小ネタ

「恥ずかしくないんですか?自分のやっている事を恥だと思わないんですか?」

耳を閉じて口を開かない、これに尽きる。というか、そうするしかないのだ。
壁に掛かった電磁式手錠のロックを外すと、少女と言っても可笑しくない外見の女は目に涙を浮かべ、手錠の所為で赤くすりむいた手の甲を擦りながら俺を詰る。
喉と鎖骨に掛けての色が白い。
身につけたブレザーの下に覗くブラウスは綺麗に洗濯されたもので、清潔そのものだ。
年齢は丁度そのブレザーににた学生服を着ている位の年齢だろうか。
違和感無く魅力的な肢体だ。

「これも仕事のうちだ。」
思わず口を開いてしまって後悔する。
「恥知らず!あなたみたいな人間…!」
怒りで絶句した少女に燃えるような瞳に睨みつけられる。

「毎日死にものぐるいで戦っている兵隊と少しばかり話をしてやるってだけだろう。お前たちの仕事は。」
俺の言葉がとてつもない侮辱に聞こえたのだろう。
少女は少しばかりポカンと口を開けた後に、美しい顔を歪めた。
そして悲しそうに笑った。

「少しばかりの話?少しばかりの話??ああそう、お話するだけなの。
なら何故同じクラスの子達は死んでしまったの?自殺した子もいた。帰って来なかった子もいた。
友達はもう何人も残ってない。私だって・・・!」

「第2方面軍独立混成第24旅団歩兵246連隊所属女子慰安…」
「共和国のね!私達の国じゃない。」

「勘弁してくれ。俺の仕事は…」
そこでドアが鳴った。
慌てて手に持ったタオルを少女に渡す。
それから籠に入った大量のローション類をモルタルの壁に掛かった棚に並べる。

ドアが空いて尖った目をした軍人が顔を出す。自分より5歳くらい年下だろうか。
堂々と堅太りした逞しい軍服の胸に下級将校の証であるバッチを付けている。
「いつまで準備してるんだ馬鹿野郎!」
「すみません。棚の整理に手間取ってしまいました。」
頭を下げた途端、衝撃と同時に思い切り世界が傾いた。視界の隅で少女がビクリと身体を固くさせたのが判る。
俺はと言えば殴られるのには慣れている。一瞬後には体勢を立てなおして頭をもう一度下げた。

「馬鹿野郎!後ろに何人並んでると思ってるんだ!」
「申し訳ありません。」
「おい、テメエがあんまりサボってるとな、テメエの女房の客の数を増やさざるを得ねえぞ。」
「それは…ご勘弁下さい。」
「テメエの女房が美人で良かったなあ・・・。連隊長や旅団のお偉いさん専用って事で俺が話を通してやってっから
テメエは生きてられる、それだけじゃねえ。テメエが頑張って働けばテメエの女房の待遇も良くなる。
だから月に一度はお互いに顔を見せてやってやってるだろうが。…まあ、素っ裸で俺の上で腰振ってる時だけだけどな。」
「隊長様には…深く感謝しております。」
俺の声に怯えを感じ取ったのだろう。軍人の声が満足気に緩む。
「だったらさっさとしろ。当たり前の事を当たり前にやれ。今日は偵察部隊が帰ってきたから人数が多いんだ。
この部屋だけで30人は並んでる。…いや、今日は40人はいるな。」

「あああ……」
と少女が軍人に聞こえないくらいの声で小さく呻く。

「ここは人気があんだからよ。さっさと準備して次の部屋の準備しろ。まだあと5部屋も残ってんだろうが。
一番手が俺みたいに優しい奴ばっかりな部屋じゃあねえぞ。テメエのミスは女房が支払う事になるんだからな。」
言うだけ言って軍人が扉を閉める。

「お願い、助けて、助けてよ。」

少女が呟く声に、俺は耳を塞ぐ。
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by obtaining | 2012-07-03 16:16 | document

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