ペルソナ4 直斗 SS その2(自慰祭り)

@@

「直斗は悪くないよ。」

ぐしぐしとソファに座った先輩の足元で泣いている僕の頭に、ぽんと手が乗せられる。
ゆっくりとその手が前後して、そのあまりの心地よさに思わずほう、と溜息が漏れる。

「でも、久慈川さんが折角僕に言ってくれたんですよ。それなのに僕は。」
蕩けるような甘えた口調でも、先輩は笑ったりしない。
拗ねたような僕の言葉に、にこりと笑い掛けてくれる。

「判ってくれるよ、きっと。」
「でも、酷い事を言ってしまったかも。折角誘ってくれたのに、僕はまた意地を張ってしまったから。」
「大丈夫だよ。直斗がどうしたいか、ちゃんと考えて、
そして答えを伝えられれば、きっと判ってくれるよ。」


「傷ついてないでしょうか。僕があんな事を言って。」
「直斗は、俺にお弁当を作りたくないの?」
ぶんぶんと首を振る。

「作ってあげたいです。例え下手でも、もしかしたら、その。」
美味しいって言ってくれるかもしれないから。
そう言って、ソファに座った先輩の足の間に入って、先輩の胸に顔を擦り付けながらぎゅうと抱きしめる。
細身に見えて逞しい体にそうやってしがみ付くと、なんだか全てを包み込まれているように、そう感じる。
先輩の体の、とても良い匂いがする。

「直斗は良い匂いがするね。」
おんなじことを考えてくれていたんだ、と
上からの先輩の言葉にたまらない気持ちになって、ぎゅうともう一度抱きしめる。

すると、その、僕の胸の谷間に、先輩の、その、その部分が当たるのを感じる。
凄く熱くて、その、硬い。それが。

「直斗」
少し威圧的な、マヨナカテレビの時のような声で、催促するように先輩はそういう。

「もう、先輩は・・・、そんな、僕に、いやらしい事を・・・」
そう言いながら、僕は先輩の足の間に顔を下ろす。
片手で、二本?三本、くらいかな。
人差し指と中指と、ええい、薬指も口に入れる。
嘗め回すみたいにする。吸ったりもする。
なんだか凄くいやらしい気分になりながら口の中でそれを上下させてみる。

先輩の手が、僕の頭に掛かる。
「褒めて、くれますか。」
「直斗は上手だね、って、褒めて下さい。」
「直斗は上手だって、言ってください。」

先輩は僕が思った通りの言葉を言ってくれる。

「先輩、先輩。」
そう言って、僕は口の中の唾に塗れた指を抜いて、先輩にしがみ付く。

@@

はあ、と溜息を吐く。
勿論先輩は目の前にはいない。
これは僕のマスターベーションだ。
いつの間にか習慣になった。久慈川さん言う所の、一人えっち。
後ろめたい事この上ない行為だ。
無論、部屋には鍵を掛ける。
カーテンも閉める。廊下と、窓の外も一応確認する。
その、万が一にも誰かに気が付かれる様な事はないはずだ。

まあ、だから。
日によってもう少し大胆に先に行く事もある。
その、僕が服を脱いで、みたり、とか。
けれど大抵はここまでだ。
先輩は僕の愚痴をずっと聞いてくれて、そして僕を褒めてくれる。
嫌な事なんて絶対に言わない。
僕がその、先輩のを、その、サービスしてあげると、その、先輩は、とても、褒めてくれる。

「・・・久慈川さんの言うとおりじゃないか。」
思いなおしてみて、先程言われた通りの事をしている自分におもいきり自己嫌悪を感じる。

部屋の隅の鏡に顔を向ける。
髪は乱れ、目は空ろ。枕を必死に抱きしめていたから、服も乱れている。
何となく色っぽいと言えなくも無い気もするけれど、なんだかだらしない姿だ。

久慈川さんがこうだったら、凄く色っぽいんだろうな。と思う。

「何で判ったんだろう。僕はそんなに甘えたがりに見えるんだろうか。」
口に出してみる。
鏡に映る僕の口も動く。

男の子になりたかった。男の子みたいなものに憧れても誰にも馬鹿にされず、
探偵になりたいと言ったって、誰も僕の事を馬鹿にしない。
そういうものに。

そのくせ、部屋ではこうだ。
ぐじぐじ、いじいじと小さな事に思い悩んで、
その度に先輩に甘えて、頭の中で妄想して、自分を甘やかして悦に入っている。

「私は千枝センパイや雪子センパイに負けたくないの!」
凄いなあ。
僕に言えるだろうか。
「僕だけの先輩です!僕だけが甘えるんです!駄目です。僕の先輩です。」
くっく、と喉が鳴った。
男の子になりたい、が聞いて呆れる。

よく判らないな。
何が男の子らしくて、女の子らしいのだろう。
でも今日の久慈川さんは格好が良かった。

好きな男の子の為にお弁当を作るのだ。
ライバルなんて蹴飛ばして、私が一番可愛いって認めさせて、私だけの先輩にするのだ

やってる事は女の子だけれど。
でもなんだか、彼女の言葉が僕には眩しかった。
そう思う。

@@


「お弁当合戦に、勝機を見出すとすれば久慈川さん、僕に言えるのはレシピ通りに作る。という事です。
まず、辛くすれば良い、豪華にすればよい、肉ならなんでもよい、という考えを取り払う事が大事です。
僕も料理はあまり得意ではありませんが、基本に忠実にまず作ってみるべきです。」

後ろから、思い切って声を掛けると、久慈川さんはびくり、と身体を震わせてから向き直ってきた。
顔を見るのが恥ずかしくて、視線を外しながら昨日のケーキ食べ放題の代金の1000円を渡す。


久慈川さんは素直に1000円を受け取ってくれ、そのまま僕の顔をみて少しだけ不思議そうな顔をした後に
なんだかちょっと納得したような顔をして、それからやっぱりあのいやらしい顔でにまあ、と笑ってきた。
初めて会った頃と違って、ほんとうにくるくると表情が変わる。
これが本当の彼女の魅力なんだろうな、と思う。

「直斗、」
「友達として、協力するだけです。」
釘を刺すように言う。

「ふうん、でも、直斗は先輩の事、好きじゃないんだよね。」
悪戯っぽい笑顔。
「ぼ、僕も、ひ、日頃のお世話になっている先輩にお礼をする事には吝かじゃないですから。」

「じゃあ、私が先輩を取ってもいいんだ。」
「・・・・・・その、事については、千枝先輩と雪子先輩に勝ってから話をし、し、しましょう。」

久慈川さんの笑顔が広がる。アイドルというのは本当にずるい。
表情が豊かで、可愛らしくて、何だか僕までおかしくなって、顔が思わず緩んでしまう。
「じゃあ、今日はレシピを決めようよ。」
「そ、そうですね。放課後に、時間があったら。」

ぐいぐいと押してくる久慈川さんが、なんだか頼もしく思える。
というか、なんか、男らしい。

僕も、その、マスターベーションは楽しいけれど、
そろそろそういうのに耽溺するような行為はおしまいにすべき頃なのかもしれない。
その、少なくとも回数を減らすとか。

もうちょっと前向きに、自分の気持ちに向き合ってみてもいいかも。とか。
「僕だけの先輩です!僕だけが甘えるんです!」

あああああ、実際に言ったら皆どうするだろう。
きっと目を丸くしてびっくりするに違いない。
花村先輩なんて、おろおろしてしまったりして。
まあ、絶対に言えないけれど。
それに、言うなら
「『私』だけの先輩です。」とか、
いや、いやいやいや無理、絶対に無理だ。それは無理だ。

なに直斗、笑ってるの?
横を歩いていた久慈川さんが僕の眼の前に顔を出してきて、我に返る。

なんでもないです。と、僕は笑いながら久慈川さんにそう答えた。



WEB拍手
[PR]

----------------------------
Affair with a mouth | メール | WEB拍手 | アンケート | 人気ブログランキングへ |
by obtaining | 2009-08-18 13:13 | document

<< 現在 ペルソナ4 直斗 SS その1... >>