Swastika eyes 2-1

皇国に生まれて、皇国の孤児院で育ち、ずっと皇国に飯を喰わせて貰った。
つまりこの肉体は皇国のもので作られ、だからこの身は皇国の為にあり、
皇国の為に働く事こそが自分の産まれて来た理由なのだ。と俺はそう考える。
つまり軍人である俺は皇国の為に勝つ事こそが皇国の為に働く事であり、
つまり為すべき仕事であり、存在意義なのだと考える。

自分のアルバロという名前にも誇りを持っている。
両親の付けてくれた、いかにも皇国の男と感じられる逞しい響きを持つ名。
顔も見た事の無い両親が俺に残してくれた唯一の物だが
これ以上ない、最高の物を残してくれたと、そう考えて感謝している。

皇帝陛下を愛している。
先帝陛下が身罷られ、若くして帝位に就いたあの皇帝陛下を愛している。
ただ一瞬のみであったがあの謁見の間で拝した震えるほど高貴なご尊顔を忘れる事が出来ない。
一瞬のみであったが、拙い俺などの挨拶にああ。と頷いて下さったあの時の震えるような感動。
若年ながらも皇帝陛下が先帝陛下でも纏め切れなかったという分裂していた皇国議会を
数年で纏め上げたというのも頷けるというものだった。
議会の禿頭どもも、その取り巻きどももあのご尊顔を拝して延々と繰り広げていた
下らない金と領土を巡る身内の争いなどはすっかりと忘れてしまったに違いない。

そして何よりその皇国が皇国足りうる誇りを取り戻すかのような皇帝陛下のその力強い統治のなさり方。

無論、皇帝陛下のなさる事に産まれも卑しい一軍人である俺が政治に対して何か意見などある筈も無い。
しかし今考えてみるに先帝陛下の諸外国への対応の仕方というと、俺などには首を捻る事が多かった。
事ある毎に諸外国に譲歩し、辺境といえどいくつかの土地を割譲し挙句には長年の仇敵である王国とも不可侵条約などを結んだ。
その時、皇国に大きな敵がいた訳ではないのにもかかわらずだ。

王国は常に皇国にとって最大の戦力を保持する隣国であり、皇国を狙う仇敵であり、我々の平和を脅かす狡猾な蛇だ。
王国がいかに卑怯で、皇国に害を為す存在だったかは我々と同様、
いや無論皇帝陛下であられた先帝陛下もそれ以上に良くご存知であったにも関わらず、
しかも王国と手を結んでまで倒すべき敵がいた訳ではないのに、それなのに王国と争わない道を先帝陛下は選んだ。

しかもその不可侵条約の調印式にはあろうことか先帝陛下は自ら王国に出向いた。
我らの皇帝がまるで臣下でもあるかのように王国に向かい、条約を結んだのだ。
口さがない軍の将校などは先帝陛下を腰抜けなどと言う者まで出たという噂だ。

無論、先帝陛下を批判するものではない。
1軍人である俺などの思いも及ばないような事が政治にもあるのだろう。
そう、考えてみると当時はあの議会の禿頭どもが皇国議会を牛耳っていた。
あの政商どもが。王国と手を結んで皇国に害を為す雀蜂のような奴らが。
その中には先帝陛下に対して不遜な態度を取るものまでいたと言う。
きっと先帝陛下もそういう輩の口車に乗せられ、
いやご理解為されてなお王国と条約を結ばざるを得ないような状況に追い込まれたのだろう。
さぞ無念であった事だろう。

しかし、先帝陛下のその無念を、現皇帝陛下はその御威光で晴らして下さったのだ。
政商どもを追放して議会をまとめ、軍を強化し、強い皇国を蘇らせて下さった。
その皇帝陛下、自分などと比べるのも非礼に過ぎるが、御年若干29歳であられるという。
俺よりほんの少し年上というだけではないか。
それなのになんと恐ろしいまでの豪腕、能力であろうか。
しかもあの方が持っているのはその類まれなる統治能力だけではない。
俺のような末席の部隊長にまで謁見を許して下さるその臣下への情の厚さたるや。
歴代の皇帝陛下にもこれほどの方はいらっしゃらなかったに違いないと俺は思う。

無論何があったとて臣下としての自分の皇国への忠誠が揺るぐものではない。
先帝陛下の時分も皇帝陛下の今も自分のその部分には一片の揺るぎもない。

しかし、やはり嬉しいものだ。
皇国を愛しているこの身として皇国を強くなされようとする皇帝陛下のその意思が、そのお導きを俺は嬉しく思う。
俺のようなものにまで拝謁を賜るその優しさを嬉しく思う。

敵陣に突入する時の恐怖心。単独で突破する時の緊張感。
敵の襲撃を警戒する夜。
そんな時我ら皇国の軍人は皇帝陛下の事を考える。
俺も敵陣の中で恐怖心を感じたり、時分の決断に自信が無くなったりした時には皇帝陛下を想う。
すると胸の奥に震えるほど涕するほどの喜ばしい感情がふつふつと湧き上がってくるのだ。

そして力がぐんと湧いてくるのを感じる。
我々はそうやって皇帝陛下から頂いたその力を持って、敵軍を殲滅する。
皇国の威光を恐れぬ敵を叩きのめし、敵達に虐げられ、力弱く、学も与えられなかった住民達を救い、導いて行くその力とする。

皇帝陛下は我々の心の中にあって、我々に皇国の為に働く為の力を与えて下さるのだ。
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by obtaining | 2008-12-15 21:55 | document

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