ペルソナ4 千枝 SS

男勝りだとか、カンフー馬鹿だとか言われるけれど。
あたしだって大方の女子高生と同じく、恋愛くらいはする。

うん。
する。

ん。
まあ、得意じゃないのは確かだ。
雪子とは違う意味で得意じゃないと思う。
雪子は何かこう、男に興味ないって感じだけどあたしは興味ないわけじゃない。
そうじゃなくてんー。
なんて言えば良いのか。こう、女の子扱いされないんだよね。
男女両方から。昔からさ。
だからあたしの方も女の子扱いされない方に慣れちゃって
ますますこうそういうのから縁遠くなっていくっていうか。

何も好き好んでそうかっていうと別段そうでもなくて変えるチャンスを逃したっていうか
これはこれで心地良いかなと思ったりもしなくも無いし。
でも偶に考えるよね。女の子からラブレター貰っちゃったりした時とか。
えええええって感じな訳だ。
だってあたしは普通の女の子な訳だし。だから恋愛対象は当然、男の子だ。
そんなこと言われて、どうすればいいのさ。
ま、あんまり難しく考えるの好きじゃないしさ。
じゃあどうすればいいのかとか判らないし。

でも、あたしだって考える訳。
女の子からラブレター貰っちゃったりした時とか。
女の子と話すのが苦手でどもっちゃうっていう男の子がとても流暢に話しかけてくれた時とか。
体育の授業の時、先生が「お前は男の子に産まれた方が良かったかも知れんな」なんて言った時とか。
あとついつい花村とかの男の子達に混じって馬鹿話しちゃった後とか。

そう、それとあと、好きな人ができた時とか。


@@


「んんっ!いっ・・・く・・いくいく、やっ・・・んっ!」
信じられない位の幸福感。
頭の中がぼんやりとする。
火照ったままひくひくと自分の意志とは関係なく痙攣する体が私の事を女の子だって強烈に主張してくれる気がする。
「んっく・・・・」
はあ、と溜息を吐こうとすると漏れ出る私の女の子の声
動かそうと思っても足の指はぴんと反ったまま頭で考えてもピクリとも動いてくれない。
幸福感に包まれたまま、自分の体が自分の意思で動いてくれないこの不思議な感覚も私はとても好きだ。

その感覚が暫く続いた後、ゆっくりと私の体に実感が戻ってくる。
それも好き。

でも。
「3回目・・・」
あああああ、とベッドにうつ伏せ、枕を頭の上に乗っけて身悶える。
実感が戻ってくると同時に襲ってくるこの猛烈な自己嫌悪だけはどうにかならないものか。

「あーもう。なんで~。」
ちらりと時計を見るともう12時になっている。
お風呂から上がったのが確か10時だった。
お風呂から上がって、テストも来週だしマヨナカテレビにもいかないから
今日は殊勝に少し勉強でもするか、と考えて。
考えて。

考えて。

「あああああああああ」
3回もする事は無いと思う。
1回目はもう欲望のままちょっと乱暴にされる感じで。
2回目はちょっと落ち着いたから優しいイメージで。
3回目はデートの後にいちゃいちゃしながらとか考えて。

「うあああああああああもう、3回も何やってるんだあたし。もう!もう!」
でもなんかもう最高に満足感があって眠くなってくるし。

さすがに裸で寝られないから
立ち上がってもそもそとパジャマ代わりのジャージを穿く。
ばたん、とベッドの上に倒れる。

ふう。
もそもそと毛布の中に包まりながら
満足感と自己嫌悪とまどろみの混じったなんだかごちゃごちゃの頭の中で考える。
皆、こんな事やってるんだろうか。
・・・あたしだけだったりして。

雪子とかどうなんだろ。
するのかな。えー。あの雪子が。
1人で。なんかすごいエッチだな。それ。
してなかったりして。絶対聞けないしな。

ていうか雪子は・・・処女、だよね。
私と一緒で。
うん。そんな一大事があったら私に教えてくれないはずないし。

処女なのにこんなんでいいのかな。
こんな事して。
私エロなのかも。
彼氏が出来たら、きっと許しちゃうだろうな。

雪子はどうだろ。
雪子はきっと許さないだろうな。
雪子が好きな人に・・・
ああ、きっと、雪子の好きな人も、あの人なんだろうな。
デートすっぽかされて怒るなんて。笑っちゃう。
でもとっても可愛かった。雪子。

ああ、でもちょっと悔しかったな。
あたしも特訓とかじゃなくて買い物とかしたいな。
そう思ったの、雪子にもばれたかな。
ちゃんと聞いた事は無いけれど。
いつか、ちゃんと話さなきゃ。

雪子怒るかな。
あたしって駄目な友達かも。
雪子の多分好きな、でもあたしの好きな人でもある人の事考えて・・・

あーもう。頭の中エロバカになってる。

特訓の後とか・・・
あたしがシャワー浴びてたら・・・
後ろから入ってきて。

「何?だめだよ入ってきちゃ。やだっ・・・」

・・・やばい。すぐいっちゃいそう。
手がいやらしい所に潜って来る。
やばい。凄い濡れてるし。
終って着替える体力残ってるかな。

もどかしくジャージの下に手を入れて、さっきまでも触ってた、一番敏感なそこに触った瞬間、
電流が走ったみたいな快感と同時に背筋がぐぐっと反った。

「あーもう、だめっ!そこ触ったらだめだよ・・・ん!ああっ!や!だめっ!
そこって・・・だ、だからく、クリトリス・・・やだ言わせないでぇ・・・ん!んっ!んっ!
んっ・・・やだいくっ!よ、よんかいもっよんかいっ目っんっいくっ!
ダメ、あああああいっちゃうからだめ、触っちゃ・・・んんっ!・・・」

・・・

・・

ああ、

「あたし、馬鹿?馬鹿だぁ・・・」
なんでこんな盛り上がってるのか。
そしてなんだろ、この満足感。
こんなんで満足しちゃっていいのかなあ。
・・・私今、顔すっごいだらしなくなってるんだろうなあ。

いつの間にか瞼がくっ付きそうになっていて、慌ててベッド脇の時計を確認する。
目覚ましはきちんと掛かっている。寝て良し。
ゆっくりと枕に頭を預ける。
そしてなんだか女の子っぽいなあ。と思いながら口に出す。
最近の寝る前の口癖。あまりの自分らしくなさにニヤニヤしてしまうそれ。
ゆっくりと目を閉じる。

「おやすみ、主人公君。なーんて。」



@@

「ねえ、千枝、もしかしたら、もしかしたらなんだけどさ。」

放課後雪子に連れられて、今日もジュネスに来ていた。
本当に私達ってジュネス好きだな、いや、他に遊ぶ所無いからか。
なんて考えながらフライドポテトを摘む。

雪子はさっぱりした顔をしていて、ジュネスに着くやいなや
昨日はありがとう、私も、千枝の事が好きだよ。
なんて事を言ってきた。

もうなんか邪気の全然無い、目尻の下がったすっごく可愛らしい殺人的な笑顔で。

その笑顔を見て、あー、雪子、もてるわけだわとなんだか奇妙に納得してしまう。
色白の肌に艶やかな黒髪と整った顔立ち。着物の似合うスレンダーな体系。
好きだよ、なんて言われると女の私でも胸がきゅんとなる。
それになんだかなんだろう。最近の雪子は明るい。
今日だって昨日の不機嫌さはどこへやら。なんだか雪子には珍しく超ハイテンションだ。

まあ、今日は主人公君とお弁当食べてたみたいですし。
あれまあまあ早速仲直りしたのですかね。
それで上機嫌なのですかね。雪子さんは。
と何故だかなんとなく揶揄したい気分にもなる。

「聞いてる?千枝?あのね、」
「何?」

別に雪子と主人公君が仲直りしたから私が不機嫌になる事は無いのだけれど。
リボンシトロンのストローを咥えながら生返事をした瞬間

「千枝も主人公君のことが好きなんだよね。」

あまりの事にがふっと咳が出てジュースが逆流する。
「な、な、なな、な、な」
何を言っているの雪子と言いたいのだけれど言葉が出てこない。
私の様子を見てか見ないでか雪子は勢い込んで話してくる。

「やっぱりその、昨日考えたの。千枝にはちゃんと言おうって。
その、私が主人公君の事を好きなのは、その、判ってると思うんだけど。
その、千枝も、主人公君のこと、好きなんだよね。」

赤面しながら話を続ける雪子を唖然と見つめる。
今言うか。
こっちは準備整ってないっての。
天然にも程があるだろう。
ていうかなんでばれてってえ?ええ?えええ?

「な、な、なななんで雪子。」
「いや、多分って思ったのは昨日だけど。
考えてみれば千枝、いっつも主人公君の事目で追ってるし。で、そうなんだよね。」

うんうん。と雪子は頷いている。
かああああ、と首に血が上ってくるのを感じる。
やばい、今私きっと否定できない位に真っ赤になってる。

「うん。やっぱりそうなんだ。」
うんうんと頷く雪子に否定するなら今だ、と思うのだけれど体が動かない。
そして私の心の中の何かも認めてしまえ、と言っている様な気がして。
頷きながら私の顔を見ている雪子につい頷いてしまう。

いくら雪子でも好きな人の話をするなんて、とても恥ずかしい。
なんだか雪子の顔も見れなくなって、俯く。

「素直で宜しい。でね。はい。千枝聞いて。私達にはライバルがいます。」
「ら、ライバル?」
このまま黙ってると今日はもう一言も喋れなくなる気がして振り絞って声を出す。

「そう。りせちゃんもそうだし、直斗君も、そうかも。」
「え、りせちゃんはともかく、それはないんじゃない?」
「んーん。こういうのは最大公約数で考えておけば損しないから。花村君もいれておこうか。」
「ないない。あいつはない。」

雪子がぴっと指を出す。
「でね、私考えたの。ライバルは少なければ少ない方が良いって。」
「ど、どうやって?」
「それを千枝と一緒に考えようかなって。」

雪子はずずず、とジュースを飲みながら真剣な顔をしている。
なんだか可笑しくなった。

私の好きな人がばれる時は、きっともっと険悪になるかもしれないと思っていたから。
なんだか嬉しくて笑いかけると雪子もにこっと笑ってくれた。

私も話に乗ってみる。

「まずは、2人でお弁当を作るとか。」
「あ、いいねそれ。」
「で、月曜と水曜は雪子、火曜と木曜は私が一緒にお弁当を食べるの。」
「金曜日は?」
「3人で一緒に。花村の馬鹿とかも呼んでも良いかも。
あ、そしたら金曜日は主人公君にお弁当作ってきてもらおうよ。」
「うんうん。」

雪子は何か考えながら深く頷いている。
いつもの私達だ。

「そしたらあたしと雪子の一騎打ちになるね。」
悪戯っぽく言うと雪子もつんと澄まして負けじと言い返してきた。

「私を選ぶといざって時には将来仕事には困らないから。」
天城屋旅館の一人娘ですから。と言ってくる。

ちょっと考える。
「私はいやらしい事とかOKだし。」
そういうとえええええ、と雪子が目を丸くした。

「わたしは、ちょっと、それは・・・無理。」
「じゃあ、あたしの勝ちかも。」

「でも・・・う、うう。千枝はOKなの?」
「う、突っ込んでくるとは思わなかった。た、多分OK、かな。」
「わ、わたしは恥ずかしいな。ちょっと。」

そんなこと言って。雪子も1人で3回もしちゃったりするのかも。
なんて昨日の事を思い出して馬鹿な悪戯心が湧いてくる。
でもまあそんな事は聞けない。

「じゃ、じゃあさ。明日は水曜日だから私の番だよね。か、買い物して帰ろうかな。」
「いいね。何作る?」
「お弁当、お弁当、主人公君、何が好きだろう。カレーかな。」
「カレーなら肉だね。あたしは明後日、何にしようかな。ステーキとか。」

2人で立ち上がる。
夕暮れが落ちてきてもうすぐ暗くなる時間帯。

雪子が笑いかけてきて、それで私は嬉しくなって、
バスケットボールのシュートの格好をしながら紙コップをゴミ箱の方に向かって投げた。


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by obtaining | 2009-05-18 10:02 | document

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