戦火スレで小ネタ

戦争ってのはまったくやっかいなものだ。
俺は大嫌いだ。
無謀な作戦で仲間は死ぬし、傷つく。
相手を殺すのだって嫌な気分になるものだ。
敵なんだから殺して当たり前、気にする事なんかないんじゃないか?
なんて言う奴は考えてみろよ。

俺達が普通、町にいる時なんかの事をさ。
気に入らない相手に喧嘩を吹っかけた時だって後から
「言い過ぎたかもしれない」とか悩むものだろ?
思い切り殴った後に鼻息荒く現場を後にして、
でも、家に帰ってから相手が怪我をして無いか、ふと気になったりするだろう。

それと同じだ。
敵なら殺しても平気、なんて事は全くもって無いのさ。

しかもだ。戦争で得られるものを考えてみろよ。
ちっぽけなもんだ。なあ。
偉い人の考える事だから、俺なんかには想像もつかない事もあるんだろう。
俺は何でも知ってるって訳じゃないし、そんなに賢い訳でも無いからな。
色々あるんだろうと思うぜ。
でも何人も死んで、殺して手に入ったのがどうも俺には焼け野原だけに見える。
ってのはなんだか、こう、時々やるせない気分にもなるって事だ。

だから俺は戦争って奴が大嫌いだ。
戦争で飯を喰ってる兵隊の身分で言うのもおかしな話なんだけどな。
でもそういうものじゃないか?
故郷の町の幼馴染のエクスなんかは、そう、前にも話したよな。
スゲぇデブの奴さ。横幅は俺の3倍はある。そう、いつでも何か喰ってやがる奴の事だ。
そいつなんかは家の染物屋の仕事を継いでるんだが、いつも文句ばかり言ってやがるんだ。
指に色が染み付くとか、いつでも湯を沸かしているから暑くてたまらねえだとか。
な。皆が皆、自分の仕事を大好きって言う訳じゃないって事だ。

勘違いするなよ。俺だってアルクスト人の端くれだ。
国に誇りを持ってるし、命令は聞くさ。
ただ、時々そういう気分になる事もあるって事を言いたいって事だ。
判るだろ?

ああ、いや、大丈夫だ。はは、多分、昨日のがちょっと堪えたのさ。
ああ、リスクもエルナルトも良い奴だった。
ちょっと金に汚かったり、向こう見ずで喧嘩っ早かったりしたけど、でも良い奴だったよ。

なあ、お前ももっと飲めよ。
時々思うんだよ。なにも殺さなくても良いんじゃないかってな。
殺されなくても良いんじゃないかってな。
酔ってねえよ。まだ全然酔ってなんかねえさ。
そんな事よりなあ、お前昨日は何人殺した?
いいから言えって。俺はな。6人だ。6人殺した。
喉を突いてな。腕を切って泣きながら必死で喚いてる奴の首に剣を突き刺した。
いつもの事さ。
町を占領して、皆殺しだ。
だがよ。考えた事はねえか?
向こうにもリスクやエルナルトみてえに良い奴だっていたかも知れねえってよ。

もっと飲めって。
なあ、俺達は獣じゃあねえ。そうだろ?
獣じゃねえのさ。人間様だぜ?
こんな風にしなくたって、話し合って判り合える事だってあるんじゃねえかってさ。
そんな事を考えた事はねえか?

ああ、ああ。今の隊長殿は立派な方さ。とても立派な方だよ。
まあな。俺らの思いもつかねえ事を考えてくれる。
そうだよ。そう。お前の言うとおりだ。俺らは隊長殿に付いて行けば良い。
お前の言うとおりだ。俺の言いたいのもそういう事さ。
どういうことだ。そうだ。そうだよ。

ああ・・と
な。今の隊長殿はそうだよ。な。そう。そうなんだよ。
俺はあの人を見た瞬間、ピンと来たぜ。
ああ、この人は判ってるってな。俺達兵隊の事を良く判ってくれてるってな。
特に、あれがいいじゃねえか。あれだよ。あれ。そうだ。
あの隊長殿は無闇に人殺しをしねえ。
昔いた隊長殿は町を落とせば皆殺しだ。
赤ん坊から全部殺したもんだ。
そこだよ。そう。俺が言いたかったのは。な。
今の隊長はそうじゃねえ。
俺は感心したんだぜ。
人を殺すのではなく生かす。そう!な!
やっぱり俺達には考えもつかねえ事を考えるもんなんだ。
隊長ってのはやっぱりこうじゃねえとな。
俺はな、隊長の話を聞いて胸がこう、すーっとしたぜ。
俺がずっと考えていた事を言ってくれたってな。
いや、まあ、確かにそこまで考えてた訳じゃねえよ。
でも隊長の言っていた事は俺の胸にはすっと入ってきた。そういう事を言いたいんだよ。

確かにそうなんだよ。女まで殺す事はなかったのさ。
女は子供を生む。な。
畑が違ったって種がアルクスト人なら産まれて来る子供はアルクスト人さ。
トマトだって家の畑で生ったもんと隣の家の畑で生ったもんに違いなんてないだろ?
全部同じトマトさ。
だとしたら子を産める女は生かしておいて俺達アルクスト人をどんどん産んで貰えばいい。

いやこんな事を何で考え付かなかったのかね。
いや、簡単な事ほど思いつかないものなのかもしれないよな。
考えるだけじゃなく、実行するってのも難しいもんだよ。
それをできるってのはこう、隊長殿と言えども中々出来る事じゃないよ。
立派なもんだよ。
何の話をしていたんだっけ?

そう、俺は、俺達は命って奴をもっと大切にすべきだって事を言いたかったのさ。

騒がしいな。どうしたんだよ。おい。何騒いでやがるんだ?
おい!
こっちこい!飲め!お前も飲め!

どうしたんだ!
ああ。ああ?
何?女?
本当に?20歳位。美人なのか?
本当か?妹もいる?何歳位なんだ?18歳。
今までどこに隠れてたんだよ。床下?
はあー。よく見つけたもんだな。
どこがみつけたんだ。ああ。ああ。で、いつだよ。さっきか。

おい!20歳と18歳だってよ。赤毛の美人だそうだ。
バッカ野郎!畑があって種を撒かんでどうするってんだ!
隊長殿の心意気を買わんでどうする!いくぞ!
おう!リスクとエルナルトの弔い合戦だ!お前らも来い!来い!
遅れてるとありつけなくなるぞ!

よーし!気合入れていこうじゃねえか!なあ!
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by obtaining | 2010-06-23 01:27 | document

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