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STEINS;GATE 牧瀬紅莉栖SS


ゆっくりと目線を下に下ろす。
自分の胸元から腰、そして爪先まで。

自信が無いわけではない。
一応染み一つ無い肌には自身があるし、スタイルもそう悪くは無いはずだ。
肌も白い。
インスタントラーメンと言うやや悪魔染みた誘惑に負ける事もあるが(大抵夜中に負ける)
基本的にあまり活動的では無い分、食事には気を使っているし、
結果として私の年頃にはありがちな吹き出物やそばかすなんかに悩まされる事もあまり無い。

腰もそれなりに括れているし、足もすらりとしていると思う。

「・・・」
ふうー、と。ゆっくりと鼻から息を吐き出す。

この奇妙な感情は何なのだろう。
私は怒るべきなのだ。と思う。
もっともっと怒るべきだ。そう思う。
岡部のあれは許しがたい。私にとって実に許しがたい暴挙だったのだから。
岡部は真剣に謝罪すべきだし、男らしく切腹かなんかを考えるべきだし
色々様々な事を取り合わせて私に謝罪すべきだし、
私は私で岡部がそうしてくるまでは2度と口を聞いてやらないと心に誓うべきだ。

そうするのが自然な反応だ。
18歳であり、ヴァージンでもある(処女って言うな。)私のバスタイムを覗いた事に対して
私はなんていうか、凄くこう、ショックを受けているのだ。
口なんて聞いてやらないし、大体あの暑苦しくて日本の住宅事情を体現したような狭くて汚くて
ラボとは名ばかりの一室にはもう金輪際行ってなんてやるものか。
とそう思ってしかるべきなのだ。
きゃあとしゃがみ込んで少しばかり文句を言うだけで済ませてしまうまゆりの反応の方がおかしいのだ。

だって裸だよ裸。
今まで誰にも見せた事のない、少なくとも年頃になってから一定年齢以上の男性には見せた事のない裸を私の意志に反して見られたのだ。
今もってその時の事を想像すると顔が紅くなるし、
なんだかもう、イライラするような、焦燥感で一杯になるような、
いてもたってもいられなくて頭を掻き毟りたいような気分になる。

それなのに。

それなのに私の脳の中の化学シナプスはいったいどんな動きをしているのか。
機能的な疾患がどこかにあるのではないだろうか。
新しい人工ニューラルネットワークでも考え付けば
私のこの不可思議な感情について少しは説明できるとでも言うのだろうか。

どう考えてもどう考えてもどう考えても合理的ではないのに、
何で私はずっとずっとずっとずっとこんな事を考えているのだろうか。
その、私の裸が、岡部にどう見えたのか。なんて事を。

「一般的ではない状況でヌードを見られた際に見られる思春期の女性の脳シナプスの動きについて。」

・・・
私は馬鹿らしくなって鏡の前から離れて下着を身に着け、ぶんぶんと頭を振った。


@@
パジャマを身に着けてどさりとベッドに腰を掛けて、さて論文の一つでもさらりと読むか。
と、そんな感じに気分転換を・・・とはいかないようで、私の頭はまたさっきの問題に立ち返ってしまう。

こんな事考えたくも無いのに人間は考える事だけはやめられない。
ぼすん、とホテルのやわらかい枕に頭を預けながら頭は勝手に動く。

問題は胸なんだよな。
私のバストは同年代の女子に比べてやや、ほんのちょっとだけ迫力に欠けるきらいがある。
それ以外の部分は別に・・・まあ、もう少し肉をつけなさい、と言われる事はあるけれど
スレンダーの範疇には入っていると思う。

ああ、もう、まゆりと一緒でさえなければまだマシだったのに。
私より背が低いのに、私と同じ位の体重のまゆりは私より背が低い分だけバストが大きい。
体積と重量と容量を考えれば私が縦に伸びた分だけまゆりのバストが膨らんでいると考えれば納得のいく差なのかもしれないけれど、
脳がその情報を断固拒否したいと伝えてくる。
トップバストの1cm差はどのくらいの容量の差で、どのくらい見栄えに影響するのか、
それは公式なんて使わなくても判る位に歴然としている。

しかも差は1cmなんてもんじゃない。

「なんだ、助手の胸は小さいんだな。(態度はでかい癖に)」

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そんな事を思われてたら。そんな事を思われてたら。
岡部の海馬を切り取りでもしない限り収まりが付きそうにない。
それとも開頭して海馬に電極でも刺してあの電子レンジに繋いで2日前にでも脳みそだけ飛ばしてやれば全て忘れるだろうか。

そもそも大体岡部の癖に、岡部の癖に文句なんて言える立場な訳?
大体何があったか知らないけどいきなりシャワー室の扉を開けるなんて非常識にも程があるんじゃないの?
まゆりはまだ背中を向けていたからいいようなものの私はシャワー室の扉に完全に正面を向いていて・・・

ああ、もう一つ思い至る事を思い出してしまったものだからごろりと寝返りをうってから枕に顔を埋める。
枕に顔を埋めてバタバタするってのは本当らしい。

そう、あの時私は一瞬呆けてしまって隠すまでに数秒の時間が空いてしまった。

あの時、岡部の視線はまず部屋の中をぐるりと見渡し、必然的に正面にいた私の顔、そして身体を彷徨った。
私があまりの事に呆然としていて、叫んだのはそこからだ。
痛恨の極みとしては身体を隠す前に叫び声をあげてしまった事だ。
つまり、岡部の視線が私の身体を彷徨った時には私は身体を隠しておらず、
私のNippleまで見られた事は確定的に明らかだ。

火でも噴くように顔が熱くなる。きっと今の私の頭にやかんを乗せたら10分後にはカップラーメンが食べられるようになっているに違いない。

問題はその後。
私が叫んで、片手でバストを、そして、もう片手でヘアーを。
見られただろうか。
微妙な所だと思うのだけれど。
顔を見て、バストを見られて、それから下へ。私の手の動きと岡部の視線の速さ。
どちらが勝っただろうか。

「なんだ、助手はあまり生えてないんだな。(態度はでかい癖に)」

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うわああああああ。そんな事を思われてたら。
そんな事を思われてたらもう駄目だ。
気にしてるのに、超気にしてるのに。
もし私が初体験を迎える場合、必ず相手には(きっと素敵で優しいボーイフレンドだ。会った事はないが。)
最初から最後まで部屋は真っ暗のままにしておいてもらおうとまで決めていたのに。
殺す。岡部を殺して私も死ぬ。
バンバンと枕とベッドを叩く。
枕を抱えながらごろごろと寝返りをうつ。
SHIT!まゆりだったらきっとバストで暫く目が留まってそれより下に目がいくまでに時間が掛かっただろうに、
と考えてまた自己嫌悪と羞恥に頭を焼かれて転がりまわる。

しかもなんか全体の問題にまぎれてしまっているけど大体バストだって重大問題だ。
服の上から胸をじろじろ見られるとか、夏場の薄着の時に男子学生に怪しい目で透けた下着のラインを目で追われるとか
そういったレベルとは全然違う。

生で、はっきりと、見られたのだ。
しかも岡部は服を着ていた。私だけが裸だったのだ。
私だけが裸で、岡部がそれを見て、それで、

「助手の乳首はピンク色か。なんだ。全体の大きさとあいまって、いかにも子供っぽい処女、という感じだな。(態度はでかい癖に)」

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ああもう、頭の中がぐちゃぐちゃだ。こんなの、こんなの全然順番が逆だ。
ロジックに合わない。納得いかない。

枕を壁に投げつけ、携帯を手に取る。
両手で一気に携帯電話に罵詈雑言を書き込んでメール送信ボタンに指を当てる。

そのままぐっと送信ボタンを押してから携帯に向かって私は叫んだ。
「この、HENTAIが!!許さない。絶対に許さないからな!」

順番、ロジック?
何の事かも自分が何を考えているのかももうよくわからないけれど
これだけは判っている。

明日もあそこに行って、散々に文句言ってやるのだ。
そうすれば少しは、少しだけでも、気が晴れるかもしれない。

とりあえず今日こんな精神状態で私は眠れるのだろうか。
そう思いながら私は何度も何度も岡部に向かって呪詛の言葉を呟きながらごろごろと寝返りをうった。


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by obtaining | 2011-01-28 09:04 | document

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