?それ。」

頭がよくて、仕事も出来る上に胸がちょっと大きすぎるのよね。困ったわねー。って
あのいやらしそうなおっぱいを梅原さんが触ったりとか色々、色々

「ちょっと?ゴゴゴゴゴゴって和歌葉!」

憎い。
ダメ、人を憎んじゃダメよ罪を憎まなきゃだめ。
落ち着いて、私。全ての面で全然勝てないってわけじゃない。だって私の方が若いし。
私まだ18だから。ビールは飲むけど18だから。処女だし。
私だって20になればバーンでドカーンでボーンでそりゃもう凄いことになるに決まってるし。
優子さんなんて24さいじゃない。22歳の梅原さんより年上だし。
これは私に軍配が上がるんじゃないの?
梅原さんだって私の事可愛いって言ってくれたし。

「あれ、ねえねえ、君達凄い可愛いね。二人なのかな?こっち着て飲まない?」
「え、ええ、私達二人なんです。ね、ね、どうする?和歌葉?一緒に飲もうって。」
「いいよいいよ、俺達がこっち来るよ。ここの支払いも任せておいて。何?二人とも学生さん?」
「あ、うううん。私は学生だけど、こっちはお父さんの仕事を手伝ってるの。ねえ、和歌葉ー。」

可愛いっていうのはあれよね。年下の特権な訳でしょう?
優子さんは美人とは言っても可愛いって訳では無い訳でしょう?
だからそれって個性の差な訳でしょう?
あれ?それって・・・有利じゃない私。

それに付き合うって事になって、そして梅原さんはああいう特殊な事情だし
で、私が覚悟を決めていたら初めてのデートで梅原さんてば
私の手を取って和歌葉がもう少し大きくなったらにしよう。
少なくとも成人するまで。それまでは僕達恋人として付き合おうよって。
とても素敵な声で言ってくれたじゃない。
これって私を大事にしてくれてるって事じゃない?
私の勝ちな訳じゃ……ない?あれ?

「学生かぁ、なつかしいなあ。」
「お二人ともお仕事されてるんですか?」
「僕達?そうだね。知ってるかな。○○商事って所。」
「うわあ、知ってますよ。物凄く大きい会社じゃないですか。凄いですね!ねえ、和歌葉!」
「はははは、そんな事無いよ。」

…もしかして勝って無い?
負けてるんじゃないの?女としては。
子ども扱いじゃない。
ねえ。
つまりは我慢できますって訳でしょう?2年も。
2年位我慢できるよって事でしょう?
だって胸小さいし。ははん。
我慢っていうか食指が動かないなあ。とかそう思われてたりするかも知れない訳でしょう。

優子さんがあのベッドに横たわって
「あんな小娘なんてもう、いいじゃない。こっちにいらっしゃいよ。」
とか言って、大人の魅力で、梅原さんも梅原さんで私の胸と優子さんの胸を見比べてふらふらーって
だって優子さん全エージェントの中で一番美人だからって選ばれた訳だし、
あの透き通るみたいな美貌とあの胸で梅原さんに

いやああああああああああああああああ

「あれ、こっちの子は随分飲んでるのかな。ぶんぶん頭振ってるけど。」
「あ、ええ。そうなんですこの子、悩み事があって今日随分ハイペースで飲んでたから。ほら、和歌葉。」
「じゃあ、俺が介抱しちゃおうかな。なんて。」
「あはははははは。」

梅原さんの事情はわかってるの。それに私が彼女だって事もよく理解してる。
だって梅原さん優しいもの。

間にいるのが優子さんなのが不安なの。
好きになったんだもの。好きなんだもん。
普通好きな人とは二人だけでいちゃいちゃできるものでしょう。
私だけが何で我慢しないといけないのよ。

梅原さんの事情がわからないわけじゃないの。
そうじゃないの。私は恋人としての証が欲しい訳。
毎回毎回彼氏の家に行ったら如何にも洗いましたって感じでシーツがピシーってしてたり
ゴミ箱がピカピカになってたりするとね。却って想像しちゃう訳。
昨日はどうだったの?って
このシーツグシャグシャだったんじゃないの?って
このゴミ箱にはその、いやらしいティッシュとか一杯だったんじゃないの?って。
そんなの嫌じゃない。嫉妬してる醜い女みたいじゃない。
嫉妬してるけど。してるけど。
してもいいじゃない。文句ある?

「いやー普段こんな所じゃ絶対居ないくらいの可愛い子だからびっくりしちゃったよ。」
「やだー。そんな事ないですよ。」
「この後カラオケとかどう?」
「ね、ね、どうする?こういってるけど。和歌葉。」

だって不安なんだもん。怖いんだもん。
2年後までまって、それで梅原さんとそう云う事になって
さあ、って時にがっかりした顔されたら私死んじゃう。
確実に死んじゃうから。

恋愛がそれだけとは思わないけど、でも女の子としてはそういう所で負けるなんてやだもの。
「え、こんな事も知らないの?」
って事になったらどうしたらいいの?

「優子さんならなあ」
とかちょこっとでも思われたら。
私死んじゃう。
でも私何も知らないし。
知らないとレベル上げられないし。
レベル上げられるのは梅原さんしかいないのに。

どうしても我慢ができなくて。
いつの間にか私は携帯電話に手を伸ばしていた。
何度も押してもう指が覚えてしまっている。
指がその番号を押した。

ゆっくりと携帯電話を耳に当てる。
「あれ、君、誰に電話してるのかなー?帰りなら僕が送ってあげるよ。」
「あれ、和歌葉どうしたの?」

暫くして、プツという音と共に電話が繋がった。
「…もしもし、あ、和歌葉ちゃん。」
私が名乗る前に気がついてくれた。
とても優しい声だ。
それだけで私はじわっと涙が溢れてきた。
私はこの人を好きなのだ。
だれにも渡したくない。

ふと困った。無意識に電話を掛けた所為で何て言うか考えてなかった。
なんていおう。
胡乱な頭で考えているうちに自然と口が開いた。

「梅原さん、今度私にもおまんこして下さい。」

そうだ。私の言いたかったのはこれだ。
今自分が口にした言葉に頷く。
私だって資格があるはず。だって彼女だもの。
一番だものきっと。
しっくりときた今の言葉をもう一度繰り返す。
「私にもおまんこして欲しいんですっ。」
「うわ、こ、こらわ、和歌葉、な、何言ってるの。ここお店。お店の中だから!」

頭の中ががんがんと痛んで自分がどこにいるのか判らない。
確か居酒屋で飲んでいたような気がするけれど。

受話器の向こうからはどうした、和歌葉ちゃん、落ち着け。という梅原さんの声が聞こえてくる。
その声だけが私の耳にクリアーに聞こえていた。
視界は涙に濡れてぼんやりとしている。
周りがざわめいているような、雪子が叫んでいるような気がするけれど構わない。

だって好きなんだもの。
好きになったんだもの。

急に感情が込み上げてきて。
私はすがり付いてくる雪子の腕を振り払いながら電話の向こうに向って思いっきり声を張り上げた。

「落ち着いてます!落ち着いてますもんっ!
だって、だって梅原さんに判って欲しいのっ!
梅原さん全然判ってくれてないんだもんっ!
私のおまんこも梅原さんに使って欲しいのっ!
いっつもいっつも優子さんじゃいやあ!
だって、だって、だって私だって女の子なのに!
だって、だってう、うう、うわあああああああああん!」


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by obtaining | 2008-08-06 09:51 | document

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